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少しは日常に余裕を持ちたいと、図書館の棚を見ていたら、こんな素敵な装丁の本がありました。
CDでジャケがいいとあたりも多いのですが、これも同じような雰囲気です。
まずは一寸読んでみると、これが凄い、3ページ目にしてこの記述です。
コロンブスそっくりそのまま航海記 / ロバート・F・マークス著 風間賢二訳 朝日新聞出版
「わたしたちはカナリア諸島を出発したさい、サイズの異なる一くつもの木製のワイン樽に入れた3百ガロンの水を搭載していた。薬禍後には、愕然としたことに、ふたつの樽に水漏れがあって、中身がすっからかんになっていた。それで飲料水の四十パーセントが消えてしまった。十二日目までには、残った六十パーセントの水は腐っていた。おそらくワイン樽に残っていた酸が水と混ざったのだろう。いずれにせよ、その水を飲むと気分が悪くなった。けっきょく、ニーニャⅡ世号には水差し十個分の飲料水しかの湖底なかった。三十九ガロンもない分量である。したがって、その水は緊急事態用に保管しておくことにした。
食量はもっと足早に腐っていった。出航して五日目には、生野菜のほとんどがいたんでしまった。風通しの悪い船倉に貯蔵されていたからである。けっきょく、それらの大半を捨てた。豆、米、小麦、それと少量のチーズと悪臭を放つハムしか残らなかった。しかし、そのチーズとハムにも虫がわいていて、長くもちそうもなかった。穀物を別とすると、十二日目に捕獲した二匹のサメのくさい肉しかなかった。」
コロンブスと同じ形の船や装備にこだわって、無線も安全装備も全て拒否して旅立った9名の航海記、面白くない訳がありません。
水がなくてもワインがあればいい、船火事が怖いのに平気でタバコを捨てる何でこんな水夫を選んだのか、わがままでプライドが高い雰囲気は、時代が1963年だからでしょうか。
今ではちょっと信じがたい関係で、この後コロンブスのアメリカまでの日数の倍以上がかかって大西洋を渡るのです。
夏休みには最高の一冊ではないでしょうか。
1963年に書かれたこの本がなぜ今頃(2009年)に出版されたかも、面白い出会いの記述が最後に期されていますが、その出会いの不思議、ここでは書かずにおきます。
私も偶然に出会ったのです。出会いを大切にしたいですね。