記事のカテゴリーとしては“本”にして書こうかと思いましたが、JAZZの方で行きます。
中国に出張は1週間以上なので文庫を持っていきましたが、読んだのは行きの中国南方航空のフライトだけ(映画がまるでだめ)、結局読み終わるのに随分時間がかかりました。
読んだのは、マイクル・コナリーのハリー・ボッシュという刑事のシリーズ新作です。
13年前の未解決マリー・ゲスト失踪事件を執拗に追うボッシュは、自分のめぼしをつけていた人物とは違う大量殺人犯が、その事件を自白したことから、その犯人との確執が生まれ・・・
最近リンカーン弁護士を読んだばかりのマイクル・コナリーの新作が中国に行く直前に本屋さんにならびました。
いつも少し重たい感じのハリー・ボッシュ、ヒエロニムスと名を持つ青少年保護施設育ちでトラウマを持つボッシュが今回も闇を抱えながら正義を貫く今回、なかなか面白かった。
ミステリーはネタバレ禁止なので、そして出版されたばかりなのでこれで内容はおしまい。
じゃ、やはり本のカテゴリーじゃないか、というとなぜモンク&コルトレーンのアルバムを頭に吸えたのかというと、この事件が起こっているのが2006年なのです。
お解りでしょうか、マイルスのバンドを抜けたコルトレーンがモンクのバンドでプレーしたしばらくの時期、録音は非常に少なく、私が持っているのも、「セルニアス・ヒムセルフ」だけですが、オープンリールに納められた演奏が発見されたのです。
それが2005年1月です。
小説「エコー・パーク」で主人公ハリー・ボッシュが恋人レイチェルと家で食事をしている場面、ちょっと長くなりますが引用します。
『エコー・パーク』 マイクル・コナリー 著 古沢嘉通 訳
「この音楽いいわね、だれなの?」
ボッシュはまたしても料理を口にほうばって、うなずいた。
「おれはこれを“箱のなかの奇跡”と呼んでいる。カーネギー・ホールでのジョン・コルトレーンとセルニアス・モンクとの共演だ。このコンサートは、1957年に録音され、そのテープは保管庫の何の印も付いていない箱の中に五十年近くほったらかしにされていた。箱の中にただはいっていて、忘れられていたんだ。その後、議会図書館のある職員が、すべての保管箱とパーフォーマンスを録音したテープを調べていて、なにが録音されたのか、ちゃんと認識したんだ。この録音はついに去年発売された」
「素敵な話ね」
「sてきなんてもんじゃない。ずっとそこあったことを考えれば、奇跡だ。それをみつけるには、しかるべき人間が必要だった。その価値を認識できる人間が」
2人は証拠品を入れた箱から犯人に繋がるものを発見するのです。
実はこのアルバム持っていませんでした。「セルニアス・ヒムセルフ」を買ったのが40年近く前、その後両者の共演録音はほとんどないと言われていて、それが頭にこびりついていました。だからこのアルバム、ジャケは知っていましたが、そのような代物だと思っても見ませんでした。
この小説で改めて認識したしだい、2005年ではまだblogなど書きも、読みもしていなかったのでとても情報に疎かったのです。
アマゾンに注文して手に入れました。
それを聴きながらこれを書いています。ですからこの記事のタイトルは私が考えたのではなく、マイクル・コナリーさんからいただきました。
JAZZを聴き始めたころに買ったLPの「セルニアス・ヒムセルフ」ですから当時繰り返し聴いて、なぜ1曲“Monk's Mood”だけJ・コルトレーンが吹いているのか随分不思議に思っていました。
この後活動していたのですね。
其の曲が1曲目に入っていてこれはとっても嬉しい。
ヒムセルフのがなんだかテーマを素直に吹くだけでと思っていたので、このフレーズはやっと解決を受けたような、なぞなどではありませんが、なんだか解決ついたような、この1曲で大満足です。
Thelonious Monk Quartet With John Coltrane at Carnegie Hall
Thelonious Monk(piano)
John Coltrane(tenor sax)
Ahmed Abdul-Malik(bass)
Shadow Wilson(drums)
録音 1957年11月29日
1 Monk's Mood
2 Evidence
3 Crepuscule With Nellie
4 Nutty
5 Epistrophy
6 Bye-Ya
7 Sweet and Lovely
8 Blue Monk
9 Epistrophy [incomplete]