なんとも奇妙な家族旅行なのだろう。人間の本質「欲」がおじいちゃんの遺言の旅であらわになる。旅をするのは、主な語り手フロリダに住んでいるベス、ベスの夫フェリックス、ベスの兄エディ、エディの妻クリスタそして独身の妹ポーシャ、一行五人のドライブ。
ルートはおじいちゃんが綿密に遺言として残してある。アメリカ南部のジョージア州を起点にアラバマ、ミシシッピー、ルイジアナ、アーカンソー、ミズーリー、カンザス、テキサス、オクラホマ、コロラド、ワイオミング、モンタナ、アイダホ、ワシントン、オレゴン、ネヴァダへ二週間をかける。
それぞれの州での見どころにも立ち寄らなくてはならない。例えばヘレン・ケラーの生家やボニーとクライド奇襲博物館、ガンファイター蝋人形博物館、10台のキャデラックが地面に縦に突き刺さっているキャデラック・ランチ、デビルズ・ロープ有刺鉄線博物館など。
旅が終われば800万ドルの遺産が転がり込む。さて、人間の強欲はどんな結末になるのだろう。この本は私にとって、ちょっと退屈だった。さらに記述される音楽、ガービッジの「アイ・シンク・アイム・パラノイド」やデフ・レパードの「シュガー・オン・ミー」などは、興味ないし心の琴線に触れない。生きてきた時代の違いがハッキリする。