国家安寧を祈り万民の平和、五穀豊穣を願う行事である修正会。
正月行事にあたり初祈祷とも呼ばれていて、各地域のお寺で行われている。
矢田山の中腹にある矢田山金剛山寺(やたさんこんごうせんじ)も同じように正月始めの2日に行われた。
この日は牛王(※注)加持(ごおうかじ)といって牛のひづめの形をした朱印を押したお札が祭壇に供えられる。
ひとつは青竹に挟んだお札。
もうひとつは(ハゼ)ウルシ棒(ウルシに被れる場合はネムの木)の挟んだものだ。
それは導師が祈祷するものと僧侶がするものである。
お札はお寺の文字が刷られている。
行事の前に当番の寺が版木を用いてあらかじめに刷ったものだ。
当番の僧坊は毎年交替するそうだ。
基壇には8枚重ねたモチを供える。
それを花餅(けひょう)といい、数皿に盛っている枚数は45枚(本来は一皿に8枚×6盛の48枚)だそうだ。
お正月らしく雑煮の椀も供えられた。
本堂の扉から入堂された僧侶たち。
四つの僧坊になる念仏院、大門坊、北僧坊、南僧坊の住職たちだ。
山主(さんしゅ)である念仏院の僧侶が導師となってお勤めが行われる。
内陣周りには一老である大門坊、二老の北僧坊、三老は南僧坊と席は決まっている。
数人の僧侶は弟子と呼ばれる師弟の僧侶だ。
灯火が点され太鼓が打たれた。
参拝者の姿は見られないなか修正会が始まった。
堂内に深く静かにお経が唱えられる。
30分ほど経ったころだろうか僧侶たちは立ちあがって時計回りに動き出した。
音もなく静かに基壇の後方に回っていく。
1周したのちドン、ドンというかコツ、コツという音が聞こえだした。
それは1周されて席に戻った。
そして唱えられた経文。
持っているのは杖だ。
それはヤナギの木であろうか判らない。
北僧坊の話では子供のときからずっと使っている杖だという。

前方に突き出して唱えていく。
それを終えると再び動き出した。
何度も床を叩く音がする。
6人の僧侶が回る回数は3回。
3度とも床を叩く。
これはランジョウと呼ばれる悪魔祓いとされる作法だ。
かつては壁板も叩いていたという。

杖は元に戻され、再び席について唱えられたのが神名帳。各地の神社名が詠みあげられる。

そして一人の僧侶が基壇の前に立った。
読みあげるのは寄進された人たちの名だ。
花餅三昧はそれだけの人の数である。
それを終えると祭壇に供えられた牛王宝印はそれぞれの僧侶の位置に置かれた。
青竹は導師にウルシ棒のお札は僧侶たちに。
牛王加持と呼ばれる作法である。
農作をするには牛が必要だった。
農業を営む人にとっては大切な牛。牛は宝なのだと僧侶はいう。
現在では見ることもなくなってしまった農耕の牛。
その蹄(ひずめ)が押されたお札を祈祷するのは豊作を祈願するものなのである。

扇のような形をした中啓(ちゅうけい)に挟んで祈る牛王加持。
修正会は祈りを捧げて静かに終わった。
※注 県内寺院で行われている修正会の多くが「牛玉」と表記されているが矢田山金剛山寺ではこれを「牛王」としている。
(H23. 1. 2 EOS40D撮影)
正月行事にあたり初祈祷とも呼ばれていて、各地域のお寺で行われている。
矢田山の中腹にある矢田山金剛山寺(やたさんこんごうせんじ)も同じように正月始めの2日に行われた。
この日は牛王(※注)加持(ごおうかじ)といって牛のひづめの形をした朱印を押したお札が祭壇に供えられる。
ひとつは青竹に挟んだお札。
もうひとつは(ハゼ)ウルシ棒(ウルシに被れる場合はネムの木)の挟んだものだ。
それは導師が祈祷するものと僧侶がするものである。
お札はお寺の文字が刷られている。
行事の前に当番の寺が版木を用いてあらかじめに刷ったものだ。
当番の僧坊は毎年交替するそうだ。
基壇には8枚重ねたモチを供える。
それを花餅(けひょう)といい、数皿に盛っている枚数は45枚(本来は一皿に8枚×6盛の48枚)だそうだ。
お正月らしく雑煮の椀も供えられた。
本堂の扉から入堂された僧侶たち。
四つの僧坊になる念仏院、大門坊、北僧坊、南僧坊の住職たちだ。
山主(さんしゅ)である念仏院の僧侶が導師となってお勤めが行われる。
内陣周りには一老である大門坊、二老の北僧坊、三老は南僧坊と席は決まっている。
数人の僧侶は弟子と呼ばれる師弟の僧侶だ。
灯火が点され太鼓が打たれた。
参拝者の姿は見られないなか修正会が始まった。
堂内に深く静かにお経が唱えられる。
30分ほど経ったころだろうか僧侶たちは立ちあがって時計回りに動き出した。
音もなく静かに基壇の後方に回っていく。
1周したのちドン、ドンというかコツ、コツという音が聞こえだした。
それは1周されて席に戻った。
そして唱えられた経文。
持っているのは杖だ。
それはヤナギの木であろうか判らない。
北僧坊の話では子供のときからずっと使っている杖だという。

前方に突き出して唱えていく。
それを終えると再び動き出した。
何度も床を叩く音がする。
6人の僧侶が回る回数は3回。
3度とも床を叩く。
これはランジョウと呼ばれる悪魔祓いとされる作法だ。
かつては壁板も叩いていたという。

杖は元に戻され、再び席について唱えられたのが神名帳。各地の神社名が詠みあげられる。

そして一人の僧侶が基壇の前に立った。
読みあげるのは寄進された人たちの名だ。
花餅三昧はそれだけの人の数である。
それを終えると祭壇に供えられた牛王宝印はそれぞれの僧侶の位置に置かれた。
青竹は導師にウルシ棒のお札は僧侶たちに。
牛王加持と呼ばれる作法である。
農作をするには牛が必要だった。
農業を営む人にとっては大切な牛。牛は宝なのだと僧侶はいう。
現在では見ることもなくなってしまった農耕の牛。
その蹄(ひずめ)が押されたお札を祈祷するのは豊作を祈願するものなのである。

扇のような形をした中啓(ちゅうけい)に挟んで祈る牛王加持。
修正会は祈りを捧げて静かに終わった。
※注 県内寺院で行われている修正会の多くが「牛玉」と表記されているが矢田山金剛山寺ではこれを「牛王」としている。
(H23. 1. 2 EOS40D撮影)