フレッド・ハーシュの新しいアルバムはトリオでのライブ2枚組、驚き、喜び、不安みたいなものがいっぺんに湧き上がってきます。
聞いてみて、その驚きと喜びはそれを上回り、不安はとても生き生きした安堵に変わりました。
トリオのメンバーは2010年のアルバム「Whirl」と同じで、それがグッと融合した感じです。
1曲目これがコンサートの最初に演奏ではないのでしょう、気迫あふれるフレーズでぐいぐいと走る、歌えることを謳歌するような演奏です。
2曲目は静かでクラシカルな演奏はポール・モチアンに捧げられた美しい演奏。
4曲目ロンリー・ウーマンとナルディスを組み合わせるとてもセンスの良い演出です。
5曲目は“モンクの夢”とついたモンクらしい得意なハーシュの曲。
ディスク2では3曲目、トライソニークみたいなフレーズと曲運び、こんなに若々しく迫力あること驚きです。
4曲目は一変美しい曲を美しく始めます。
5曲目はオーネット・コールマンに捧げた曲、これほどまでにアグレッシブに音楽と向かい合得ていること、またまた驚きです。
溢れ出るフレーズとそれを弾くことの喜び、気魄に満ちた演奏です。
しかしジャズは勢いだけではなく、それをいかに伝えるかの抑制との、せめぎ合い、つばぜり合いが加わったときに名演奏というものが生まれるのです。ビル・エバンスが幾つか作ってきたものがそれと思います。
ここでの、ハーシュがまさにその雰囲気、このアルバム、今年のベスト上位まちがいなし、ハーシュのトリオ演奏のなかでも一番かもしれません。
ALIVE AT THE VANGUARD / FRED HERSCH TRIO
Fred Hersch: piano
John Hebert: bass
Eric McPherson: drums
Recorded Live at the Village Vanguard, NYC
February 7th-12th, 2012
Tracks: Disc 1
1 Havana
2 Tristesse
3 Segment
4 Lonely Woman/Nardis
5 Dream Of Monk
6 Rising, Falling
7 Softly As In A Morning Sunrise
8 Doxy
Disc 2
1 Opener
2 I Fall In Love Too Easily
3 Jackalope
4 The Wind/Moon and Sand
5 Sartorial
6 From This Moment On
7 The Song Is You/Played Twice.