夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『エスター ファースト・キル』

2023年04月05日 | 映画(あ行)
『エスター ファースト・キル』(原題:Orphan: First Kill)
監督:ウィリアム・ブレント・ベル 
出演:イザベル・ファーマン,ジュリア・スタイルズ,ロッシフ・サザーランド,
   マシュー・アーロン・フィンラン,ヒロ・カナガワ,サマンサ・ウォークス他
 
上映劇場のなかで仕事帰りにいちばん寄りやすいのはイオンシネマ茨木。
しかし茨木では21:30からの上映しかない。そんな遅い時間に観たら怖いやん。
で、18:35からの上映回があるTOHOシネマズ伊丹へ。
 
忘れたくても忘れられないほど怖くて面白かった『エスター』(2009)。
思えばあれ以降、私はジャウマ・コレット=セラ監督を追いかけています。
13年経って、このように続編というのか前日譚誕生。
ウィリアム・ブレント・ベル監督はどんなふうに料理するのか。
 
『エスター』でコールマン一家に引き取られる以前のこと。
 
エストニアにある精神病院に入院していた孤児リーナが看守らを殺して逃走。
リーナは行方不明者のリストを調べ、自分に最も似た女児エスター・オルブライトになりすますと決める。
彼女がでっちあげたストーリーは、エスターはアメリカ・コネチカット州で誘拐され、
ロシアに連れて行かれて4年、隙を見てようやく逃げ出してきたという話。
 
エスターの失踪事件を担当していた刑事ドナンからオルブライト家に連絡が入る。
エスターが姿を消してからすっかり元気をなくしていた父親のアレンは大喜び。
母親のトリシア、兄のガナーも戻ってきたエスターを受け入れるのだが……。
 
極寒のエストニアの精神病院の様子が映し出される冒頭は、恐怖しかありません。
患者たちに美術を教えることになった教師アナは意気揚々として場に臨んだのに、
ここで最も危険な人物とされるリーナに会って怖じ気づく。
リーナを図らずも逃がすことになってしまい、その殺され方といったら無残このうえなし。
 
低身長症のために外見は9歳、中身は30歳を過ぎているリーナ改めエスター。
そりゃもう不気味ったらない。演じているのは『エスター』から引き続きイザベル・ファーマン。
この女優の他の出演作も観ているはずなのですが、まったく記憶になくて、
『エスター』でしか覚えられない彼女のことが気の毒になるほど。
 
途中まではエスターのことが怖くて怖くて、
こいつとっとと死ねぇ!などと思っていたのですが(とっとと死んだら話も終わってまうがな)、
中盤以降、彼女を応援する側に回ってしまいましたよ、私。(^^;
 
だってね、ネタバレになりますが、ジュリア・スタイルズ演じるトリシアがえげつない。
実はガナーが妹のエスターをはずみで殺してしまっていたという真相。
息子かわいさにガナーをかばい、娘は行方不明になったという筋書きを作り上げたトリシア。
だから、トリシアもガナーもこの世にエスターがいないことを知っていてエスターを受け入れたんですねぇ。
トリシアとエスターの取り引きが成立して、駆け引きも始まるわけです。
 
何も知らないのはアレンだけ。そんなアレンに恋心を抱くエスター。
めらめらと嫉妬心をあらわにするトリシア。こんな三角関係みたないわっ(笑)。
トリシアが怖すぎて、ガナーも嫌な奴すぎて、エスターがんばれ!と思ってしまった。
 
マイケル・センベロの“マニアック”がいい感じにかかって楽しかった。
前作『エスター』にはまったく敵わないけれど、これはこれで普通のホラーとして面白かったです。

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12回目の『RRR』

2023年04月04日 | 映画(あ行)
10回でキリよくやめておくつもりが、また刻みはじめてしまった『RRR』。
12回目は109シネマズ大阪エキスポシティにてIMAXレーザーGT版を。
 
今さら何も書くことはないでしょう。
なのに相変わらず飽きないし、睡魔に襲われることもありません。
なんなのかしら、この取り憑かれるかのような魅力は。
 
新たに気づいたことは別にない。
冒頭、ゴーンド族が暮らすアーディラバードの森の中で
血ぃ大好きなバクストン総督夫人がマッリを連れ去るとき、
ジャングはマッリの母親ロキのすぐ後ろにいますけど、ビームはいったいどこにいるのでしょうねぇ。
その辺におらんのかいなと目を皿のようにして挑んだ12回目ですが、おらんのかいっ。
 
何度観ても笑うのは、ラーマは不死身かと思えることです。
ま、それはビームも同じことなんですが、ラーマのほうが確実に死んでいる。
あんなブサーッブサーッとなんやらかんやらが刺さっても死なない。
ビームが鞭打ちの刑に遭うシーンは直視できるようになりましたが、
ラーマの腰に枝が突き刺さるシーンと、独房に放り込まれて膝がグキッとなるシーンはよう観ません。
 
エドワードが死んだことははっきりしているけれど、
あの憎たらしいロバートは鹿に腕をもがれそうになった後、死にました?
あと、通訳の人。終盤の森の中で拡声器を持って叫んでからどうなったのかしら。
 
そうそう、エドワード役の俳優はその名もそのまんまエドワード・ソネンブリック。
アメリカ人の彼は、ハリウッドは競争率が高いからとムンバイに移住。
そもそも俳優を志すきっかけがボリウッドに魅せられたからのようですね。
そしてしっかりヒンディー語を学んでボリウッドへ。
役柄としてはどうにも好きになれない人ですが、ムンバイに渡って正解だったかと。
 
もう書くことがないかと思いきや、まだまだあるよ、ツッコミどころ。
ビームがラーマを救出しに行くのに際して、兵舎の地図をジェニーに見せてもらえたのはどう考えても変。
指名手配犯がどないしてそんなことできるねんと思うけど、何でもいいや(笑)。
 
シータ役のアーリヤー・バットについて調べたとき、
ボリウッドで縁故主義が大変な問題になっていることを知りました。
彼女は父親が映画監督、母親が女優という映画一家に生まれ、
そのおかげでさまざまな役を射止めたと言われ、批判されていたとのこと。
 
『きっと、またあえる』 (2019)の主演俳優スシャント・シン・ラージプートが
2020年に自殺したのは縁故主義のせいだとされていて、
過去にアーリヤーがスシャントを侮辱するような発言をしたことも問題視されたとか。
どこまでどうなんだかわかりませんが、本作のシータは彼女にぴったりだったし、
よくない噂は聞きたくないですねぇ。
 
それはさておき、いまだにわからんのが、
デリーでビームが世話になる親方家族はいったい何者なのかということです。
誰か教えて~(笑)。

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『シング・フォー・ミー、ライル』〈吹替版〉

2023年04月03日 | 映画(さ行)
『シング・フォー・ミー、ライル』(原題:Lyle, Lyle, Crocodile)
監督:ウィル・スペック,ジョシュ・ゴードン
出演:ハビエル・バルデム,コンスタンス・ウー,ウィンズロウ・フェグリー,
   スクート・マクネイリー,ブレット・ゲルマン,リリック・ハード他
声の出演:石丸幹二,大泉洋,水樹奈々,宮岸泰成,関智一,吉野貴宏他
 
109シネマズ箕面にて。
 
『長ぐつをはいたネコと9つの命』同様に、近場の劇場では吹替版の上映ばかり。
といってスルーするはできないので、見逃さないうちにとりあえず。
 
原作者は10年前に91歳で亡くなったアメリカ人の児童文学作家バーナード・ウェーバー。
彼が1965年に上梓した“ワニのライルのおはなし”シリーズのひとつを映画化したらしい。
監督は『俺たちフィギュアスケーター』(2007)のウィル・スペック&ジョシュ・ゴードン。
 
売れないマジシャンのヘクターは、金儲けできそうな珍獣を探していた折、歌うワニを見つける。
ヘクターはそのワニに「ライル」と名づけ、歌とダンスを猛特訓。
ステージに出してほしいと劇場のオーナーに懇願するが断られ、
ならばと、マンハッタンにある自宅を担保にステージに出演させてもらう話を取り付ける。
しかし、ステージに上がったライルは緊張のあまり立ち尽くすだけ。
手放さざるをえなくなった自宅の屋根裏部屋にライルを残したまま、ヘクターは立ち去る。
 
月日が経ち、何も知らずにその屋敷に引っ越してきたプリム一家。
新しい街で暮らすことに不安いっぱいの少年ジョシュと教師の父、料理研究家の母。
案の定、友だちもできず、つらいことばかりでジョシュは悲しくなる。
 
そんなある日、屋根裏部屋に足を踏み入れたジョシュは、ライルを見つけて大慌て。
窓から飛び出したライルを追いかける途中で暴漢に襲われかけるが、
逃げていたはずのライルがそこへ舞い戻り、ジョシュを救う。
 
ライルは歌うけど喋らない。それでもジョシュと心を通わせるように。
そうこうしているうちに、あのヘクターが戻ってきて……。
 
台詞も歌もすべて日本語で吹替なのかと思っていたので、
オープニングで英語の歌声が聞こえてくると、えっ、どこまで吹替なのかしらと戸惑います。
 
ライルの風貌も子役のウィンズロウ・フェグリーもイマイチ可愛くないし、
母親役のコンスタンス・ウーにもなんだかちょっと違和感があるから、
手放しでよかったとは言えないのですけれど、それなりに楽しいです。
 
ライルによって元気づけられるのがジョシュのみならず、
売れっ子の料理研究家ながら、方針に迷ってスランプに陥っている母親や、
着任した学校で生徒に無視されて自信を失っていた父親も、というのが○。
 
ハビエル・バルデム演じるヘクターは、ライルに愛情があるのか、
金さえ儲けられれば何でもいいと思っているのかわかりません。
それでも、鬱陶しい階下の住人を黙らせるシーンは胸がすく。
ラストはオイシイところをきっちり持って行くのも彼です。
字幕版でいちばん見たいのはやはり彼ですよねぇ。
 
ライル役のショーン・メンデスの歌声を聴くためにも、字幕版に行かなあかんか。
まだ24歳の若さで、美形で、シンガーソングライターで、ファッションモデルですもの。気になる。

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『【推しの子】Mother and Children』

2023年04月02日 | 映画(あ行)
『【推しの子】Mother and Children』
監督:平牧大輔
声の出演:高橋李依,大塚剛央,伊駒ゆりえ,伊東健人,
     高柳知葉,内山夕実,有馬かな,潘めぐみ他
 
観るつもりはなかったのですが、1本で帰るのがもったいなくなり、
イオンシネマ茨木で『長ぐつをはいたネコと9つの命』を観たついでのレイトショー。
 
当然、私はまったく知らないアニメです。
「推しの子」のタイトルそのままに、アイドルに推しの子がいるわけね、
そんな程度に思って観はじめたら、なんか斬新で驚いた(笑)。
 
赤坂アカ原作、作画は横槍メンゴの漫画だそうです。
2020年より『週刊ヤングジャンプ』で連載中とのこと。
TVアニメ版はこの4月から放送予定で、本作はそれに先駆けて劇場で上映される第1話らしい。
 
雨宮吾郎は宮崎県の山間地域にある病院の産婦人科医
入院患者の少女がアイドルグループ“B小町”の不動のセンター・星野アイの大ファンだったことから、
吾郎自身もアイのことが気になりだし、やがてひそかに熱烈なファンとなる。
 
そんな折、「アイは体調不良のためしばらく休養」とのニュースが。
ところがそのアイ本人が吾郎の前に現れたではないか。
プロダクションの社長に連れられてやってきた彼女は、なんと双子を妊娠中。
こんな田舎の病院ならば誰にもバレないと思って選んだらしい。
自分自身がファンであることは隠して、患者がファンだったことをアイに告げる吾郎。
 
アイが16歳にして妊娠していることにショックを受けつつも
推しが目の前にいるという事実が嬉しくもある吾郎だったが、
ある日、どこかからアイのことを追ってきたとおぼしき男に襲われ、命を落とす。
 
目が覚めると、吾郎はアイが産んだの双子の片割れ男児として生まれ変わり、
愛久愛海(アクアマリン)というキラキラネームを付けられていた。
もうひとりの片割れ女児は愛久愛海よりはマシかと思われる(?)瑠美衣(ルビー)。
 
見た目は赤ん坊のアクアだが、中身は転生前の記憶をそのまま持つ吾郎。
自分だけかと思いきや、ルビーも実は転生前は大人だったことを知る。
しかもふたりともアイの大ファンで……。
 
なんと面白い設定なのでしょう。
最初に私が驚いたのは、「自分が芸能人の子どもに生まれたらと思ったことはない!?」という問いかけです。
金持ちに生まれたらとか美人に生まれたらとかはそりゃ考えたことがあります。
でも、芸能人の子どもに生まれたかったなんてことは一度も考えたことがなくて、
イマドキの子はそんなふうに考えるのか、いや、イマドキに限らず、そう考える人が多いのかしらと驚きました。
 
出産を隠したまま芸能活動に戻るアイ。
彼女自身は出産に問題があるなんて1ミリも思っていないし、ひたすら明るい。今のところ。
こんなに簡単に育児ができるものだろうかという疑問はありますが、
見た目が子どもなだけで中身が大人なら、無茶苦茶にはならないでしょうか。
 
振り回されたうえにアクアやルビーから脅されるプロダクション社長妻が可笑しい。
この後さらに面白い展開が待っていると思われるけど、TV版を観ている時間は私には作れません。(^^;

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2023年3月に読んだ本まとめ

2023年04月01日 | 映画(番外編:映画と読み物)
2023年3月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:3349ページ
ナイス数:604ナイス

■ノワール・レヴナント (角川文庫)
今年は絶対ひと月に10冊読むぞと決めていたのに、本作に手を出したせいで既にアウト。薄い本なら優に3冊分はある760頁超。2月にして早くも目標を達成できなかったのは残念だけど、3冊分以上の楽しさがありました。見えないものが見える、聞こえないものが聞こえる、読めないものが読める、何でも壊せるという能力を持つ高校生4人が引き合わされて陰謀に挑む。どの場面にもドキドキさせられ、それぞれの面白いキャラにも惹かれます。あのクズ野郎を壊してやってほしかったけれど、そうしなかったのもたぶん良いところ。こんな青春、好きだ。
読了日:03月01日 著者:浅倉 秋成

■大河への道(河出文庫)
映画版は公開時に劇場で鑑賞済みです。1冊のボリュームとしてはすぐ読了できる程度に薄め。だけどいくら薄めといえども、これを丸ごと1時間半かけてしゃべる落語家がいるとは信じがたい。オリジナルである立川志の輔の落語をめちゃめちゃ聴きたくなります。映画版と大きく異なる点は、脚本家がベテランではなくてわりと若いということ。映画版の橋爪功には笑わされました。それから、映画版は原作以上に問題が勃発。しかし200頁付近の、上様の前に地図が広がるシーンは、映画版未見の人にはぜひご覧いただきたい。ジワッと来て涙目になります。
読了日:03月04日 著者:立川志の輔

■旅のオチが見つからない インド&南アジア混沌ドロ沼!一人旅 (メディアファクトリーのコミックエッセイ)
昨年から「追いRRR」中でとりあえず10回劇場に足を運んだ私としては、インドがメインのこの旅の話を見逃すわけにはいきません。残念ながら『RRR』の舞台となっている辺りは出てこないけれど、めっちゃ面白かった第1弾に続き、食べ物の描写は特に秀逸。『RRR』の中でアクタルが食事していたシーンなども思い出されて嬉しくなります。売り切れた料理の代わりの対応には怒る気も失せるどころか爆笑。それが当たり前のインドって、いいなぁ。インドへの興味は強くなったけど、だからって私に著者のような旅ができるかと言われたら絶対ムリ!
読了日:03月07日 著者:低橋

■復讐の協奏曲 (講談社文庫)
御子柴弁護士事務所のスーパー事務員の正体が明らかになります。凄いリーダビリティ。あっというまの370頁。生まれついてのサイコパスはこの世にいると思うし、そういう人たちの矯正だとか更生だとかはできないと思っています。だけどこのシリーズを読んでいるときだけは、できるかもしれないと思う。自らが起こした殺人事件について反省の弁を語ることは一切なく、許しを請うこともない。ただ淡々とすべきことをするだけ。そんな彼の姿に胸が詰まりそうになったことが何度か。倫子ちゃんは確実に将来の中山七里作品の主人公になり得る。来い!
読了日:03月08日 著者:中山 七里

■闇に堕ちる君をすくう僕の嘘 (双葉文庫 さ 47-02)
ここ数カ月間に読んだ本のタイトルに「嘘」と付くものが目立ちます。『嘘つきは殺人鬼のはじまり』とか『誠実な嘘』とか。嘘の話はどれもたいてい嫌な感じに終わる。それらに比べると本作は救いがあったけれど、終盤まで先がまったく見えず、主人公の太輝と巫香の関係を見守ることになりました。巫香の身に何が起きたのかを知ったときにはあまりに唐突な気がして、ここでこの嘘はどうなんだろうとちょい疑問。予想しなかった展開に、『3年B組金八先生』の中学生カップルを思い出したりなんかもして(全然違うけど)。売れそうなタイトルですよね。
読了日:03月13日 著者:斎藤 千輪

■カケラ (集英社文庫)
私にとって湊かなえ辻村深月は「好きではないけれど必ず読んでしまう作家」の二大巨頭です。しかしこのところ、後者は好きになりつつあって、それというのも「切なさ」を感じられるようになったから。切ない作家が好きなんです。前者はやっぱり切なくない。なのに面白くて止まらない。自殺した少女について、美人カリスマ美容外科医が聞き取りをおこなう。関係者らのモノローグ形式で構成されています。「いじりというのは、いじられた側に得がないとそう呼んではいけない、得がなければそれはいじめ」という、「いじり」の定義が印象に残ります。
読了日:03月20日 著者:湊 かなえ

■シンクロニシティ 法医昆虫学捜査官 (講談社文庫)
大人買いしたシリーズ。第1弾の後すぐに読みたかったところをこらえて7カ月。何もこんなに辛抱しなくてもよかったのに(笑)。プロローグは三津田信三×内藤了のようで期待が膨らむ。赤堀女史が登場すると一気に明るくなるけれど、期待に違わず。昆虫はわりと苦手な私ですが、なぜか昔からトンボを捕るのだけは得意で、今でも素手で捕まえられます。しかしトンボに性モザイクなんてあることも知らなかったし、昆虫業界がどういうことになっているのかもわかって、あらゆる点で興味を引かれました。刑事と女史のロマンスはないままでお願いします。
読了日:03月27日 著者:川瀬 七緒

■禍事 警視庁異能処理班ミカヅチ (講談社タイガ)
前巻までの怪異に比べるとおとなしめというのか、起きる怪異そのものよりも、幽霊上司・折原の過去だったり主人公・怜の生い立ちだったりが紹介される巻になっています。とはいうものの、冒頭で怜が出くわす怪異は勘弁してほしいぐらい凄絶ですけれど。折原警視正の家族と怜が会うシーン、その話を警視正が聴くシーンには涙がこぼれそう。怜がこのチームに居場所を見つけたことが改めて嬉しくなります。ミカヅチ班とその周辺の誰もが魅力的。私はオカルトは信じ(たく)ない派ですが、それでも面白半分に足を踏み入れてはいけない場所はきっとある。
読了日:03月28日 著者:内藤 了

■羽生結弦は助走をしない 誰も書かなかったフィギュアの世界 (集英社新書)
失礼ながら著者のことを存じ上げず、映画『エゴイスト』を観た後で彼のことを知りました。羽生結弦くんの単なるミーハーファンである私は、もっとおちゃらけた羽生くん談義を想像していましたが、どっこいとても真面目に彼のことを考察していらっしゃいます。フィギュアを「いっぱい回った」とか「高く飛んだ」とかそんな視点でしか観ていなかったので、こうして羽生くんのみならず、ほかの選手についても細かく説明してもらえるのは面白くありがたい。丁寧な語り口調も嬉しくなります。著者がすでにお亡くなりになっていることが残念でなりません。
読了日:03月30日 著者:高山 真

■手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ) (小学館文庫)
今日で3月も終わりで、10冊読了を達成するために何か薄い本と思ったら、もうこれを読むしかないじゃないですか。近頃こんな読み方ばかりしていてごめんなさい、穂村さん。彼に憑依した少女の短歌って、いったい何なんですか。そういう妄想の設定なのかしらと思いましたが、読了後の今もこれがホンモノとは思いづらくて、やはり妄想なのか、というよりも妄想であってほしいと思わなくもない(笑)。あとがきにある或るお方の言葉、「正直、あれには引きました」。申し訳ありません、私も同感でございます。才能のかけらもない私には詠めないけど。
読了日:03月31日 著者:穂村 弘

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