好きな物を題名に↑ 最近はゴルフとグルメお出かけ主体に。以前は1960年~70代マンガを紹介していました。ネタバレ有り。
↑ 映画祭のチラシ等
生誕100年の記念映画祭として角川シネマ新宿にて、「市川崑光と影の仕草」が一挙上映中です。
ホームページはこちら → 市川崑生誕100年記念映画祭 光と影の仕草
これは角川シネマ新宿が「雷蔵祭 初恋」「若尾文子映画祭 青春」に続いて開催するものです。
良い企画ばかりです。
もっといろいろやってくれると期待しています。
私が最初に見てきたのはこれ。 ↓
Movie Walkerのページ → 吾輩は猫である
これ、封切り時に私見ています。
昔から猫好きだったので外せません。(笑)
内容は猫の事ではないんですがね。
それは小説読んでいてわかっていたし。
映画の方も 苦沙弥先生(夏目漱石つまり自分がモデル) の家に集まるインテリ達の世相批判などが続いたりします。
市川崑は「キャスティングは演出の70%」が持論だったということで、ぴったりはまったキャスティングが楽しいです。
苦沙弥先生に仲代達矢、迷亭(二葉亭四迷がモデルかな~)に伊丹十三、苦沙弥の教え子だった 寒月君 に岡本信人が飄々と。
鼻持ちならない実業家夫人 鼻子 は岡田茉莉子(相変わらず色が白くて綺麗)その娘 富子 に篠ひろ子。
篠ひろ子、可愛くてホクロ見て一瞬 南野陽子 と思っちゃったよ。(笑)
苦沙弥家のお手伝い おさん が上原ゆかりちゃんで、可愛い顔で難しい演技してます !
苦沙弥家と言えば、苦沙弥の細君は 波野久里子(歌舞伎役者十七代目中村勘三郎の長女) で、これが又上手い演技してます。
大げさな仕草で演じるのではないのです。
当時の多少インテリ(苦沙弥先生は英語の先生)の奥さんだけれども下町のおかみさん的な下世話なところも見せ、家を守るためなら涙を見せながら頭を下げ、という雰囲気演技が素晴らしい。
自然過ぎて映画後半までこの人誰だっけというのが出てこなかった。
本当の 細君 と思って見ていた、みたいな感じ ?
他に島田陽子、篠田三郎、前田武彦、左とん平、三波伸介、緑魔子、春川ますみ、蟹江敬三 などが出演しています。
吾輩猫役はティム君というロシアンブルーに見える雄猫が演じていますが、私的には実際夏目家に飼われていた 黒にゃんこさん が見たかったです。
黒猫は クロ という近所の車屋の猫が出てきますけどね。
大体原作通りのストーリーで目新しい所はないのですが、とにかく役者さんたちが達者で達者で演技みているのが楽しくて時間が経つ映画でした。
次はリバイバルされて大ヒットした、あの大傑作を見る予定のトミー。
↑ これもこの映画のスチールではありませんが、映画館の飲み物を買って、もらった写真ハガキ。
Movie Walkerのページ → 夜の罠
製作年1967年のモノクロ作品。
原作はコーネル・ウールリッチの推理小説「黒い天使」。
とあるホステスが自分の部屋で首を電気コードで絞められて殺されていた。
そこに夫とホステスの関係を知った妻(若尾文子)がホステスと話そうとやって来る。
ドアは開いているし、電話はジャンジャンと鳴るし。
思わず電話に出るとそれは夫からの電話だった。
甘い声でホステスの名前を呼ばれ、何も言わずに切ってしまう妻。
その後ホステスが死んでいる現場を見てしまい、夫の名が載っている黒い電話帳を持って帰ってしまう。
夫が殺人犯人として拘束されてから、夫の無実を知る妻の孤独な戦いが始まる。
電話帳に載っている他の男たちを一人づつ訪ねては危険な目に遭い、警察にも注意を受けるが調査を止められない妻。
けなげに夫の為に危ない橋を渡る 妻役 の文子さんが妻の鏡です。
裏切られていたのだから多少の事ならほっといても、と思うけれど流石に夫が殺人犯というのはね。
それより本当に夫を愛して、信じているのが演技の中に出ています。
いつも大映映画の中では人の好い役の多い あの人 が実は…。
というオチ(?)もついています。
↑ 見るからに怪しいお二人。
原作は谷崎潤一郎の同名小説で、脚色新藤兼人、監督増村保造の文芸作品です。
谷崎潤一郎の小説は結構エロイもの多いですよ。(笑)
Movie Walkerのページ → 卍(まんじ)(1964)
美術学校で知り合った、目が特に魅惑的な徳光光子(若尾文子)と弁護士柿内孝太郎(船越英二)の妻でコケティッシュな柿内園子(岸田今日子 )。
始めは校内の噂から始まった話だったが、魅力的な光子にすぐに夢中になっていく園子。
しかし光子に自称婚約者の綿貫栄次郎(川津祐介)という情夫がいることが分かり園子は絶望する。
それからは綿貫と光子を別れさせようとしてかえって綿貫の思惑にはまっていったり、狂言自殺を図ろうとして夫である孝太郎を巻き込んだりと、悪い方悪い方へと転落して行き、最悪の事態へと転がり落ちていく。
何といっても園子にとっての ファムファタール である光子役の魅力がなければこの映画は成立しないわけで。
その点若尾文子さんの光子は派手目のお洋服と相まって、ピカピカと光っているような美女っぷりが半端ないです~。
園子役の岸田今日子さんも怪しい魅力は文子さん以上。
このお二人だから映画を見ている人も納得のストーリー展開となっています。
普通ならここまでのめり込まないよね~というところがあるのですよ。
それとチンピラ役ではあるけれど、綿貫栄次郎役の川津祐介の存在感がありますね。
マジで怖い。
こんなのに捕まったら光子のセリフではないけれど、一生付きまとわれそう。
異色の同性愛もの映画ですが、妖しい雰囲気を楽しむだけでも見て損はないと思いますよ~。
↑ この映画のではありませんが、映画館で飲み物を買うとブロマイドハガキが貰えます。
行くたびに貰ってました。
田宮二郎が主人公のサラリーマン役をしているけれど、当時こんなシュッとした美男子リーマンなんてなかなかいないよな~と思って見ていた。
出世して部長になってもいい男。
まあ、それはその妻役の美人書道家役の岡田茉利子や愛人役の若尾文子だってそうなんだけど。
これは映画映画…(笑)
マンガだってそうなんだから。
Movie Walkerのページ → 不信のとき
有吉佐和子の原作を映画化したもので、心理描写が複雑でミステリータッチでもあります。
始めのうちは主に女性の登場人物に感情移入して、どっちの心もわかるわ~、なんて見ていたんですよ。
女性たちの心理が変わってくると、又そうだよそうだよ男がそうなら女の気持ちも変わるのもしょうがない、立場が違えばそう思うわよね~なんて又どっぷり。
しかし、男に愛人がいて子供までいるのが妻にバレてしまった辺りから…。
アレッ ? 誰が本当のことを言っていて、誰が嘘をついているの ?
いや~わからない ! 状態に。
観客も最後には男のように笑うしかないという映画でした。
私ごときが言うのもなんですが、よくできた映画だと思います。
昔の良い映画がこうやって大画面で上映されるのは本当にうれしい・楽しい出来事です。
他に若い頃の 加賀まりこ が男の仕事関係の社長の愛人役で出ています。
キャピキャピの今時現代っ子ぶりが面白い。
又、男が若い頃付き合って子供まで成した(これもミステリー)人妻役に 岸田今日子 等が出演しています。
当時の女優さん達の着物の着こなしがほんとに良くて、うっとりしてしまいます。
今はお正月か夜の銀座でしか着物姿が見られないのが惜しいです。
外で着物着ている人を見ると、ハッタと草履から上に向かってじと~っと見て嫌な顔をされるトミー。
「若尾文子映画祭 青春」アンコール上映 どんどん行ってます。
2回目に見たのはお正月に相応しくおめでたいこの映画。
「初春狸御殿」
Movie Walkerのページ → 初春狸御殿
大映若手スタア勢ぞろい百花繚乱、絢爛豪華な、たぶん当時のお正月映画。
狸の若様、狸吉郎に市川雷蔵。
違う狸国のお姫様 きぬた姫(文字入れ替えるとたぬき!)に若尾文子。
めちゃくちゃ可愛い。
里の村娘狸で きぬた姫 にそっくりなお黒に 若尾文子 二役。
薬売りで お黒 が好きな栗助は 勝新太郎 。
正統派二枚目やってます。
腰元おはぎに二代目水谷八重子
その他、中村玉緒・二代目中村鴈治郎・神楽坂浮子・松尾和子・楠トシエ・トニー谷・江戸家猫八・三遊亭小金馬・左卜全・嵐三右衛門 等々、大映と外部からも招待しての大盤振る舞いです。
セリフは歌にはなっていませんが、狸祭りと称して地方の民謡や童謡、有名な歌などストーリーの合間に綴って歌い踊る、オペレッタ風です。
ちょっとオイロケ担当のカッパちゃん達もいて、子供向けというわけでもありませんね~。(笑)
当時は娯楽が少なかったから、いい大人の男性もこぞって映画館にお目当ての女優さんなどを見に行っていたんでしょうか。
もちろん、女性達も 雷様 や二枚目として売り出された 勝新 を見に行ってたんでしょうね。
この映画での 雷様 は豪華な衣装をとっかえひっかえ、歌って踊って眼福です。
文子さんもお姫様ということでいったい何着着替えるんだろうとびっくりするほど着物を衣装替えしてこれも眼福。
それにしても製作年が1959年ですから、皆さん若い !
文子さんのなんてなんて可愛いこと。
下の写真の右下の1月分の写真が「初春狸御殿」のスチール写真です。
小さいけれどご参考に。
2014年キネマ旬報社によるファン投票で日本映画女優部門第2位に選出されるという、根強い人気を誇る 若尾文子さん 。
私もこの夏に開催された「若尾文子映画祭 青春」で初めて文子さんの映画を見て引き込まれ、20作品以上一気に見ました。
その第2弾、アンコール上映が暮れからお正月にかけて開催されています。
角川シネマ新宿
「若尾文子映画祭 青春」アンコール上映
夏に見損なった作品を見るべく、頑張って新宿通いをする予定です。
さて、最初に見に行ったのはこちら ↓
Movie Walkerのページ → 「妻二人」
パトリック・クェンティンのサスペンス小説を、新藤兼人の脚色、監督増村保造で映画化されたもの。
題名から行くと身勝手な男の物語にも聞こえますが、夫役の 高橋幸治 にも偶然が重なっていかんともしがたい現状や訳があり、という設定で。
当時の、今よりもっと戦争がそんな昔のことでもなくという背景もあります。
結構経済的な社会派の背景もあり、今でもあるかもというお話で面白かったです。
岡田茉莉子、若尾文子という当時絶頂期の美人女優の競演プラス、若き日の江波杏子が反抗的な妹役で出演しています。
お正月にも見に行く予定のトミー。
↑ 12ヶ月のカレンダー全部
この夏にはまって、新宿まで週2・3で見に行っていた 「若尾文子映画祭 青春」。
スタンプラリーがあり、見た映画の所にスタンプしてもらっていました。
なんと20数個もたまったので、5ヶで一回抽選で商品が当たるものに応募しておきました。
数が多かったせいか(笑)見事に当たりました !
プレゼントは上の 「2016年度 若尾文子映画祭 青春カレンダー」 です。
見られなかった映画の一場面や、思い出に残った映画の一場面やらが、来年一年間私の鏡台の上で楽しませてくれることと思います。
尚この企画は好評のため、12月26日(土)から1月15日(金)までアンコール上映が決まっています。
私も見損なった映画を全て網羅する勢いで見るつもりです。
初日には文子さんの舞台挨拶もあるそう。
↓ アンコール上映のパンフなど。
HPはこちら → 若尾文子 映画祭 青春|トップ
その後 角川シネマ新宿 では、市川 崑監督作品を1月16日(土)から2月11日(木)まで一挙上映するそうですから、こちらも見に行かなくちゃと思っています。
傑作「黒い十人の女」、「おとうと」「雪之丞変化」「炎上」「細雪」「我輩は猫である」も見逃せないしな~。
「東京オリンピック」も一度しっかり見直してみたいものだし。
「太平洋ひとりぼっち」や1970年代の横溝正史原作物ももう一度見たい。
岩井俊二監督による「市川崑物語」と言うドキュメンタリーもあるらしい。
HPはこちら → 生誕100年記念映画祭 市川崑 光と影の仕草
良い企画を次々と、角川シネマ新宿さんありがとうございます。
この冬も新宿通いは止まりそうもないトミー。
↑ 「初春狸御殿」の立てカンバン 左は雷蔵 2人とも若い。
↓ 雷蔵の立て看板と一緒に
↓ エレベーターの写真 「女は二度生まれる」
「若尾文子映画祭 青春」夏シリーズも最後になります。
この夏は 文子さん と新宿に遊んでもらいました。
「青空娘」 製作年 1957年 上映時間 88分
あらすじなどはこちら → 青空娘 | Movie Walker
源氏鶏太氏が雑誌“明星”で連戴、ラジオの連続放送劇にもなった小説が原作。
1957年製作という事で、カラー映像で溌剌とした20代前半の 文子さん が見られます。
映画最初の高校卒業時のセーラー服姿はやはり少し大人っぽく見えますがね。
一人だけ伊豆の田舎でおばあちゃんに育てられていた 有子。
おばあちゃんが亡くなる寸前に、東京にいる母親が生みの親と違うことを知らされる。
東京の父親一家に引き取られることになったが、本当の母親(三宅邦子 )は父親の元恋人で今はどこにいるかも分からない。
愛人の子として案の定本妻(沢村貞子)からは女中扱いされ、他の兄弟からも邪険に扱われる。
和風シンデレラ物語なのだが、この間のディズニー映画「シンデレラ」のように現代のシンデレラは言うときは言い、行動するときはするのです。
明るくメゲナイ文子シンデレラ。
次男の腕白中学生とはけんかした後仲良くなり、先輩女中(ミヤコ蝶々)と出入りの魚屋(南都雄二)とも友達になって家事手伝いをくるくるとやっている。
腹違いの姉照子(穂高のり子)のボーイフレンド(婚約者候補 川崎敬三)に気にいられて照子の怒りを買い、生き別れの母親(三宅邦子)を探そうと家出をした有子。
東京に出てきていた恩師の 二見(菅原謙二) のアパートに行くと二見には会えたがあいにく出張に出かけるのでその間待っていてくれと言われ、一人でいると彼女と言う女性が現れ(嘘)と、何か二見とは上手くいかない。
最後はハッピーエンドになるだろな~とは思いますけど、それまではやはりハラハラドキドキ楽しいです。
本妻役の 沢村貞子さん の演技が鬼気迫るものあります。
嫌われ役なんだけど、くどくどうるさいおばさんなんだけど、自分が彼女の立場ならそうなるよな~という現実味が凄いです。
セリフの力だけでなく、やはり演技の上手い人が演じると違って見えるという事なんでしょう。
「しとやかな獣」 製作年 1962年 上映時間 96分
あらすじなどはこちら → しとやかな獣 | Movie Walker
この映画祭で私がもっとも見るのを楽しみにしていた映画です。
期待にたがわず面白かったけれど、思っていたのと違う場面と展開で凝った造りの映画でした。
まず、場面はほとんど団地の狭い一戸内で起こっていること。
舞台劇のようです。
それでいて登場人物はそこに住む父親・母親・娘(姉)・息子(弟)以外に狭い一室に押しかけるプロモーター社長、経理の女子事務員、歌手、流行作家や税務署員まで盛りだくさん。
いい年した姉弟はテレビのロカビリーで踊りだすし(笑)
カメラワークが凄い凝ってます。
団地の窓の外から。
戸棚の奥からカンヅメ越しに。
外廊下の下の窓から。階段の上下。
入り口ドアの真上から。帰っていく人の頭を。
屋上の斜め上から。
今ならドローンで撮影したような絵柄ばかり。
本当の団地の俯瞰描写もあるけど、この部屋丸々一戸撮影所内に作ったとしか思えない。
最初は主演であろう文子さんの、したたかな悪女振りが見られると期待していたのです。
途中までは期待通りでした。
団地に住む一家も相当したたかな小悪党ぶりなんですけど、その上を行く悪女っぷり。
いえいえ、彼女は夫に死なれて一人で子供を育てるのに必死なのです。
けれど、見ている人はラストで哀れみの微笑を浮かべる人物を見たとたん、あっこの人が題名の人だわ、と気が付くのです。
自分では何もしない、この人が。
とても洒落た映画でした。
「女系家族」 製作年 1963年 上映時間 111分
あらすじなどはこちら → 女系家族 | Movie Walker
監督は三隈研次。
若尾文子・京マチ子・高田美和・鳳八千代 ・田宮二郎・二代目中村鴈治郎・浪花千栄子・北林谷栄など出演の文芸作品。
山崎豊子原作の週刊文春連載作品を映画化したもの。
山崎豊子さんといえば、デビュー作の生家の昆布屋をモデルした親子二代の商人話「暖簾」を始め、雷蔵で映画化された「ぼんち」など、大阪船場の商人世界の話が多いのだが、この「女系家族」もそう。
三代にわたる女系の家筋 (女の子に入り婿を取る 相撲の世界もそうね) で、暖簾を誇る商店の主人が亡くなった。
後を継ぐべき長女は結婚して家を出てしまい、あげくに出戻っている。
そのため次女は婿を取り家の商売を継ぐ気でいる。
三女はまだ若く現代っ子で遊び歩いてばかり。
しかも後に分かったことだが、入り婿で死んだ妻に頭が上がらないはずだった主人には 妾(若尾文子) がおり、そのお腹には主人の子供がいる。
ここまででも遺産相続がもめるのは必定である。
当事者、本家、親戚が見守る中、大番頭宇市が遺言書を開けたが皆の納得が行くはずもない。
各人が各人の味方を探して暗躍し、山林に分け入ってまで遺産の内容を知ろうとする。
宇市に頼って見せながら、なかなか尻尾を出さない文子さんの 妾 も始めしおらしく途中からはしたたかさが垣間見えるように。
陰影のある映像が多く、老舗の建物の重厚さなど見所が多くあります。
最後10分くらいのどんでん返しの映像のキレが見事な映画でした。
この「若尾文子映画祭 青春」は好評のため冬に再上映されるそうなので、今回見られなかった「卍」とか「越前竹人形」なども見たいと思っています。
↑ 角川シネマのエレベーター扉に大きく貼って有ります。
映画は「最高殊勲夫人」の川口浩と若尾文子。
夏の日差しの中、粛々と新宿に通って「若尾文子映画祭 青春」見に行ってます。
空き時間に伊勢丹の上のデパート食堂でランチ取ったり、最近はあまり来なくなっていた新宿の街をフラフラしたり、安いドラッグストアを発見して中国人観光客と一緒に並んで買い物したり、それなりに新宿の街を堪能しています。
「女は抵抗する」 製作年 1960年 上映時間 84分
あらすじなどはこちら → 女は抵抗する | Movie Walker
ベテランの興行師だった父親の後を継ぎ、米軍基地にバンドの手配などしていた女子大生の矢代美枝。
卒業前後に本格的にプロモーターの道を目指す。
人気ジャズバンドをジャズ合戦させて大成功させ、勢いで大きな劇場で当時勃興していたロカビリーの大会を開いてまたまた評判を取ったり。
ショービジネスの世界を扱った映画となっています。
実は渡辺プロダクショングループ代表の渡邊 美佐をモデルにしたもので、当時の芸能界や興行界が描かれていて興味深いです。
こういう勝気な女性を演じると本当に 文子さん ってぴったり来るんです。
話し方もそっけないくらいなところがあって、
「あっそう」
って言う横顔に惚れそう。(笑)
そのくせ上手くいかないときの爪をかむ癖がいじらしいと言うか。
これってツンデレってやつですか ?
平尾 昌晃、山下 敬二郎、坂本 九、ザ・ピーナッツなどの当時の人気者総出演で 歌唱・演奏場面も楽しい。
映画では少しだけ流れる坂本九の歌、やはり良いです。
ちょっと他の出演者とはレベルが違う気がする。
デビューしたときのロカビリー歌手ブームが去っても、その後長く歌手・タレントとして活躍できたのは、人気だけでなく実力と人柄があったからでしょうね。
上を向いて歩こう(1961年10月)のヒットの一年前の映画です。
丁度今書いているこの日が亡くなられた8月12日と言うのも感慨深いかと。
川口浩のサックス演奏なども珍しい場面です。
このブログお越しの方にはお分かりの通り、大映青春映画で文子さんと恋人役の多い川口浩さん。
ジャズグループのリーダーとして、最初は衝突したり苦言を呈したりしながらも互いに引かれていく、と言う役どころです。
私の年だとテレビ番組「川口浩探検隊」の印象が強烈な 川口浩さん ですが、もともと作家で大映専務の川口松太郎を父に、女優の三益愛子を母に持つ芸能界では超セレブな方。
加えて、若いときのノーブルな二枚目ぶりは今見てもいい男ですよ。
当時としては珍しい女性の企業家を扱ったこの映画、当時の女性が見て元気を貰えたものと思います。
「美貌に罪あり」 製作年 1959年 上映時間 87分
あらすじなどはこちら → 美貌に罪あり | Movie Walker
川口松太郎が原作小説を書き大映が映画化、もちろん出演者は杉村春子、 山本富士子、若尾文子、川口浩、野添ひとみ、川崎敬三、勝新太郎 などの大映人気役者という当時としては大映定番の映画。
文子さんのスチュワーデス姿が新鮮 !
当時の花形職業を扱って、恋人役の素朴な農業青年(川口浩)との対比を際立たせ、お話を盛り上げています。
姉役の山本富士子が日本舞踊の女流舞踊家になろうとしているのとも対比している。
旧家の本家だが、今は細々と花栽培で暮らしている吉野庭園の女主人ふさ(杉村春子)には2人の姉妹が居た。
一人は舞踊家になろうと既に家を出ている長女の菊江(山本富士子)。
姉の父親を亡くして再婚し、父親違いの妹の敬子(若尾文子)がいるがこれも退屈な農村に嫌気が差してスチュワーデスの試験を受ける。
無事に試験を通り、綺麗なマンションで同僚と暮らし始めて、恋人の忠夫(川口浩)も忘れて華やかに遊び始める敬子。
しかしそれにはそれなりの危険も潜み…。
山本富士子とその師匠役(後に結婚して夫役)の勝新太郎のキレの良い日本舞踊が堪能できます。
花柳禄寿門下の山本富士子さんはもちろん、三味線師範の勝新の踊りもなかなかの見所です。
昔の俳優さんたちは(本職に)敵わぬまでもそれなりの芸事修行をしていて、それらがちょっちょっと仕草などにも出てくるのでいいんですよね~。
杉村春子さんも盆踊りを披露していますが上手いんですよこれが。
踊りの素養のある人が踊ると違います !
最終的には2人の姉妹と周りにいる違う恋人達にはハッピーエンドですが、そこに至るまでの夫婦の機微とか恋人達の葛藤とか。
母親のふさは家を手放さなければならないし。
実は ふさ が家を離れる場面では思わず涙が。
いづれ自分も…と思うと人事には思えませんでした。
「女経(じょきょう)」 製作年 1960年 上映時間 101分
あらすじなどはこちら → 女経 | Movie Walker
村松梢風の「女経」にヒントを得て、吉村公三郎・市川崑・増村保造三人の監督がメガホンを取った、女性オムニバス映画。
タイトルデザインを柳原良平さん(アンクルトリスを描いた人)が担当しています。
エロ可愛いデザインで洒落てます。
題名の「女経」とは、女の経済とか言う意味だと思うのですが。
3人のしたたかに見えて可愛い女達の物語。
一話目「耳を噛みたがる女」
貧しい水上生活者(ダルマ船に住んでいる)の娘でキャバレーに勤める紀美(若尾文子)。
同僚に煙たがられながらも、客を騙して巧みに金を巻き上げている。
その金で株を買っているというしたたかさ。
本当に好きなのは御曹司の正巳(川口浩)だが、正巳は紀美を逆に騙そうと友人(田宮二郎)と賭けをしている。
最後はちょっと悲しいけれど、このふたり一緒になれてもその後の苦労が目に見えて、このラストでよかったのかも、なんて大人の見方をしてしまいました。
2話目「物を高く売りつける女」
には謎の女(山本富士子)登場。
のっけからミステリー風な凝った造りでどきどきします。
山本富士子のクールな美貌が謎めいて、男なら騙されても本望 ?
船越英二が作家役で おふじさん と絡みます。
他に野添ひとみ・菅原謙二などが出演していますが、最後の方までは出演者が極端に少ないです。
騙し、だまされた振りをし、と山本・船越の舞台劇のようです。
市川崑監督の目先の変った実験作品ですね。
3話目「恋を忘れていた女」
これまた、当時美人女優として名高かった 京マチ子 のしっとり、うっとりするような美貌が堪能できる作品。
男だったらむしゃぶりつきたい、と思うだろうな~という年増美女ぶりです。
京都の売れっ子芸妓だったお三津は、主人に先立たれてから旅館や酒場やお茶屋を切り盛りし繁盛させ女将として磐石の地位を築いている。
ここまで来るには大変だったし、きつい事も言ったしやってもきた。
主人の妹が、結婚するから兄の遺産を分けてくれと言って来ても
「騙されてるんとちがうの?」と取り合わない。
しかし、この日は厄日なのか泊まった修学旅行生が事故に遭ったり、昔振った恋人からはしつこく電話が来るわ、舅からは迫られるわと散々である。
挙句、元恋人が押しかけて来て手形の割引を頼んでくる。
その前少しほだされかけたお美津だったが、この話にはちょっと引いた。
その時警察が踏み込み元恋人は詐欺で警察へ。
がっくりと来たお美津に、怪我した修学旅行生の様態が悪化と追い討ちが。
ここから急転直下、自分のことしか考えて来なかったお美津が怪我人に輸血したことから心境に変化が起こる。
さて、ラストは ?
京マチ子・山本富士子・若尾文子という人気大女優のオムニバス作品ということで時間はそれぞれ短いけれど、大変楽しめる映画でした。