夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ホワイトハウス・ダウン』

2013年08月23日 | 映画(は行)
『ホワイトハウス・ダウン』(原題:White House Down)
監督:ローランド・エメリッヒ
出演:チャニング・テイタム,ジェイミー・フォックス,マギー・ギレンホール,
   ジェイソン・クラーク,リチャード・ジェンキンス,ジェームズ・ウッズ他

TOHOシネマズ梅田にて。
前述の『マジック・マイク』と本作の間に3本観たのですが、
チャニング・テイタム繋がりでこちらを先にUPします。

『エンド・オブ・ホワイトハウス』の公開時、本作の予告編が毎回流れていて、
なんでこんなにそっくりな映画を作るの……と思ったのですが、
観に行ってみれば似て非なるもの、個人的には本作に軍配、圧勝です。

合衆国議会警察官として議員の護衛を務めるジョンは、
別れた妻が育てる一人娘のエミリーに面会。
前週の学芸会を見に行く約束をすっぽかしたものだから、エミリーの機嫌は最悪。

そんなエミリーは官邸マニア。
彼女を喜ばせたい一心で、ジョンは大統領のシークレットサービスに応募。
そのさい、ちょっとしたコネを使ってエミリーのホワイトハウス入館証もゲットする。
案の定、むくれていたエミリーも大喜び。

エミリーを待たせてシークレットサービスの面接に臨むも、結果は不採用。
その事実をエミリーに伝えることができないまま帰途につきかけたとき、
ホワイトハウス内見学ツアーが催されていると知り、エミリーとともに列に加わる。

ところが、謎の武装集団が押し入り、大爆発が起きる。
ホワイトハウスは閉鎖されるが、屈強なはずの警護官らが次々に撃たれて死亡。
残ったのは武器を持たないツアー客のみ。一部屋に人質として監禁される。

たまたまトイレに行っていたエミリーは、その部屋にはいない。
ジョンはエミリーを探し出すべく脱出、
その途中で拉致されかけた大統領を救出し、行動を共にするのだが……。

何が良かったって、本作は「人のせい」にしません
『エンド・オブ・ホワイトハウス』はテロリストはよその国の奴、
アメリカが一致団結して闘うのじゃ!みたいな感じでしたが、
本作は良い人も悪い奴も全部アメリカ人。
ま、これを撮ったのがローランド・エメリッヒ
ドイツ出身監督であることは痛烈なシャレとも言えますけれども。

シリアスなだけのドラマではなく、ふきだしてしまうギャグもいっぱい。
ツアーで「『インデペンデンス・デイ』(1996)で破壊されたのは」なんて紹介も粋で、
ホワイトハウスをこよなく愛するガイドがサイコーです。

敵も味方もどこか抜けているところもご愛敬。犯人側のキャラも○。
大統領がランチャーをぶっ放すシーンも傑作で、
何よりこんなアホなことをアホやっているとわかって楽しんでいると思えて、
偽善臭がまるでないのもいいですねぇ。

エミリーにはきっちり泣かされましたし、
最近のこの手の作品の中ではいちばん好きでした。

決してタイプではないはずなのに、チャニング・テイタムにイカレそう。
もちろん、茶目っ気たっぷりの大統領役、ジェイミー・フォックスにも。

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『マジック・マイク』

2013年08月21日 | 映画(ま行)
『マジック・マイク』(原題:Magic Mike)
監督:スティーヴン・ソダーバーグ
出演:チャニング・テイタム,アレックス・ペティファー,マット・ボマー,
   マシュー・マコノヒー,ジョー・マンガニエロ,コディ・ホーン他

5本ハシゴのラスト、ふたたび梅田ガーデンシネマへ戻って。
20時とあって、昼間ほどは混んでいませんが、それでも8割の入りでした。

瞬く間に売れっ子となったチャニング・テイタム
彼の実体験がモチーフになっているそうで、顔はあんまりタイプじゃないけれど、
予告編であのカラダを見せられたら、観に行きたくなるっちゅうもんでしょう。

男性のストリップといえばすぐに思い出されるのが『フル・モンティ』(1997)ですが、
その貧相な体つきの面々とはまるで異なる、こちらはヨダレもの。(^o^)

男性ばかりのストリップショーで人気を博すクラブ“Xquisite(エクスクイジット)”。
看板ダンサーのマイクの夢は、オーダーメイドデザインのインテリアの会社を起業すること。
そのために、ストリップ以外にもいくつもの仕事をこなし、金を貯めている。

ある日、仕事中の建設現場で知り合ったアダム。
まだ19歳の彼は仕事ぶりも適当で、ただちにお払い箱にされた様子。
マイクはアダムを“Xquisite”へと連れて行き、
たまたま欠員が出たステージにアダムを出演させる。
これが思いのほか好評で、アダムもダンサーの一員に。
金に女、きらめくステージ。アダムは享楽的生活に身を委ねる。

そんなアダムには病院に勤める堅実な姉ブルックが。
弟の変化に驚き戸惑うが、マイクを信用して任せるより仕方がない。

一方のマイクは貯金を頭金に低金利のローンに申し込むが、
過去にこれといった職業に就いていない彼はすげなく断られ……。

クラブのボス、ダラスを演じるマシュー・マコノヒーがイッちゃってます。
出演者には『パシフィック・リム』とはちがう楽しさがありそう。

物語に思ったより深みはなく、人間関係もわりと薄っぺらい。
アダムのおぼっちゃまぶりが腹立たしいほどで、
ずいぶん年上のマイクをつかまえて「親友になるべきだ」なんて台詞はのっけからシラけます。
女をはべらせてクスリと酒に酔ってぐだぐだ、
自分で責任を取れるはずもなく、彼が元凶になっているのに、
『最後のマイ・ウェイ』で母親を見限れなかったのと同じく、これもマイクが助けてしまうんですねぇ。

若さとはこういうものなのか。残酷です。
その後のチャニング・テイタムは見てのとおりですから、
クラブ脱却、正解だったということで。

ストリップシーンは大サービスと言っていいぐらいてんこ盛り。
思う存分たのしみましょう。

こうして、1本目の上映は9:50から、5本目の終映は21:55で、1日を終えたのでした。

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『さよなら渓谷』

2013年08月20日 | 映画(さ行)
『さよなら渓谷』
監督:大森立嗣
出演:真木よう子,大西信満,鈴木杏,井浦新,新井浩文,
   木下ほうか,三浦誠己,鶴田真由,大森南朋他

5本ハシゴの4本目、1階下のシネ・リーブル梅田にて。

今月初めに原作を読了しています。
映画はDVD化されてから観るつもりでいましたが、なんとかハシゴに組み込み。
この日観た5本のうち、私はこれがいちばん心に残ったかも。

都心からさほど離れていないのに、自然が残る渓谷の町。
長屋式の団地に住む尾崎俊介とその内縁の妻かなこ。

ある日、隣家のシングルマザーが、自身の幼い息子を殺した罪で逮捕される。
容疑者であるその母親は、俊介と肉体関係があったと供述し、
息子がじゃまになったから殺したのではないかと警察は考える。
俊介も任意同行を求められ、取り調べを受けるが否認する。

ところが、容疑者の供述を裏づける証言が得られたとして、俊介は留置所へ。
証言したのはなんとかなこ。
その事実を警察から知らされて驚きつつ、すぐに落ち着いた素振りを見せる俊介。

事件を調べていた週刊誌記者の渡辺は、この夫婦に興味を持ち、
部下とともにふたりの過去を調べはじめるのだが……。

原作のほうがうだるような暑さとけだるさを感じましたが、
映画ももっと長くなってもよさそうなところ、
見せたい部分をコンパクトに上手く繋いでいる気がします。

ネタバレ全開で行きますと、
俊介は大学時代、将来を期待される野球部の投手でありながら、
集団レイプ事件を起こして退部していました。
当時高校生だった被害者の夏美という女性は現在行方不明ですが、
渡辺の調査によれば、事件以降、不幸つづきだった様子。
交際相手に事件を隠せば、結婚目前で興信所に調べられて破談に。
逆に自分から話せば、優しかったはずの彼が豹変、DVを受けます。
渡辺は、こんなことは知らなかっただろうと、責めるように俊介に話します。

しかし、そんなことはない。実はかなここそがその被害者本人、夏美でした。
渡辺の部下(♀)は、夏美の気持ちは理解できないけれどと前置きしたうえで、
もともと事件を知っている俊介には隠す必要がないから、
そういう点では気が楽だったのかもしれないと言います。

「かなこ」という偽りの名前にも意味があります。
不幸になるためにふたりは一緒にいる。幸せになってはいけない。
暗く重たく、やるせない気持ちでいっぱいになりますが、
この余韻は決してしんどいだけのものではありません。
こんな償いかたもあるのだと。
吉田修一って、男のくせして、女の気持ちを描かせても凄いです。

原作と同じ、最後の問い。
「あの事件を起こさなかった人生と、『かなこ』さんと出会えた人生と、
 どちらかを選べるなら、あなたはどっちを選びますか」。

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『クロワッサンで朝食を』

2013年08月19日 | 映画(か行)
『クロワッサンで朝食を』(原題:Une Estonienne à Paris)
監督:イルマル・ラーグ
出演:ジャンヌ・モロー,ライネ・マギ,パトリック・ピノー,
   フランソワ・ブークラー,フレデリック・エポー,ヘレ・クニンガス他

5本ハシゴの3本目、これも梅田ガーデンシネマにて。

この日3回、本作の上映があり、いずれも立ち見の出る盛況ぶり。
しかも年齢層の高いのなんのって。
ジャンヌ・モロー、御年85歳。恐るべき観客動員力です。

フランス/エストニア/ベルギー作品で、
監督はエストニアの俊英と評されているものの、
長編初監督作にこんな大女優が主演って、ビビってしまいそう。
監督本人の母親の話が基になっているそうです。

エストニアに暮らす中年女性アンヌ。
ろくでなしの夫と別れ、母親の介護を続けていたが、その母親が死亡。
すでに独立した息子と娘もつれなく、ひとりぼっちの気分。

そんな折り、パリで家政婦をしないかと仕事の依頼が舞い込む。
長年憧れていた、一度も行ったことのないパリ。
娘に相談するとすぐに受けるべきと言われ、なんとなくパリへ。

しかし、彼女を待ち受けていたのは、毒舌で気むずかしい老女フリーダ。
家政婦なんて頼んだ覚えはないと追い出されてしまう。

アンヌにこの仕事を持ち込んだのは、近くでカフェを経営する男性ステファン。
彼に事情を話しに行くと、考え直してほしいと懇願される。
これまでも数えきれないほどの家政婦が辞めていったらしい。
もう少しだけ耐えてみようと思うアンヌだったが……。

朝食はクロワッサンと紅茶しか取らないというフリーダ。
そう聞いてスーパーで買った袋売りのクロワッサンを用意したアンヌに、
フリーダは「こんなプラスチックは食べられない」と、ポイッ。
その後にアンヌが買いに行くパン屋のクロワッサンの美味しそうなこと。
画面を通り抜けて香りまで漂ってきそうです。

主人と使用人の話と聞けば、思い出すのは『最強のふたり』(2011)。
それに比べると、主人が次第に心を開く過程などは少し弱い気が。
フリーダ役がジャンヌ・モローでなかったら、
インパクトに欠ける作品ではないかと思います。

とはいうものの、ジャンヌ・モローが演じているのですし、
そんな仮定は意味をなしませんよね。
そしてなんぼジャンヌ・モローといえども、
自分より30以上も年下の男に添い寝を請い、体を撫で回す姿にはゲゲッ。(^^;

異国から出てきたふたりが心を通わせてゆく話に、ふと『ラヴソング』(1996)を思い出し、
想像以上の厳しさ辛さがあるのだろうと思いました。

原題は“Une Estonienne à Paris”、すなわちパリのエストニア人。
邦題の「クロワッサン」がとにかく食べたくなる作品でした。

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『最後のマイ・ウェイ』

2013年08月17日 | 映画(さ行)
『最後のマイ・ウェイ』(原題:Cloclo)
監督:フローラン・エミリオ・シリ
出演:ジェレミー・レニエ,ブノワ・マジメル,モニカ・スカッティーニ,サブリナ・セヴク,
   アナ・ジラルド,マルク・バルベ,ジョセフィーヌ・ジャピ,ロバート・ネッパー他

5本ハシゴの2本目、これも梅田ガーデンシネマにて。

1960年代から1970年代 にかけて、フランスで絶大な人気を誇った歌手クロード・フランソワ。
世界進出を目前にして39歳の若さで他界、ゆえに日本も含めて国外ではほぼ無名。
しかし、フランク・シナトラの『マイ・ウェイ』の原曲は彼の手によるもの、
という事実を私も本作で初めて知りました。

1939年、エジプトで生まれたクロード。
フランス人の父親はスエズ運河会社に勤務し、何ひとつ不自由のない裕福な暮らし。
クロードとその姉ジョゼットにも十分な教育を与え、
将来は社会的地位の高い仕事に就くようにと言いつづけている。
イタリア人の母親はギャンブル好きではあるものの、子どもたちを大きな愛で包む。

ところが、スエズ運河が国有化されたことにより、父親は失職、生活が一転。
一家はエジプトを出て行かざるを得ず、モナコに移住。
それまでとは雲泥の差の貧しい暮らしを送ることになる。

エジプトにいた頃から音楽が大好きだったクロードは、
モンテカルロ楽団にドラマーとして応募、見事採用されるが、
父親は大道芸人の息子など要らないとクロードを拒絶。
それでも自分の好きな道に進みたいと、クロードは家を出る。

ドラムにダンスに歌と、何でもこなして人気者となったクロード。
録音したレコードをレコード会社に持ち込み、発売して失敗するもメゲず、
やがて敏腕マネージャーの力もあって、スターダムへとのし上がる。

『マイ・ウェイ』ができ上がるのは物語のずいぶん後になってから。
149分と長めですが、紆余曲折の人生が盛り込まれ、退屈ではありません。
素直だったはずの坊やがこんなにも傲慢になるものかと思わずにいられない場面もあり、
スターになるってこういうことなのかなぁとしみじみ。

調子に乗った彼が怠けそうになるたび、マネージャーが気を引き締めます。
それは素直に聞き入れて、だからクロードは長い間スターの地位をキープ。
いろんな新しいことにチャレンジしています。

最後までクロードと会おうとしなかった父親。
フランク・シナトラが『マイ・ウェイ』を歌うことになったとき、
すでにこの世にいない父親への報告を夢想します。
やっと父親に認められたと感じるクロードの表情が○。
それにしてもギャンブル好きの母親は困ったもの。
それでも突き放せないのが親子なのでしょうかね。

名曲は時代が変わろうとも名曲。
『マイ・ウェイ』だったら、ジプシー・キングスのカバーも好きだな~。

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