一言で言えば拾い物の映画だった。ロバート・デ・ニーロ(ターク刑事)とアル・パチーノ(ルースター刑事)の共演は、記憶が正しければ‘95「ヒート」以来のはず。私のいい悪いの判断基準が眠くなったかならなかったかという単純なもの。この映画は眠くならなかった。
逮捕の甲斐もなく重罪犯が裁判で無罪放免されるのを苦々しく横目で眺める二人のコンビ刑事タークとルースター。しばらくするとそれらの男たちが次々に殺される連続殺人事件に発展していく。一体犯人は誰なのか? 原題が示すように、正しい殺人というから、正義を全うできる司法の側の人間を匂わす。
タークに疑惑を持ち始めるメキシコ系の二人の刑事。タークとルースターは、イタリア系刑事。それに黒人のヤクの売人が登場すると、アメリカの人種問題がなにやら示唆されているようにも思われる。テンポのいい展開で、やがてどんでん返しの結末へと流れ込む。話としては、珍しくもない。辻褄がちゃんと合っていて不信感を持つこともなかった。
ただ、一つだけルースターの手帳が、いつあの椅子にあったのかが解せない点だった。女性刑事のカーラ・グギーノの口元がジュリア・ロバーツに似ていて、お色気を楽しませてくれた。ご老体のデ・ニーロが、走ったり柵を飛び越えたりするのを見ているとハラハラしてしまったよ。
監督
ジョン・アヴネット1949年11月ブルックリン生まれ
キャスト
ロバート・デ・ニーロ1943年8月ニューヨーク生まれ
アル・パチーノ1940年4月サウス・ブロンクス生まれ
カーラ・グギーノ1971年8月フロリダ生まれ