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ワイン好きには楽しい ジョイ・スターリング「カリフォルニア・ワイナリーの四季」

2005-10-04 13:14:46 | 読書
 ピザ、てんぷら、パスタ料理やチーズ類に合い、ポリフェノールが体にいいと言われたこともあって飲んでいたワインだが、知識は全くなく、写真の載った小さな本があるだけだった。

 それが最近観た「サイドウエイ」という映画が刺激になって、この本を読む気になった。この本は単に「ワインとは」というような説明的な本ではなく、自らのぶどう園の一年を通じてさまざまで広範な仕事のことや些細なこと例えばコルクについてなどや家族の交流、フランスのワイナリーとの交歓など、レーガン元大統領時代以降のホワイト・ハウスで、ここのワインが乾杯に使われているという自慢話も含めて、少しのユーモアとワイン造りに注ぐあふれる情熱や時には社会批評も交じる好ましい読み物となっている。

 今から14年前の1991年の一年間を、カリフォルニア州ソノマにあるアイアン・ホース・ヴィンヤードでの出来事を記してあって、1996年に日本でこの本が出版されてもう9年も経っている。ワイン市場も変化があってチリやアルゼンチン、オーストラリア、ニュージランド、南アフリカのワインも目にする。カリフォルニア・ワインもシェアを伸ばして来つつあるようだ。

 著者の息遣いが聞こえるようで、大地やぶどうに対するこまやかな愛情があふれていて、ワインについてますます興味が湧いてくる。何事も簡単なものではないが、ワイン造りも大変なことがよく分かる。ぶどうの木が安定して熟した実がとれるまで10年かかるという。それから熟成期間が短くても3~5年はかかる。14~15年の時間が必要になる計算だ。

 また、興味深い記述として“アメリカでワインを売るのは五十ヵ国に売っているのと同じだ。禁酒法の廃止により各州はそれぞれ独自の酒類法の採用が許可された。私たちが酒類の販売許可を持っている店やレストランなどに直に出荷できるのは三州(カリフォルニア、オレゴン、ワシントン)だけだ。私たちはワイナリーと顧客の仲介役となる卸売業者を通さなければならない。”

 それから瓶に栓をするコルクについては“コルクの品質はワインの熟成にとって非常に大切だ。完璧なコルクは無臭で密度が均一。最高のコルクはポルトガル産で、10年に一度ずつはがされるコルクの樹皮を二年かけて乾燥させたものだ。”

 私たち消費者にとってもう一つ大事なことがあって“ワインはグラスによって味がまるで違ってしまう。赤ワインの方が白より影響を受けやすい。スパークリング・ワインが一番神経質。口が大きいグラスだと味が抜け、別のワインが入った後のグラスだと抜け殻のような味しかしない。”という。

 私はトヨタ自動車の車に乗っていないが、ここにうれしいことが書いてある。“フォレスト(著者の夫)は1990年型のBMWを売ってトヨタのランドクルーザーを買った。BMWはランチ向きではないというのだ―畑には乗り入れられないし、ぴかぴかにしておくことも出来ない。ランドクルーザーは汚れていてもクールに見える四輪駆動のヘビーデューティ・カーだ。フラップの下に泥がついているのは当たり前。もちろん、フォレストは近所で真っ先にそれを買った。車はフル装備、サンルーフにムーンルーフ、CDプレイヤー、どのドアにもスピーカーがついている。ヒールズバーグとセバストポルに住む誰もが、ビヴァリーヒルズやニューヨークから訪れてくる人々と同じように羨望の目を向ける。彼らの訪問のハイライトは、フォレストや私とこの車でエルヴィン・ビショップのCDを聞きながらぶどう畑を回ることらしい。彼らはBMWについては「素敵な色ですね」としか言わなかった”アメリカにも名だたる4WD車があるというのに。

 気分がよくなったついでに、今夜はカリフォルニア・ワインのカベルネ・ソーヴィニヨンを、いいグラスで試してみよう。
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