マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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十津川山天・ハデ調査から山天のむこだましに出合えた②

2023年12月31日 07時51分28秒 | 民俗あれこれ(干す編)
旦那さんが設営してくれた自家製手つくりの介護用手すり。

今の暮らしにとても役立っているのよ、と話していたIさん。

そのとき、粟刈りするから、とやってきた隣の奥さん。

名前を聞いて思い出した昼めし旅の映像に出演していたMさん。

たしか、NHKのえぇトコにも出演されたときは84歳。

現在は88歳になられたMさん。

テレビで見ていた姿、声、しゃべり方に特徴がある。

その声質にしゃべりは、大和八木西口に住んでいた叔母を思い起こしたほど、よく似ている。

山天にもう一人。

85歳になるという女性とは会えなかったが、その3人。

顔がそろったら、さんばば(※三婆)やと、自ら答えて笑っていた。

季節、時季に応じて、さんばばがつくる郷土料理が、むこだまし餅。

自家栽培の高菜で包むめはり寿司。

3人が顔を揃えたら賑やかに女子会。

おしゃべりに炊いたおかずを分け合って
・・

さぁ、これから粟狩りに行くで、と誘ってくれたMさん。

ひょいひょい登っていくお家までの階段。



その下に干していたハデを見ながら・・。

門下にあった農小屋に軽トラ。

どこから入れたのだろうか。

それより気になる粟干し。

束くくりの形はI家と同じ。

ふわふわ、もふもふのかわいい人形の材料になりそうな白粟の穂。

グラム、なんぼで、ネットに売っている白粟の穂。

ペット飼いのインコなど鳥のエサ用に販売しているようだ。

ふわふわ、もふもふのように見えた白粟の穂を、ずっと見ている時間はない。

先に、自宅に戻られたMさんは、どこに・・・



塀から向こうに垂れる実りの色の柿。

たわわに実るその景観に見惚れている場合じゃない。

表から声を揚げて呼んだMさん。

ふと、見た玄関の左にある道具。



まさに、それは牛繋ぎの鉄輪であろう。

遅かったな。

身支度できたから、さぁ行こか。

裏口から抜けたそこは稲刈りの跡。

右手に見た瞬間に身震いした景観。



まさに昼めし旅で見た景観そのもの。

故郷に帰ってきたかのような情景に心が震える。

先を行くMさん。

粟刈りに一荷の籠を背負ってひょいひょい、ひょい。

とても88歳とは思えない身軽さ。

坂になっている畑の栽培は大根、大豆にキャベツ、紫蘇など多品種。

独りでしているというMさん。



ハデの稲架け作業は家族さんがされたそうだ。

粟栽培の場は、いちだんと高い。

午後3時から山影に隠れる山天の地。

ハデを構築する理由は、いち早く陰になるから・・・。

ここから眺める山天の空。

星が落ちてきそうな夜空が想像できよう。

数本掴んだむこだまし(粟)の穂。



ばさっとまとめて鎌で刈る。

刈ってすぐに籠収め。

ちゃちゃっと刈って移動する。

また、刈って奥へ。

奥へ、奥へと移動しながら粟刈り。

5分ほどで一荷籠が満杯になった。



粟刈り一荷背負い籠。

刈ったむこだまし(粟)。

一荷背負って戻ってきたMさん。

このときの時間は、午後3時10分。

ハデ場に架けた稲架け。

陰があっという間に広がっていく。

昔の映像に見た、まるで原風景を思い起こす情景にMさんの恰好が馴染んでいる。

現役の唐箕などを保管する小屋に収穫したむこだまし(粟)を広げる。

5~6穂くらいを掴んで束にする。



ばらけないように括る道具は、履き捨ての靴下。

全部でなく、足首を締める口ゴム部だけを利用する。

くるくる、くるっと巻いて、きゅっと締めた1束。

軸はバチっと鋏で切断して一丁上がり。

もう一束つくって、2束括り。

その状態で干しているようだ。

なんせ、早業。

目にも止まらない早さでちゃちゃっと仕上げるMさん。

小屋は暗がりだったと気づいたときはもう遅い。

携帯画像では、もやもやぶれぶれになった。

気がついたら時間は、午後3時20分。

午後4時には帰る、と伝えて自宅を出発しただけに焦る、焦る。

そこに腰かけてゆっくりしてや、と云われても家には介護の母親が・・。

無理をいって、場を離れたが、ほんとお二人とも温かいもてなしに、また来たくなる山天。

尋ねたい民俗、まだまだありそうで・・。

初めて山天のハデを拝見したきっかけにまた、お伺いするつもりだ。

Iさんが、持って帰りといわれて受け取ったふかしサツマイモにりんご100%缶。



カボチャが1玉にキュウリは2本。

帰りの道中にりんごだけでは喉が渇くやろ、と追加に三ツ矢サイダー。

せっかくやからポケットに入れて帰りと、Mさんからは、疲れときに甘いドーナツも・・。



ほんとにありがとう。

集落を下った地にもあったハデ場。

神納川に近い場にもあったが、干した形跡はないようだ。

帰り道立ち寄りたかった、隣村の内野も予定していが、山天に長居してしまった関係で時間不足。

別途、機会を設けて再訪するつもりだが、さていつになるやら・・。

ここ山天の他、十津川村にある多段型稲架けのあり方を取材してきた地域は、滝川、内原、谷瀬、宇宮原がある。

ネット調べではあるが、まだまだあるとわかってきた多段型稲架け地域。

取材したい候補地は、桑畑、上湯川(出谷殿井・七色)、沼田原などであるが、隣接する和歌山県寄りに近い地域に切畑の土河原にもあるらしい。

年に一度は調査に訪れたいが、稲架けの時季に一致するかどうかは、わからない。



桑畑ハサガケ・・朝日新聞 

上湯川(出谷殿井ハデ、七色・(和歌山の切畑土河原)・・ 

限界集落 十津川ハゼ・・

沼田原 十津川信ちゃん農家民宿・・

なお、後日に食べたカボチャ。



めちゃ旨い。

家族も喜ぶもらいもの、ありがとう。

(R3.10. 2、 8 SB805SH 撮影)