マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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長谷町垣内脇のシメナワサン

2011年02月01日 08時57分48秒 | 奈良市(東部)へ
大晦日から降った雪は山間部を雪景色にかえた。

なにもかもが真っ白に染まった。

それだけ生活が不自由になってしまう。

雪見酒どころではないが、長谷町垣内脇のN家では翌日の2日にも家の正月が行われている。

玄関口に取り付けた藁製の長い棒のようなもの。

それは直角以上に折って曲げている。

それが崩れないように藁紐で括っている。

正月二日の朝はこのなかに四角いモチとご飯を入れる。

箸で摘んで入れる量はほんの少しだ。



「じいちゃんが亡くなってからは私が代わりにしている」と話す当家のおばあさん。

本来は当主がするものだがと前置きされて言うには「年寄りの役やし、ダイドコロするものとして受け継いだ」と。

シメナワサンと呼ばれているこの藁棒はいったい何だろうか。

手の形のような杓子のようでもある。



大和郡山市番条町の酒造り家の玄関口。注連縄を飾る。

その注連縄のユズリハは葉を丸くして炊き立てのゴハンメシを供える。

歳神さんに食べてもらうのじゃと神棚にメシを供えるように3、4粒供えるという話しを思い出した。

当家で行われるのも同じ意味があるのではないだろうか。

形は違えども歳神さんに食べてもらうことは同じようだと思えてきた。

長谷町の当家はもうひとつの藁棒を持ち出した。

これには受け手の部分がない。

藁の内部に詰め込むのはやはりモチ。

何個も入れて膨らまし気味にする。

それを樹木にぶら下げる。



山に住む野鳥がこのモチを食べるのだという。

野鳥はたいがいがカラス。

ぶら下げた直後にやってくるカラス。

だからかどうかは判らないがこれをカラスノモチと呼んでいる。

山の鳥獣へ食べ物を施す「寒施行(かんせぎょ)」の行為を思い起こす作法であった。

本来は4日にされるのだがご厚意で早めてもらった。

(H23. 1. 1 EOS40D撮影)