アカデミー賞主題歌賞を受賞し1974年ビルボード1位を記録した曲” TEH WAY WE WERE”が好きで、ある日ふとその映画が観たくなった。
1936年生まれで84歳のロバート・レッドフォードの若かりし頃にも興味があったし、勿論バーブラ・ストライザンドの若さにも触れたかった。この映画はバーブラ・ストライサンドが主役でちょっと毛色の変わったラブ・ストーリーだ。
学生時代に創作クラスで顔見知りのハベル・ガードナー(ロバート・レッドフォード)とニューヨークの街角でばったり出会うケイティ・モロスキー(バーブラ・ストライサンド)。
ケイティは学内でアジ演説を行う共産主義者。それに対して儀礼的に拍手を送るハベル。ハベルは海軍士官、この二人が恋に落ち結婚、懐妊。
第二次世界大戦終結後、ハベルは文才を生かしハリウッドで脚本家として仕事をしていた。1950年代、共和党上院議員ジョセフ・マッカーシーの共産主義者を摘発する運動、マッカーシズム(赤狩り)と呼ばれ政府職員、マスメディア、ハリウッドの映画関係者などを攻撃した。
ハベルも標的にされ監視されるに及び、妻のケイティから距離を置くようになる。距離を置くだけでなくかつてのガールフレンドとよりが戻り始める。事情を察知したケイテは、内包していた闘争心が再び蘇り反対運動に傾倒していく。
所詮、主義主張の違う二人。お互いの立場を理解して円満に離婚。月日が経ち再びニューヨークの街角。遠くにいるハベルと妻らしい女性を見つけたケイティは、懐かしさのあまり二人に近付く。妻らしき女性に軽く挨拶。
ハベルとケイティはハグ。この時、二人の中でどんな感情が交錯したのだろう。ケイティは「この人、顔に少ししわが増えたようだけど、体も以前と変わらない。太ってもいないし痩せてもいない。それにあの懐かしいコロンの匂い」と思うかもしれない。
ハベルは「ケイティは少し太ったかな。相変わらずあの香水なんだな。おいおいケイティ、あまりしがみつかないで! カミさんがみているだろう? 気持ちは分かるよ、ありがとう」
ハグの後、ケイティは言う。「子供は元気よ。家に来て!」しかし、ハベルは「それはできないよ」彼の頭の中では、そう、それが私たちのやり方だし、追憶(The way we were)にとどめておこう。それが一番いい。二人の人生最後と思われる別れが、エンディングとなる。
想い出が私のこころの隅々に浮かんで消える 淡く水彩画のような思い出 あの頃の私たちの想い出が―歌詞の出だしのフレーズをこんな意訳があった。
では、ラスト・シーンに重ねてバーブラ・ストライサンドが歌う「TEH WAY WE WERE」をどうぞ! ちなみに、バーブラ・ストライサンド71歳のロンドン公演の歌声に衰えはない。