2007年銀座JAZZで観たエリック・レニーニはソウルフルでありながらリリカルでしたが、2年ぶりの新作は一寸違ったイメージです。
随分以前1993年にレニーニの「Antraigues」というアルバムが出たとき、とてもキースに似ていて良いなどと書かれて評判を呼んだものでした。
そんなことで、レニーニのイメージが、本人納得ではないと思いますが出来てしまいました。
最近のアルバムは、それに近付かないようなファンキー路線で進んできました。
それがこの新作、がらりと変えて、でも私は好みです。
1曲目ジェームス・テイラーの曲を弾くと、これがキースの“マイ・バック・ページ”同じ曲効果を持っています。
2曲目はオリジナルのソロピアを弾いて、3曲目がしっかりとスタンダードを弾いて、なんともキースが演ってきたことを真正面から対峙しているように感じます。
そしてそれ、かってキースの様といわれてたレニーニが、臆することなく同じことをして、尚且つキースにとらわれていない、レニーニなのです。
アルバムから出てくる柔らかい音色、ゆったりとしたタッチ、深い揺るがないハーモニー、これはきっとキースを意識しながら、キースと並行して流れる自分の世界を表現したと思えるのです。
そう思いながら聴いていると、7曲目、8曲目のピアノ・ソロがなんと美しく聴こえることでしょう。
キースの影響という視点は、キースがソロ・パフォーマンスをするようになった以後のに出現した、ピアニストがいつも考えることで、その中でそれがどのように反映して、咀嚼して、自分を表現するかが、かなり面白い視点になるのです。
そしてベテランの域に達したレニーニがこのアルバムで示してくれたことが、まさにキースから解き放たれたパフォーマンスだと感じるのです。
随分勝手なこじつけになってしまって、これ私の感じです。(評論ではありません。)
Ballads / Eric Legnini
エリック・レニーニ(p)
トマ・ブラメリ(b)
フランク・アギュロン(ds)
1 Don`t Let Me Be Lonely Tonight
2 Trastevere
3 I Fall In Love Too Easily
4 Amarone
5 Portrait In Black And White `zingaro`
6 I Can`t Get Started
7 Folk Song #1
8 Nightfall
9 In A Sentimental Mood
10 It Could Happen To You
11 Prelude To A Kiss
12 Willow Weep For Me
13 Smoke Gets In Your Eyes
14 Darn That Dream
15 Folk Song #2