マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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旧西吉野村・ハゼ架けのある永谷

2023年12月11日 08時20分10秒 | 民俗あれこれ(干す編)
永谷の入り口にさしかかろうとしたそのときだ。

右手に当然の如く現れたハザカケに思わず車を停めた。

ここは旧西吉野村の永谷(えいたに)。

現在表記は、五條市西吉野町の永谷である。

平成17年9月25日、吉野郡西吉野村は大塔村とともに五條市に編入され、村を廃止し、西吉野村は西吉野町に大塔村は大塔町に冠を替え現在に至る。



この日は、十津川村の民俗取材。

はじまる時間は午後7時。

到着するまでの行程は自由行動。

余裕のある時間帯に、撮っておきたい山間地のハザカケ景観に出くわした。

さらさら流れる上流地の永谷川のすぐ傍に稲田がある。

干している稲は、今日に干したのなら緑色。

その色が見られないから一週間前くらいに稲刈りをしたのだろう。

川向こうの田んぼ。

両端に立てていたウマに架けたハザカケ景観。

午後2時過ぎの時間帯にお天道さんの光は差し込まない。

限られる時間に天日干し。



橋の欄干を利用したハザカケ。

左手の稲田にぽつんと残した稲田がある。

その奥にある構造物。

支柱も竿も木製の構造物もまたハザカケする道具。

近くまで寄っていけばわかるが、今は使っていない多段型のハザ場。

向こうにガードレールが見える。

奥に入っていけば数軒の民家がある。

平成28年9月15日に訪れた永谷

ご存じの方もおられると思うが、道に沿っていけば右手に温泉地がある。

平成27年4月10日に開業された西吉野桜温泉

宿泊もできる温泉地に、今も人気のようで、泉質がいいと伝える口コミも多い。

私が求める民家は、温泉地よりまだ向こう。

今もハゼ、またはハデと呼ぶ構造物に稲架けをしているのだろうか。

以前に訪れた日とは若干のズレはあるが、多段型のハゼ架けは、今から5年前の平成28年9月15日

その日も、今日と同じの中秋の名月。

十五夜の芋たばり行事をしている十津川村滝川行き。

実は、今日もまた同じく、滝川で行われる十五夜の芋たばりの取材行き。

まさかの同じ日になろうとは・・。

10日後の9月25日も訪れた永谷



両日とも取材させてもらった2家族は元気にしているだろうか。

ご高齢の住民は、今も当地で暮らしているのだろうか。

村の道はここまで来たら記憶が蘇ってきた。

道下に稲田が拡がる。

全面に拡がっているわけではなく。

狭い土地に・・・。

いちばん近いところの田んぼに稲はない。

刈り取りを済ませたのだろう。



狭い道に向こうに・・多段型のハゼ架けが見えてきた。



木造のハゼ架け。

多段型の構造に、初めて出逢ったときの感動は忘れもしない。

その場まで車を運転してきたそのときである。



道下に見覚えのある婦人の顔が・・。

思わず手を振りながら、大きな声で・・・。

こっちを向いて笑顔で返してくれたY夫妻。



「おっちゃんは、もう88歳になったんやで」、と話す婦人。

昨日までは三連休。

町に住む息子たちが、仕事休みに応援してくれた稲刈り。

刈った稲は、多段型のハゼに架けてくれた。

昨日に刈り取った稲は青々している。



一週間前に架けた稲の色とはまったく違う。

時季がわかる色具合は、十津川村滝川、内原で拝見したことがある。



今年は、特に天候不順。

稲刈りするのも天気予報に合わせて稲刈りをしている。

昨日の予報では、今夜から明日は雨の予報。

特に紀伊半島南部に雨が降る。

ここ永谷は五條市であるが、かつては西吉野村だった。

市町村統合に、五條市に編入されたが、物理的な地理位置は変わりない山間地。

狭隘な山間地だからこそ稲干しは、上へ、上へ、と高くなった多段型ハゼ。

最奥に住まいする高齢者が耕していた田畑に手を入れていない。

構造物のハゼだけが残されている。

そのハゼの位置は同じだが、どことなくおかしい。

以前に見た平成28年のときのハゼは十段もある段数。

幅はもっととっていた。

帰宅してから見た平成28年の様相は支柱が8本。

半分に縮めたハデ。



段数も3段。

規模を大幅に縮小したハデに何を干すのか。

考えられる干しものは野菜。

大豆、黒豆に大根などであろうか。

3段にしたハデは手の届く範囲内に限定されたのだろう。

(R3. 9.21 SB805SH 撮影)