12月31日の夜9時20分からNHK教育テレビで放映された「クラシックハイライト2008」。クラシック音楽のすべてのジャンルで昨年一年間の優れた公演を紹介する番組でした。
オベラではサントリーホールで行われたコンサート・オペラの「フィガロの結婚」が紹介されました。コンサートオペラというのは、オケをバックにただ歌うだけかと思いきや、ある程度の舞台があり、衣装などはオペラの雰囲気そのものなのに驚きました。これなら、オペラ・ハウスで行うオペラも顔負けです。また、演奏や歌唱力も素晴らしく、紹介されるのも納得できます。
なかでも、スザンナ役のダニエレ・デ・ニースが生き生きとしてとても素敵でした。
バイオリン独奏ではジュリアン・ラクリン(Vn)とイタマール・ゴランのサンサーンス作曲「序奏とロンドカプリチオーソ」。
さすがに、数多く行われたであろうバイオリン演奏会の中で唯一選れただけあって、凄まじいばかりの演奏でした。
ラクリンはビアノのすぐ側に立ち、ピアノとの合奏が緊密になるよう心がけていたのが、印象的でした。
合奏では、ロイヤル・コンセルトヘボー管弦楽団のブラスクインテットの演奏会。全員がロイヤル・コンセルトヘボー管弦楽団の主席管楽器奏者ということですが、グリカン作曲の「ルスランとリュドミーラ序曲」を演奏しました。
チューバやトロンボーンまでもが、素早いパッセージを引きまくる、その超絶技巧ぶりが見事でした。
協奏曲では、庄司沙矢香さんがユーリ・テミルカノフ指揮のサンクトペテルブルグ・フィルハーモニー交響楽団と「チャイコフスキーのバイオリン協奏曲」を演奏しました。
私は、2005年に彼女のベートーヴェンのバイオリン協奏曲を聞いています。その当時に比べ、さらに一回り大きなり、テクニックも磨かれた演奏に感動しました。
オーケストラではパーボォ・ヤルヴィ指揮フランクフルト放送交響楽団の「ブルックナー第7番」の第2楽章とリッカルド・ムーティ指揮ウィーンフィルによるチャイコフスキーの交響曲第5番の第4楽章が紹介されました。
そしてバレエの 「ラ・バヤデール」。この番組の中で一番感銘を受けたのは、新国立劇場で行われた、このバレエでした。昨年の暮れ、ウィーン国立歌劇場で、このバレエを見て以来、すっかりこのバレエのファンになりました。古代インドの王室を舞台にした若い男女の愛憎渦巻く世界を巧みに表現したオリエンタリズムにあふれたバレエです。
このバレエのハイライトでの紹介でしたが、かって、ウィーンで見たより、遙かに優れた出演者と豪華な舞台と服装そして演出でした。
ウィーン国立歌劇場のバレエ「ラ・バヤデール」(めいすいの音楽随想) 参照
あらすじ
まずは、プリマンドンナのニキア役スヴェトラーナ・ザハロフ。手と足が長く柔らかな踊りが素晴らしい。
このバレエには、舞姫ニキアが毒蛇に噛まれて死んでしまう場面。戦士ソロル(デニス・マトヴィエンコ)が従者に勧められて阿片を飲み幻想の中でバヤデール (踊り子) たちとニキアに会うシーンがあり見所になっています。
ほかにも、婚約式のシーンでの金色の仏像(八幡顕光) の踊りがあります。舞台美術も豪華です。
王女ガムザッティ(湯川麻美子)とソロルの踊りなどのシーンも素晴らしい。
そして、寺院でソロルとガムザッティの結婚式が行われるのですが、ニキヤとの愛の誓いを破ったソロルに神が怒り、寺院が崩壊して全員死ぬという話の展開になっています。私は新国立劇場での、この場面を見ていないのでぜひ見てみたいという気がします。
そして天国(影の王国)でソロルとニキアは結ばれることになります。
そこで踊られるパ・ド・ドゥ(群舞)。右手奥の坂路から一人ずつ32名が降りてきてきます。
このパ・ド・ドゥは古典バレエ屈指の名場面といわれていて、まさに幻想的です。新国立劇場バレエ団の踊りは一糸乱れず、世界一流であるという評価通りでした。頭から下りるタイとチュチュのデザインもグッド。
最後に踊られるニキアとソロルの踊り。二人の持つ白いベールは二人が結ばれたことを意味しています。
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