2020年4月の読書メーター
読んだ本の数:12冊
読んだページ数:4200ページ
ナイス数:961ナイス
■新装版 水の眠り 灰の夢 (文春文庫)
1964年の東京五輪の前年に起きた実際の事件をモチーフにしたフィクション。迷宮入りの事件をよくもこんなに面白い話に仕上げたものです。ラノベファンや当時の状況を知る由もない読者の興味は惹きづらいかもしれませんが、ケータイのない時代の経験者であれば面白く読めるはず。ま、昭和生まれ向きの話ということですね(笑)。私だって経験はしていない時代のことですが、当時のファッションが目に浮かびそう。草加次郎による犯行がピタッと止んだことを思えば、本当に犯人は死んだのかもしれない。想像する楽しさを味わえる、圧巻の読み応え。
読了日:04月05日 著者:桐野 夏生
https://bookmeter.com/books/10570942
■うさぎ通り丸亀不動産 あの部屋、ワケアリ物件でした (角川文庫)
このタイトルにこの表紙だし、書き下ろしだし、思いっきりラノベっぽいのに、年長者の言い回しに思えるところがいくつか。著者の年齢を知り、道理で。三橋美智也と三波春夫の勘違いなんて、そもそも若い作家なら出てこない(笑)。そんな勘違いをするのは、幽霊が「視える」おっとりした主人公。女社長にどやされてオタオタする様子が可愛らしい。出没する幽霊に入居者を傷つけるつもりはなくて、おどろおどろしくない心理的瑕疵物件。松岡圭祐の『瑕疵借り』と併せて読む、あるいは映画『ルームロンダリング』を観るのも面白いのではないでしょか。
読了日:04月07日 著者:堀川 アサコ
https://bookmeter.com/books/14285649
■COVER 東京駅おもてうら交番・堀北恵平 (角川ホラー文庫)
コロナ騒ぎのなかの読書あるある。満員のカウンター席にもう一人入れるために客詰める、捜査疲れで目頭揉む、発熱しているのに出勤する、あかんやんといちいち思ってしまう(笑)。男みたいな名前だけど女、新人警察官ケッペーが卵からひよっこに成長中。おぼこすぎる彼女が、AV女優惨殺事件の捜査のためにエロビデオを延々確認するはめに。ホームレスのおばあちゃんや靴磨きのおじさん、オネエのダミさんと、警察官以外も魅力的な人ばかりで私はゾッコン。“藤堂比奈子”シリーズロスから完全に脱却しました。第3弾に即行きたい気持ちを抑え中。
読了日:04月12日 著者:内藤 了
https://bookmeter.com/books/14129217
■ニワトリは一度だけ飛べる (朝日文庫)
大好きな作家だけど、これはなんだかなぁ。そもそも会社勤めをしている人が、発信者不明の「ニワトリは一度だけ飛べる」なんて件名のメールを開けますか。しかも開けるだけじゃなくて「あなたは誰ですか」って返信するんだもの。あかんやん。セキュリティ研修は確実に赤点。煮え切らない主人公、自信過剰な同僚、いちいち喧嘩腰な後輩、一日中文庫本を読むだけの上司。感情移入できる人がいなくてツライ。それでも、左遷部署に異動になった主人公たちが立ち上がる最後の最後だけは痛快。いつだって、勇気は体の中にある。それは忘れずに居たいです。
読了日:04月14日 著者:重松 清
https://bookmeter.com/books/13557997
■動物たちのまーまー (新潮文庫)
無知な私は、“murmur”という英単語が存在することを知らず。そんなダジャレみたいな英単語を「まーまー」と書く、素敵すぎるセンス。環境汚染によって異形化した動物とか、見たこともない光景のはずなのに、想像の世界がどんどん膨らむのです。そのシュールさを今は笑っていられるけれど、もしかしたらそう遠くない将来、現実になるかもしれないなぁなんてちょっぴり恐ろしくもあり。伊坂幸太郎が推しているだけあって、伊坂作品を好きな人ならば、たぶん好みの範疇。この表紙のぬいぐるみがあればほしい。んー、こんなん家に居ったら嫌か。
読了日:04月15日 著者:一條 次郎
https://bookmeter.com/books/15319743
■京都なぞとき四季報 町を歩いて不思議なバーへ (角川文庫)
京大に入るアタマは私にはないから、ぷらぷらと遊びに行ったことがあるだけですが、京都には馴染みがあります。今はコロナ禍で鴨川名物の「アベック等間隔の法則」も崩れていることでしょう。その前に「アベック」という言葉がもう死語だけど。街歩きサークルに所属する京大生男子の片想いが可愛くて、それを見守りつつ、青春×ミステリー×ファンタジーを楽しみました。途中までは。後半はなんだか不穏な空気が漂い、嫌な事件と嫌な動機。今は明るい京都の街並みを想像しづらいから、妙に暗い気持ちになってしまう。コロナの悪影響が読書にも及ぶ。
読了日:04月16日 著者:円居 挽
https://bookmeter.com/books/12439336
■波の上のキネマ
今年は映画館で350本観られそうなペースで1月から3月までやってきたのに、まさか行動範囲内の映画館がすべて休業することになるとは。打ちひしがれて、せめて映画館の物語を読む。映画館の話というよりは、ほぼ全編創業者の身の上について。騙されて西表島の炭鉱に閉じ込められ、劣悪な環境の中で働かされます。そこで知る映画のこと。いつだって、辛い状況下の人々のことを映画が癒す。こんなふうに映画館が人々を救ってきたはずなのに、今はその映画館に行くことができません。映画館の灯を消さぬためにも、この騒ぎが早く収まりますように。
読了日:04月18日 著者:増山 実
https://bookmeter.com/books/13054097
■クサリヘビ殺人事件 蛇のしっぽがつかめない (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
“このミス”関連の受賞作にはそれほど食指が動かないんです。というのも、私はどちらかといえば重めの話のほうが好きだし、日本語の美しさや可笑しみを感じる文章に触れていたいという気持ちがある。たとえば浅田次郎や京極夏彦なんかがそうです。“このミス”はその真逆を行く印象があって。ただその分とてもわかりやすい。行間を読まずとも100%説明してくれるから、迷わず楽しめる娯楽作品。目頭熱くなるシーンもきっちりあります。想定以上の面白さ。副題を見てKANの「君の丸いお尻が許せない♪」を口ずさんでしまった私はコロナぼけか。
読了日:04月20日 著者:越尾 圭
https://bookmeter.com/books/14017731
■たこ焼きの岸本 (ハルキ文庫 は)
大阪人や大阪弁にアレルギーのある人には決してお薦めできない1冊(笑)。私は生粋の大阪人ですが、住吉大社の辺りにはあまり詳しくありません。門前の商店街のことも知らないから、「たこ焼きの岸本」と聞けば、阪急沿線の住人には馴染みの深い「ねぎ焼のやまもと」を思い出してしまう。きっと「ちゃう!モデルはこのたこ焼き屋や!」というのがあるのでしょう。失礼御免。お節介で温かい人たちが暮らす人情の街。謎に満ちた事件が起きたりもしますが、「なんでこんなことに気づかんねん」と読者が言いたくなることばかり。至って平和、安心の本。
読了日:04月22日 著者:蓮見恭子
https://bookmeter.com/books/15445230
■PUZZLE 東京駅おもてうら交番・堀北恵平 (角川ホラー文庫)
コロナ禍あるある、再び。またそんなギチギチの“ダミちゃん”、それに徳兵衛さんと同じ器で豚汁つついたりして、駄目駄目っ!などと思いながら、第3弾にも没頭。初めてバラバラ事件という言葉が使われたときのことを知りました。本巻では靴磨きのペイさん大活躍。靴を見れば履き手の体格はもとより、生き様に至るまで人生何もかもがわかってしまいそう。バラバラにされた被害者には1ミリも同情できず、ホームレス老人の心情を慮ってケッペーと一緒に泣いてしまった。うら交番の柏村さんに会った人は死ぬという噂、ほんとにはしないでくださいね。
読了日:04月25日 著者:内藤 了
https://bookmeter.com/books/15327061
■屍人荘の殺人 (創元推理文庫)
劇場で映画版を観たとき、不覚にも睡魔に襲われて一瞬寝てしまいました。起きたらゾンビだらけになっていて驚いたのなんのって。何がどうなってこうなったのか、目が点になったまま最後まで。その謎を解こうと原作を読みました。ゾンビウイルスがばらまかれたのはわかったけれど、なんでゾンビウイルスなの(泣)。もっと軽いと思ったら重かった。しっかり読まなきゃ理解が追いつきません。美人だらけで私には女子の判別がつきにくく、建物の見取り図もちゃんと頭に入れておかないと、どこなのよと頭ぐちゃぐちゃに(笑)。素面でもう一度読みます。
読了日:04月28日 著者:今村 昌弘
https://bookmeter.com/books/14253373
■いらっしゃいませ 下町和菓子 栗丸堂 「和」菓子をもって貴しとなす (メディアワークス文庫)
“お待ちしてます”を読んでいないどころか、似鳥さん初読みです。登場人物のキャラを知らないから、最初は時折ドン引き。和菓子のお嬢様は相当な美人らしいのにオッサンかと思うようなダジャレ。やー、はー、はいー、くはー、気になる(笑)。私は言い訳の中で「悪気はない」というのがいちばん嫌い。んなもん悪気なんて皆ないわ、あったらほんまの悪人やんと常々思っているので、謎解きで若干不愉快になったりも。しかし最終的には主人公たちに魅せられて、前日譚にも手を出したくなっています。上宮兄に惚れました。そうだね、製菓はサイエンス。
読了日:04月30日 著者:似鳥 航一
https://bookmeter.com/books/15365136
読了日:04月05日 著者:桐野 夏生
https://bookmeter.com/books/10570942
■うさぎ通り丸亀不動産 あの部屋、ワケアリ物件でした (角川文庫)
このタイトルにこの表紙だし、書き下ろしだし、思いっきりラノベっぽいのに、年長者の言い回しに思えるところがいくつか。著者の年齢を知り、道理で。三橋美智也と三波春夫の勘違いなんて、そもそも若い作家なら出てこない(笑)。そんな勘違いをするのは、幽霊が「視える」おっとりした主人公。女社長にどやされてオタオタする様子が可愛らしい。出没する幽霊に入居者を傷つけるつもりはなくて、おどろおどろしくない心理的瑕疵物件。松岡圭祐の『瑕疵借り』と併せて読む、あるいは映画『ルームロンダリング』を観るのも面白いのではないでしょか。
読了日:04月07日 著者:堀川 アサコ
https://bookmeter.com/books/14285649
■COVER 東京駅おもてうら交番・堀北恵平 (角川ホラー文庫)
コロナ騒ぎのなかの読書あるある。満員のカウンター席にもう一人入れるために客詰める、捜査疲れで目頭揉む、発熱しているのに出勤する、あかんやんといちいち思ってしまう(笑)。男みたいな名前だけど女、新人警察官ケッペーが卵からひよっこに成長中。おぼこすぎる彼女が、AV女優惨殺事件の捜査のためにエロビデオを延々確認するはめに。ホームレスのおばあちゃんや靴磨きのおじさん、オネエのダミさんと、警察官以外も魅力的な人ばかりで私はゾッコン。“藤堂比奈子”シリーズロスから完全に脱却しました。第3弾に即行きたい気持ちを抑え中。
読了日:04月12日 著者:内藤 了
https://bookmeter.com/books/14129217
■ニワトリは一度だけ飛べる (朝日文庫)
大好きな作家だけど、これはなんだかなぁ。そもそも会社勤めをしている人が、発信者不明の「ニワトリは一度だけ飛べる」なんて件名のメールを開けますか。しかも開けるだけじゃなくて「あなたは誰ですか」って返信するんだもの。あかんやん。セキュリティ研修は確実に赤点。煮え切らない主人公、自信過剰な同僚、いちいち喧嘩腰な後輩、一日中文庫本を読むだけの上司。感情移入できる人がいなくてツライ。それでも、左遷部署に異動になった主人公たちが立ち上がる最後の最後だけは痛快。いつだって、勇気は体の中にある。それは忘れずに居たいです。
読了日:04月14日 著者:重松 清
https://bookmeter.com/books/13557997
■動物たちのまーまー (新潮文庫)
無知な私は、“murmur”という英単語が存在することを知らず。そんなダジャレみたいな英単語を「まーまー」と書く、素敵すぎるセンス。環境汚染によって異形化した動物とか、見たこともない光景のはずなのに、想像の世界がどんどん膨らむのです。そのシュールさを今は笑っていられるけれど、もしかしたらそう遠くない将来、現実になるかもしれないなぁなんてちょっぴり恐ろしくもあり。伊坂幸太郎が推しているだけあって、伊坂作品を好きな人ならば、たぶん好みの範疇。この表紙のぬいぐるみがあればほしい。んー、こんなん家に居ったら嫌か。
読了日:04月15日 著者:一條 次郎
https://bookmeter.com/books/15319743
■京都なぞとき四季報 町を歩いて不思議なバーへ (角川文庫)
京大に入るアタマは私にはないから、ぷらぷらと遊びに行ったことがあるだけですが、京都には馴染みがあります。今はコロナ禍で鴨川名物の「アベック等間隔の法則」も崩れていることでしょう。その前に「アベック」という言葉がもう死語だけど。街歩きサークルに所属する京大生男子の片想いが可愛くて、それを見守りつつ、青春×ミステリー×ファンタジーを楽しみました。途中までは。後半はなんだか不穏な空気が漂い、嫌な事件と嫌な動機。今は明るい京都の街並みを想像しづらいから、妙に暗い気持ちになってしまう。コロナの悪影響が読書にも及ぶ。
読了日:04月16日 著者:円居 挽
https://bookmeter.com/books/12439336
■波の上のキネマ
今年は映画館で350本観られそうなペースで1月から3月までやってきたのに、まさか行動範囲内の映画館がすべて休業することになるとは。打ちひしがれて、せめて映画館の物語を読む。映画館の話というよりは、ほぼ全編創業者の身の上について。騙されて西表島の炭鉱に閉じ込められ、劣悪な環境の中で働かされます。そこで知る映画のこと。いつだって、辛い状況下の人々のことを映画が癒す。こんなふうに映画館が人々を救ってきたはずなのに、今はその映画館に行くことができません。映画館の灯を消さぬためにも、この騒ぎが早く収まりますように。
読了日:04月18日 著者:増山 実
https://bookmeter.com/books/13054097
■クサリヘビ殺人事件 蛇のしっぽがつかめない (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
“このミス”関連の受賞作にはそれほど食指が動かないんです。というのも、私はどちらかといえば重めの話のほうが好きだし、日本語の美しさや可笑しみを感じる文章に触れていたいという気持ちがある。たとえば浅田次郎や京極夏彦なんかがそうです。“このミス”はその真逆を行く印象があって。ただその分とてもわかりやすい。行間を読まずとも100%説明してくれるから、迷わず楽しめる娯楽作品。目頭熱くなるシーンもきっちりあります。想定以上の面白さ。副題を見てKANの「君の丸いお尻が許せない♪」を口ずさんでしまった私はコロナぼけか。
読了日:04月20日 著者:越尾 圭
https://bookmeter.com/books/14017731
■たこ焼きの岸本 (ハルキ文庫 は)
大阪人や大阪弁にアレルギーのある人には決してお薦めできない1冊(笑)。私は生粋の大阪人ですが、住吉大社の辺りにはあまり詳しくありません。門前の商店街のことも知らないから、「たこ焼きの岸本」と聞けば、阪急沿線の住人には馴染みの深い「ねぎ焼のやまもと」を思い出してしまう。きっと「ちゃう!モデルはこのたこ焼き屋や!」というのがあるのでしょう。失礼御免。お節介で温かい人たちが暮らす人情の街。謎に満ちた事件が起きたりもしますが、「なんでこんなことに気づかんねん」と読者が言いたくなることばかり。至って平和、安心の本。
読了日:04月22日 著者:蓮見恭子
https://bookmeter.com/books/15445230
■PUZZLE 東京駅おもてうら交番・堀北恵平 (角川ホラー文庫)
コロナ禍あるある、再び。またそんなギチギチの“ダミちゃん”、それに徳兵衛さんと同じ器で豚汁つついたりして、駄目駄目っ!などと思いながら、第3弾にも没頭。初めてバラバラ事件という言葉が使われたときのことを知りました。本巻では靴磨きのペイさん大活躍。靴を見れば履き手の体格はもとより、生き様に至るまで人生何もかもがわかってしまいそう。バラバラにされた被害者には1ミリも同情できず、ホームレス老人の心情を慮ってケッペーと一緒に泣いてしまった。うら交番の柏村さんに会った人は死ぬという噂、ほんとにはしないでくださいね。
読了日:04月25日 著者:内藤 了
https://bookmeter.com/books/15327061
■屍人荘の殺人 (創元推理文庫)
劇場で映画版を観たとき、不覚にも睡魔に襲われて一瞬寝てしまいました。起きたらゾンビだらけになっていて驚いたのなんのって。何がどうなってこうなったのか、目が点になったまま最後まで。その謎を解こうと原作を読みました。ゾンビウイルスがばらまかれたのはわかったけれど、なんでゾンビウイルスなの(泣)。もっと軽いと思ったら重かった。しっかり読まなきゃ理解が追いつきません。美人だらけで私には女子の判別がつきにくく、建物の見取り図もちゃんと頭に入れておかないと、どこなのよと頭ぐちゃぐちゃに(笑)。素面でもう一度読みます。
読了日:04月28日 著者:今村 昌弘
https://bookmeter.com/books/14253373
■いらっしゃいませ 下町和菓子 栗丸堂 「和」菓子をもって貴しとなす (メディアワークス文庫)
“お待ちしてます”を読んでいないどころか、似鳥さん初読みです。登場人物のキャラを知らないから、最初は時折ドン引き。和菓子のお嬢様は相当な美人らしいのにオッサンかと思うようなダジャレ。やー、はー、はいー、くはー、気になる(笑)。私は言い訳の中で「悪気はない」というのがいちばん嫌い。んなもん悪気なんて皆ないわ、あったらほんまの悪人やんと常々思っているので、謎解きで若干不愉快になったりも。しかし最終的には主人公たちに魅せられて、前日譚にも手を出したくなっています。上宮兄に惚れました。そうだね、製菓はサイエンス。
読了日:04月30日 著者:似鳥 航一
https://bookmeter.com/books/15365136