↑ 中央公論新社 1996年6月1日 初版 文庫版
マンガ日本の古典シリーズの栄えある1巻目、「古事記」 を描いているのは 石ノ森章太郎先生。「古事記」 の中でももっとも面白い 「上巻(かみつまき)」 いわゆる 日本神話 を描いています。
石森氏の歴史ものというと、私は 「マンガ日本の歴史」 をディアゴスティーニ出版の、本の上半分だけマンガという縮小版で持っていますが、この 「古事記」 はそれを描き終えた直後のお仕事らしい。
作者あとがきによれば、
「マンガ日本の歴史」 全55巻を終えた直後、ということもあり、「古事記」 上巻は気の楽な仕事となった。
と有る。
- 日本の歴史の方は - 分かっていることだけでも、出来るだけ正確に、ミスリードは許されない、という当然のプレッシャーも、予想以上に大きかったようだ。 - 中略 - 歴史はマンガ的ではあっても、マンガではないからだ。マンガ的につられて、マンガ家的発想を展開し、本当のマンガにするわけにはいかない。
そう そこへいくと 「古事記」 上巻は、確たる原本が存在するとはいうものの、自由に『マンガ家的発想』で処理が出来た。なにしろ
幼少のみぎりから慣れ親しんできた、楽しいムカシバナシの世界、である。そのムカシを思い出しながら、大いに楽しんだ、というわけである。もっとも
苦労が全然なかったわけではない。中でも最大の苦労は……、「古事記」 上巻そのものが、すでにおおいなる マンガ だったことである。
うふふ、石ノ森先生らしい文章。読んでみると本当に楽しく描いてあるのです。
アマテラスを天の岩戸から引っ張り出そうとして踊る、アメノウズメのストリップの色っぽいこと。ヨモツヒラサカでのイザナギ・イザナミのホラーや、スサノオノミコトとヤマタノオロチとの大活劇や、途中ミュージカル風にヒーロー・ヒロインが歌いだしたり。 (なんと原作もそうなっているそう)
良く知っているおとぎ話や、あら、ほんとはこんな話だったのね、というオオクニヌシノミコトの話など、これなら小学生から大人まで、読んで聞かせれば幼稚園児だって楽しめます。
絵本ではなく一度通しで日本神話をちゃんと読みたい人は、難しい漢字の神様が並ぶ現代語訳より、これを見た方が手っ取り早いと思われます。(笑)
1998年(平成10年)1月28日亡くなっているので、1994年作のこの作品は亡くなる4年前の最晩年時期の作となります。もっともっと描いてほしかった…。ファンは誰もそう思ったことでしょう。
マンガ日本の古典シリーズの栄えある1巻目、「古事記」 を描いているのは 石ノ森章太郎先生。「古事記」 の中でももっとも面白い 「上巻(かみつまき)」 いわゆる 日本神話 を描いています。
石森氏の歴史ものというと、私は 「マンガ日本の歴史」 をディアゴスティーニ出版の、本の上半分だけマンガという縮小版で持っていますが、この 「古事記」 はそれを描き終えた直後のお仕事らしい。
作者あとがきによれば、
「マンガ日本の歴史」 全55巻を終えた直後、ということもあり、「古事記」 上巻は気の楽な仕事となった。
と有る。
- 日本の歴史の方は - 分かっていることだけでも、出来るだけ正確に、ミスリードは許されない、という当然のプレッシャーも、予想以上に大きかったようだ。 - 中略 - 歴史はマンガ的ではあっても、マンガではないからだ。マンガ的につられて、マンガ家的発想を展開し、本当のマンガにするわけにはいかない。
そう そこへいくと 「古事記」 上巻は、確たる原本が存在するとはいうものの、自由に『マンガ家的発想』で処理が出来た。なにしろ
幼少のみぎりから慣れ親しんできた、楽しいムカシバナシの世界、である。そのムカシを思い出しながら、大いに楽しんだ、というわけである。もっとも
苦労が全然なかったわけではない。中でも最大の苦労は……、「古事記」 上巻そのものが、すでにおおいなる マンガ だったことである。
うふふ、石ノ森先生らしい文章。読んでみると本当に楽しく描いてあるのです。
アマテラスを天の岩戸から引っ張り出そうとして踊る、アメノウズメのストリップの色っぽいこと。ヨモツヒラサカでのイザナギ・イザナミのホラーや、スサノオノミコトとヤマタノオロチとの大活劇や、途中ミュージカル風にヒーロー・ヒロインが歌いだしたり。 (なんと原作もそうなっているそう)
良く知っているおとぎ話や、あら、ほんとはこんな話だったのね、というオオクニヌシノミコトの話など、これなら小学生から大人まで、読んで聞かせれば幼稚園児だって楽しめます。
絵本ではなく一度通しで日本神話をちゃんと読みたい人は、難しい漢字の神様が並ぶ現代語訳より、これを見た方が手っ取り早いと思われます。(笑)
1998年(平成10年)1月28日亡くなっているので、1994年作のこの作品は亡くなる4年前の最晩年時期の作となります。もっともっと描いてほしかった…。ファンは誰もそう思ったことでしょう。