マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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南田原・長谷町のきりつけ地蔵に願掛け足痛除け

2021年09月15日 08時08分02秒 | 民俗あれこれ
正月行事に伺った奈良市長谷町。

「ハチ」とも呼ばれる神さんの茶碗にイタダキの膳などを見せてくださったT家。

民俗の話題のひとつ。

T家に来る途中に見た草鞋に思わず急ブレーキ。

車から降りて撮った草鞋はたぶん足痛まじないの願掛け。

つい最近か、若しくは今日なのか。それほどに新しい草鞋。

市販の草鞋でなく、手つくりしたものであろう。

あそこにあった摩崖仏があるところだろう、とTさん。

そうそう、そうなんです。

板でつくった生垣に、正月を迎えたしめ飾りもしていたその場にある樹木に吊るしていた草鞋は一足のみ。

一対二足の草鞋ではなかった、と伝えた。

そうか、あったか。

正月前には見なかったという草鞋。

弥勒さんに、阿弥陀さんを彫った摩崖仏は白砂川の上流地にある。

村では、その摩崖仏を、きりつけ地蔵と呼んでいる。

よく見ればわかるのだが、摩崖仏に大きなひび割れがある。

阿弥陀仏でなく、弥勒菩薩である。

右から左へ刀を下ろした傷痕。

まるで切りつけられたように見えるひび割れ現象の状態からきりつけ地蔵と呼んでいる。

そこには、かつて多くの人が草鞋を吊っていたそうだ。

それこそ20足もあった、という情景を頭の中に映像。

弥勒さんに、阿弥陀さんを彫った摩崖仏は、奈良市が平成2年に指定した有形文化財。

史跡指定名称は「南田原摩崖仏」。

走行中に気づく人たち。

思わず足を停めて拝観、ブログに搭載する人も何人かおられる。

うちおひとりがとらえた映像は平成31年6月2日訪問・撮。

私が拝見した日から6カ月後の映像は摩崖仏だけをとらえていた。

石仏に興味をもたれる方であろう。



その方が、とらえた画像に写りこんでいない願掛けの草鞋。

暮らしの民俗には、意識を投入されなかったようだ。

また、あるコメント者は、「・・・地元の方の情報では、石仏に残る斜めのひび割れは、むかし剣豪が試し斬りをした跡とのことで“切りつけ地蔵”と呼ばれているそうです。また、秀吉の大阪城築城の際に石垣の石が足りず、この岩を使うことになったが、地元の大切な信仰対象とのことで取り止めになったという逸話も聞きました。」と書き込んでいた。

剣豪に大坂城築城に石垣云々もTさんが話していたことと一致する。

同じ話者でなく、他の話者が話した逸話かもしれないが、これもまた暮らしの民俗でもない。

特に剣豪が切った大岩なんていう逸話は、そこいらじゅうにある。

例えば、柳生の剣豪こと、柳生石舟斎が刀で切断したという、大岩の一刀石ストーリーも、その一つにすぎない。

弘法大師が杖を搗いたら水が噴き出したという事例もまた多い。

(H31. 1. 2 EOS7D撮影)


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