猫とマンガとゴルフの日々

好きな物を題名に↑ 最近はゴルフとグルメお出かけ主体に。以前は1960年~70代マンガを紹介していました。ネタバレ有り。

マンガ日本の古典 酒井 美羽 「春色梅児誉美 しゅんしょくうめごよみ」

2009年05月08日 13時18分23秒 | マンガ家名 さ行


          ↑ 中央公論社 1996年6月25日 初版


 中央公論社の編集者の常套句 ! 「酒井さんにぴったりですよ !」 にまたもや釣られて  「江戸時代はまるでシロート」 と告白する少女マンガ家 酒井 美羽さんが描く江戸時代ジェットコースター恋愛ドラマ。
 あらすじを要約しようにも、二昔も前の少女マンガ、日活映画か奥様の紅涙を絞ったラジオドラマか、今なら韓流ドラマに昼メロ、いつの時代も日本人大好きな、いろんな要素ごちゃ混ぜの一大メロドラマです。
 原作は江戸時代後期の戯作者 為永 春水 作の人情本。今でいえば大衆小説の大ヒット作です。

 酒井さんは私たぶん初めて読む方だと思うんですが、(「花とゆめ」「SILKY」「YOU」でちらちら読んでたかもしれないが) 少女マンガ家らしい可愛らしい絵と思いきや、レディースコミックにも描いてらしたようでなかなかに男も女も色っぽく、艶っぽく、なるほどお江戸の恋愛ドラマにはぴったり。

 作者あとがきによると原作は、
「明るくテンポのいい物語で、最後まで読んでみた結果、なるほど私にぴったりだと認めざるを得ないというか、特にどんどん調子よく展開して収拾がつかなくなった所で都合良く(ちょっと強引に) まとめてめでたしめでたし・・・・」

 二組のカップル + 一人 を中心に話が進みますが、前半から少女が暴漢にあわやと思うと助けが入ったり、後半町人だと思っていた主人公たちが実は大家のお侍さんの落とし種やらお嬢さんやら。(笑) 
 庶民のおとぎ話で終始するのですが、それはそれで楽しく浮世の憂さを忘れ、ふと男女の真実にホロリとさせられたりして面白かったです。

 酒井氏の夫君が学生時代に 落研 にいて、趣味で江戸の風俗を調べていたとかで、描く上で大きな助けとなったそうです。そのためか江戸の風俗や建物の風情、小物に至るまでしっかり描かれていて、時代ものに興味のある方には楽しいと思いますよ~。


 酒井氏がこの物語を現代風にアレンジして描いた巻末の 「スプリング・プラム・カレンダー」 が出色 !

 ここはとある大会社、会長が急死したことから後継者を巡り内紛が勃発。弱冠19歳の養子で後継ぎの若社長 丹次郎 大学一年生に対するは海千山千の副社長 鬼兵衛 (春色では大番頭) 策略ではかなうはずもなく、会社の金を横領したと濡れ衣を着せられ身を隠し、中野の安アパートで寒さに震える 丹次郎。
 年上恋人の銀座ホステス 米八(よねはち) (春~では売れっ子芸者ね) が探し当て、「私が養ってあげる…涙」

 一方、丹次郎とは兄弟同然に育った会長の娘で丹次郎のフィアンセ、コギャルの お長 (おちょう) 高校1年生は 丹次郎 を探して夜の新宿をうろつく。ヤクザにからまれあわや~というところをチーマーのボス、ヘアメイクアーチストの お由 (およし) (春~では髪結いさん) に助けられ、そのまま お由 の家に転がり込み 鬼兵衛 に牛耳られた家を出る。

 ばったり出会えた 丹次郎 と お長 がイタリアンレストラン (春~ではうなぎや) で食事しているところに 米八 がホステス仲間と現れ、コギャルとホステスの対決が始まり…。

 と、こんな調子でポンポン進み、今 「りぼん」 「なかよし」 または 性描写をちょっと過激にして レディースコミック で連載されても違和感ないと思います。(笑)

 ラストの納まりは江戸時代ならではで、今の時代では考えられないものですが、こんなハッピーエンドも当時ならありなのかもと思わされました。

 お近くの図書館にあったら手に取って見てくださいね~~。


 
コメント (5)
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