めいすいの写真日記

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枕草子(2)・・・100分de名著

2014-10-14 | 読書

NHKのEテレで放映されている「枕草子・・・100分de名著」の2回目を前回に続き書くことにします。

第2回 魅力的な男とは?女とは?

 平安時代の貴族の結婚形態は「一夫一婦多妾制」で、法律的な妻は一人ですが、多くの妾妻を持つことが認められていました。
当時の貴族達は、自由に恋愛を楽しむことが許されていたようです。
  もう一つは「通い婚」、男性が女性の家に通う。男性は11時頃までに女性の家に行き、3時から5時ころの間の暗いうちに家に帰る。
誰のところに行ったか分からないようにするためとのことです。
 「枕草子」が書かれた時代、特に貴族社会では、現代と風習がかなり異なっていたことは確かなのですが、書かれていることは今なお
普遍的なことが多いのは、古典ならではと言えます。

 清少納言が描く魅力的な男

①イケメン


  第31段 「説教の講師は」

説教の講師は、顔良き。講師の顔をつとまもらへたるこそ、その説くことのたふとさもおぼゆれ。ひがめしつれば、ふと忘るるに、
にくげなるは、罪や得らむとおぼゆ。このことはとどむべし。すこし年などのよろしきほどは、かやうの罪得方のことは書き出でけめ、
今は罪、いとおそろし。

「説教してくれるお坊さんは、やっぱり顔がよくなちゃ。美男のお坊さんの顔をじっと見つめていてこそ、説教のありがたみもあるというものよ。
顔が良くないとついよそ見をしてしまう。そうすると説教の内容なんかたちまち忘れちゃうから、顔の悪いお坊さんの話、不信心の罪を犯す
ことになるのでは、と心配になるわ。
でも、、もうこの話は止めるわ。だって私の年じゃあ、来世の罪が恐ろしいもの!」

当時は、仏教への信仰心は現在とは比べものにならないくらい重要なことだったはずですが、こうしたことを大胆に言い切るのは、清少納言の
面目躍如たるところ。若い女性には、喝采を受けたことでしょう。

②ファッションセンス

第79段 返る年の二月二十余日
桜の綾の直衣の、いみじうはなばなと、裏のつやなど、えも言わずきよらなるに、葡萄染のいと濃き指貫、藤の折枝おどろおどろしく
織り乱りて、紅の色、打目など、かがやくばかりぞみゆる。白き薄色など下にあまた重なりたり。せばき縁に、片つ方は下ながら、すこし
簾のもと近う寄りゐたまへるぞ、まことに絵にかき、物語のめでたき事に言ひたる、これにこそはとぞ見えたる。

 頭中将の斉信は、全体を赤系のグラデーションでまとめ上げています。上には、全体として桜の花びらのようなピンクに見える直衣を
着ている。直衣の下からは光沢のある紅の下着が、シャツ出しルック風にみえている。下半身には、藤の折枝模様を織り込んである
赤紫の色濃い指貫、後には、白や薄紫色の裾が長くたなびいている。
 ピンク、紅、赤紫、薄紫と、赤系の濃淡で衣装をまとめています。それを際立たせるように、白も配色してあります。何とも派手な
衣装です。しかも、すべて絹ですから、色彩が派手なだけでなく光沢もある。斉信の姿は、まるでオーラが出ているように
まばゆかったに違いありません。なんてステキなファションのうえにポーズもきまっています。

平安時代の貴族の男性の服装が、こんなにも鮮やかであったなんて思ってもみませんでした。女性は十二単の美しい衣装
という話を聞いてはいましたが・・・・。それだけ、財力もあったということでしょう。
それと第1回の時も触れましたが、この素敵な男性は清少納言の恋人なのです。さすがですね。

③逢瀬の余韻を大切にする

第182段 好き好きしくて人かず見る人の
好き好きしくて人かず見る人の、夜はいずくにかありつらむ。暁に帰りて、やがて起きたる、ねぶたげなるけしきなれど硯取り寄せて、
墨こまやかに押し磨りて、事なしびに、筆にまかせてなどはあらず、心とどめて書くまひろ゛に姿もをかしきみゆ。

色好みで、多くの女性と関わりを持つ人は、夜はいったい、どこに行っているのだろうか。暁に帰えって、そのまま起きている、
眠たそうな様子だけれども、墨を念入りに押し磨って、おざなりではなく、筆任せでもなく、心込めて書いている姿は面白く見える。

女性の家から自宅に帰った男性は、すぐに「後朝(きぬぎぬ)の文(ふみ)」(逢瀬の翌朝の手紙)と呼ばれる手紙を書かなければなりません。
「昨夜は楽しかったね」「昨夜のあの話はこうゆうことだったのかな」など逢瀬の余韻を楽しみながら、心のこもった手紙を女性に出すわけです。

通い婚というのは、常に恋人同士でいるという感覚なのでしょうから、香を身にまとい、見栄えのする衣装を着て、翌朝には心のこもった
手紙を送る。考えによっては、昔のモテモテの貴族は、今よりは相当な努力をしていたと考えられます。



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