
応援しているハクエイ・キムのスケジュールを見ていたらレコーディングという日が幾日かあって、それがリリースされたのがこれ、ドラムスの大村亘氏がリーダーのアルバムです。
大村さんのドラムスは2010年1/16新宿ピットイン、マイク・ノック氏のピアノで叩くのを見たのが始まりです。
その少し後2/9には横浜ドルフィー、ハクエイとフルートのYukariさんとのセット、8/12には昼のピットイン、これはハクエイ&大村亘セッションとなっていました。
1曲目、清々としたテーマは共に学んだ地、オーストラリアの風景感覚なのでしょうか(曲名はオーストラリアの地名でした)、ハクエイも丁寧に弾くと途中パーカションのような多彩なフィルを繰り出す亘さん、ここら辺が持ち味なのでしょうか。オーストラリアの先輩で共にマイクノックの弟子としてのリスペクトを感じる扱いです。
2曲目は2人のピアニストが加わったフリーインプロビゼーション、音が次々と空間に消えていくの演奏定義を、何とか定着させようとするなミュージシャンの思いが伝わるラインです。
ハクエイ以外のに2人のピアニストは石田衛氏もう1人は佐藤浩一氏です。
3曲目はその石田氏とのピアノトリオ、ベースは安田幸司さんです。
フリーから一変してベースがウォーキングのビートを刻んで、変化が面白いアクセントです。大村氏は、しかし普通のの4ビートを刻んで当たり前の演奏にはしません。
石田氏とは2010年3/25に来日したマックス・イオナータのバックで一晩限りのギグ、バックを務めて2ndでいいピアノを弾きました。
4曲目は再びハクエイを入れたトリオ、内省的に題名でありませんが、進化論を振り返るようなテーマ、そこに亘氏の固いスネア、リムショットとも違う、なんだか別のものを用意して横において叩くような音、この人いろいろ見せてくれるのです。
5曲目は最近アルバム「Utopia」をリリースしたばかりの佐藤浩一氏、こちらでも大村氏がドラムス叩いています。このイントロがとても美しい、とても良いタッチをしていて、これから注目されていくこと確実です。
6曲目、ハクエイのフリーインプロから入ってピアノが3人のフリーな演奏、ピアノ三人ですが、スケジュールを見ても大村氏が普段演奏をしている、ピアニストをえらんでいて、これは幅広いピアノの色彩を求めたわけではなく、信頼を分かち合えるピアニストと共に音楽を作ることを目的にしたようです。
ですから、ピアノストの違いを並べるようなふり幅はなく、その意味、ピアニスト3人ですが、落ち着いたアルバム、大村氏の性格が全体像のようなアルバムになったようです。
7曲目は石田氏のピアノ・トリオ、このような強靭なブラシ・ワークがあるのかと、バラッドが一味、変わります。
8曲目は再び3人でこれは8月のセッションでハクエイも弾いていた曲“Made To Forget”石田氏がテーマを弾きハクエイと佐藤氏がその脇を支えるという感じてスタート、その後ハクエイのソロ、石田氏にもどって、佐藤氏も前に出てくると、3人が一回り重厚なサウンドを上乗せしていく強い胃ラインが余韻を残す終わり方です。
大村氏はオーストラリアでマイク・ノック氏に師事して帰国、ハクエイはその前2005年帰国、佐藤氏は2008年アメリカ西海岸より帰国、石田衛氏は今年3月に発売した「FEAT,MIKE RIVETT」でオーストラリアよりテナーの招いてアルバムを作りました。ここでも大村氏が叩いています。そういえばハクエイもこの6月に香港でJAZZフェスに出てきました。
こんなことを考えていたら、環太平洋戦力経済連携協定というものが出来つつあるなか(日本も2010年より参加検討に入っているそうです)共演と仕事の場所がこのような広がりのなかで出来上がっていく時代がきだした感覚を覚えます。
JAZZがとても大好きな国に日本、実力あるオーストラリア、ニュージーランド、重要な市場、中国やシンガポール、ベトナム、マレーシア、もちろんアメリカ西海岸の実力にカナダが参加して、遠いけどチリとかペルーの香りも加われば、素晴らしい音楽世界ができるのではなどと、壮大な空想をこのアルバムは広げてくれました。
ちょっとオーバーでしたが、この壮大な機構の名前はもう出来上がってしまいました。
Trans-Pacific Jazz Pertnership ,TPJPですのでよろしくお願い致します。
Introspect / Ko Omura
Hakuei Kim - Piano Tracks,
1, 2(right channel), 4, 6(right channel), 8(right channel)
佐藤浩一 - Piano Tracks,
2(left channel), 5, 6(left channel), 8(center channel)
石田衛 - Piano Tracks
2(center channel), 3, 6(center channel), 7, 8(left channel)
安田幸司 - Bass
大村亘 - Drums
1. North Head
2. Left Ahead
3. Ajita
4. Where Did You Come From?
5. Slow Highway
6. The Modern Commuter
7. Melody For The Long Lasting Days
8. Made To Forget