優駿とは、足の速い優れた競走馬のことをいう、 とある。競馬と言えば、天皇賞、日本ダービー(東京優駿)、オークス(優駿牝馬)、菊花賞、ジャパンカップ、有馬記念などが頭に浮かぶ。私の関心は、それ以上でも以下でもない。
それでも関心を持ち始めたのは、宮本輝の「月光の東」という作品。この中で主人公が「複勝転がし」という馬券の買い方でかなりの現金を手にする。俄然ここで競走馬について興味がわいてきた。
JRA(日本中央競馬会)や楽天競馬を覗いていると、競馬の世界を知りたくなった。楽天競馬は、地方競馬を主体としていて大井、船橋、帯広、盛岡、金沢、高知、佐賀などがある。ここでは実況映像が観られる。それを見ていると馬体の美しさに見とれてしまう。艶のある毛並みに不要な筋肉がどこにもついていないし、500キロ近くの体重を支えるスラリとした細い四本の脚。西部劇で馬が疾走する場面が好きなわたしは、競走馬の疾走に目が離せなくなった。
その競走馬の世界への入り口としてこの本を選んだ。北海道の静内にある小さな牧場で生まれたオラシオン(祈り)と名付けられた一頭の成長物語に、取り巻く人間たちの強さや弱さをきめ細かな描写が読者を惹きつけてやまない。
競走馬を育てるということ、牧場経営の辛さや喜びとともに時速70キロ近くのスピードで走る馬上で駆け引きや複雑な人間関係も浮き彫りになる。
今日5月24日は、東京競馬場で優駿牝馬(オークス)が行われ一番人気のデアリングタクトが期待通りの1着を記録。デアリングタクトは、去年の2歳新馬1着から、エルフィンSの1着、桜花賞1着という負けなしでオークスに挑んだ。
北海道日高の小さな長谷川牧場育ち。こういう経歴を見ていると、この小説のオラシオンと重なってくる。現実の世界でも奇跡の躍進があるのが面白い。私はまだ馬券を買ったことがない。今はシュミレーション中で、ひょっとしたら買うかもしれない。