マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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粟原天満宮・勧請縄の残欠

2020年03月19日 09時49分04秒 | 楽しみにしておこうっと
知人のUさんが、FBにアップしていた神社が気になる。

神社そのものでなく、ご神木かどうかわからないが、大きく育った杉の大木である。

階段を登りきったそこに植わっている大木は左右に1本ずつ。

境内側からとらえられたその1本の映像に、とても気になる物体がだらりと下がっていた。

目を凝らしてみれば、太い縄である。

房もありそうなその縄は注連縄、それともカンジョウナワであろうか。

実態を見たくなって車を走らせた。

目的地は桜井市粟原(おうばら)に鎮座する天満宮である。

カーナビゲーションにセットしたその地は山の方。

集落から細い道をさらに登ったところにある粟原寺跡は国史跡

史跡巡りに訪れる人は多いようだが、すぐ近くに鎮座する天満神社には目がいかないようだ。

神社に架かる太い縄のことを知りたくて、屋外におられた二人の男性に声をかけた。

太い縄は、カンジョウツナ。

充てる漢字は勧請綱である。

男性が云うには、太い勧請綱の縄結いが難しいようだ。

若手ではできない縄結い。

長老に教えてもらいながら結っている、という。

特に難しいのが捻り。

縄結いに数人。

身体の捻りと綱をもつ腕の捻りは逆の動きになる。

頭では理解できても、身体と腕がなかなかついていかんらしい。

勧請綱にぶら下げる房がある。

その房の個数は三つであるが、材は葉がある榊(サカキ)の木である。



勧請綱を架けた翌日以降に村の人が亡くなられた場合は、すぐさま綱を切る習わしがある。

今年の勧請綱は、この9月までずっと落ちずに、また切ることもなく、架けたままにしていたが、朽ちてきた状態をみて、そろそろ落とさなくては、と切り落としたそうだ。



切ろうが切ろまいが、特に決まりもないが、古い勧請綱は翌年の小正月。

つまり1月15日(※現在は成人の日)に行われる大とんどに燃やされる。

粟原のとんど場は、地区にある火の見やぐらのある畑地。

所有者の了解を得て借用した場でとんど焼きをしていた。

大とんどもとても大きい。

伐りだした100本の竹で組んだとんど櫓。

近年のことである。

とんどを燃やしたら焼けた葉っぱが飛散した。

旧村で行われているとんどはいずこもそうであるが、粟原の大とんどの竹があまりにも多かったのか、焼けた量はそうとうなものだったそうだ。

その日の風、天候具合もあって飛散量が多かったこともあって周辺地域から苦情の声があがったようだ。

そのことがあって、規模を縮小したとんどに切り替えるようだ。

昔は子どもも大勢いた、と祭りの神輿も話してくださった。

そのころの神輿は4人乗り。

少子化の波は全国的。

ここ粟原もご多分に洩れず少子化。

神輿に乗る村の子どもは3人。

そうであっても神輿を担ぎだす。

集落を巡行/下り尾や名寄地区境界まで。

行き交う車の多い国道166号線を担いで巡行するには難しいと判断されて、軽トラに載せて巡行している、という。

聞き取り者が紹介してくださったI区長家を尋ねたが、本人はお出かけ。

伺った奥さんは、戻ったら電話させていただきます、と・・。

3カ月先の正月明けにしているという勧請綱架けは午後いちばん。

当日はよろしくお願いしますと伝えた。

(H30. 9.23 EOS7D撮影)