1930年代、ミシシッピ州の白人の男と黒人の男の友情物語。農業を営む白人の兄ヘンリー(ジェイソン・クラーク)は、すべてがうまくいくという信念の持ち主。弟のジェイミー(ギャレット・ヘドランド)は、兄に忠実で裏切らないと心に決めていた。
とはいっても性格は、全く異なっていた。ヘンリーは寡黙でやや強圧的な態度を見せる。ジェイミーは、その反対で陽気で多弁。ヘンリーの妻ローラ(キャリー・マリガン)は、夫を愛していないが従順な態度をとっている。そして心の奥深いところでは、ジェイミーを求めていた。こう書くとロマンティックなラブロマンスと思うかもしれないが、そうではない。
1941年12月7日ラジオから流れてきたのは、大日本帝国(エンペラー・オブ・ジャパン)が真珠湾を攻撃したというニュースだった。
ヘンリーの近くに黒人で小作人のジャクソン一家が住んでいる。一家の長ハプ・ジャクソン(ロブ・モーガン)とフローレンス(メアリー・J・ブライジ)夫妻は、土地を買って独立したいと思っていた。
そんな中、第二次世界大戦の影響で長男のロンゼル(ジェイソン・ミッチェル)とヘンリーの弟ジェイミーも召集される。
戦場ではロンゼルが軍曹で戦車隊を率いている。ジェイミーは戦闘機のパイロット。欧州戦線では、進軍に伴い黒人でも大歓迎された。ジェイミーは、乗員二人を失いながら生き延びたとき、機体を並べてきた黒人パイロットから祝福を受け、ともに戦った仲間として人種差別意識がなくなっていた。
戦いは終わった。帰国した故郷は何も変わっていなかった。白人至上主義者のKKK(クー・クラックス・クラン)の跋扈、相変わらずの黒人蔑視、封建的な家父長制を持つ一家という中で、戦友としてジェイミーとロンゼルは親しくなっていく。しかし、周囲は悪化を続け悲劇が待ち受けていた。余情が残り満足感に満たされた映画だった。
ヘンリーの妻ローラを演じたキャリー・マリガンは、1985年イギリス生まれ。二度のアカデミー主演女優賞ノミネートがある。
ヘンリー役のジェイソン・クラークは、1969年生まれオーストラリア出身。
ジェイミー役のギャレット・ヘドランドは、1984年ミネソタ州生まれ。声が素晴らしくいい俳優だ。
この作品で高く評価されたのが、黒人一家を支える主婦フローレンスを演じた メアリー・J・ブライジと長男ロンゼルを演じたジェイソン・ミッチェル。
メアリー・J・ブライジは、白人から卑下され反抗もできない当時の女は、表情を変えずただ言われたことに従う境遇を見事に演じていた。
ジェイソン・ミッチェルも同様に、黒人の悲哀を遠慮がちに演じていたのが印象的だった。ちなみに メアリー・J・ブライジは、R&Bの歌手でもありクイーン・オブ・ヒップホップ・ソウルとも称されている。この映画の挿入歌「Mighty River」を歌っている。1971年ニューヨーク、サウスブルックリン生まれ。
ジェイソン・ミッチェルは出自不明。
それではメアリー・J・ブライジの「 Mighty River」を聴きましょう。
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