『ランディ・ローズ』(原題:Randy Rhoads: Reflections of a Guitar Icon)
監督:アンドレ・レリス
高校生の頃、弟の部屋からイングヴェイ・マルムスティーンが聞こえることはあったけど、
やかましいだけの音楽みたいな偏見がずっとありました。
って書いたけれど、いま思い出しました。
そもそも弟がヘヴィメタを聴くようになったのは、
私が中学生のときに買ったレインボーのアルバム“Difficult To Cure”がきっかけだと。
あひゃひゃ、私も聴いていたじゃないか、ヘヴィメタを。
そうなんですけど、ランディ・ローズのことは知らないんです。
ただちょっと気になったのと、上映時間がちょうどよかったのとで、
シネ・リーブル神戸で鑑賞することに。
ランディ・ローズはクワイエット・ライオットの結成者であり、
凄いギターテクニックを持ち、かつ美形で、大人気だったのに、
わずか25歳の若さで乗っていたセスナ機が墜落、亡くなってしまったそうです。
私はランディ・ローズについて何も知らない状態で観はじめたわけですが、
見れば見るほど早世が悔やまれてなりません。
だって、こんなスター要素満載でありながら、めちゃめちゃいい奴。
シングルマザーだった彼の母親は音楽教室を営み、
彼もその影響を受けて幼い頃から音楽に親しみました。
アコースティックギターのみでは物足りなくなって母親にねだったエレキギターを手にしてからは、
彼のギター教師が「もう教えられない。こちらが教えられるぐらい」と舌を巻くほどの技量を発揮。
この美貌なのに、女にだらしなくない。ドラッグやらない。
酒はほどほど飲むけれど、決して酒に飲まれない。
飲んだ翌日も約束をすっぽかしたり遅刻することすらない。
有名になってからも音楽教室の教師として生徒に教え、
生徒が(ライバルと言われていた)エディ・ヴァン・ヘイレンを弾きたいと言ってくれば、
エディの曲を自ら練習して生徒に弾いてみせる。
傲慢さのかけらもなかった好人物そのもの。
好き放題荒れ放題の生活を送っているオジーが今も生きていて、
こんなランディが早死にしちゃうなんて、神様はひどいことをするもんです。
オジーが酒浸りになったのはランディを失ったからという話もあるけれど。
音楽であればジャンルを問わず、どんなものも聴いて、弾いたランディ。
活動期間は短かったにもかかわらず、昨年“ロックの殿堂”入りしたことを天国で喜んでいてくれるでしょうか。
照れくさそうに笑っているかもしれませんね。