↑ ㈱秋田書店 少年チャンピオン・コミックス 2011.7.20初版 これは6版
作画の吉本さんの名前でカテゴリーしています。
宝島社「このマンガがすごい!2012 オトコ編」第一位です。
こういう賞を取った物って案外興味がなかったりする、ひねくれ者の私ですが、これは以前から見たかった。
なんたって「マンガの神様」手塚 治虫先生の創作の秘密が描かれているってんですから。
以前 朝日新聞社刊 の 伴 俊男 + 手塚プロダクション「手塚治虫物語」文庫版 Ⅰ~Ⅱ巻 を読みました。
そちらは手塚先生が生まれた1928年から亡くなられた1989年までの全人生を網羅したもので、大変読み応えが有る伝記(マンガ)作品です。
「ブラック・ジャック創作秘話」 を読んで興味を持った方は、こちらも合わせて読むと面白いですよ。 ↓
それに対しこちらは有る時期 (ブラック・ジャック創作時期前後) を切り取っています。
劇画ブームの到来で、手塚作品の人気は落ち込み、おまけに虫プロなどの経営悪化で窮地にあった手塚先生が「ブラック・ジャック」で再び大ヒットを飛ばすあたりを活写しています。
「手塚治虫物語」の一部分を、より詳しく描いて見せた、というところでしょうか。
どちらかと言うと「手塚治虫~」は先生を何でも努力もなしに出来るスーパースター、絵柄もカッコよく、スリムな先生像を描いてますが、「ブラック・ジャック~」は泥臭いまでにマンガに真剣、貧乏ゆすりしながら細かいところを描くときは眼鏡をはずし、眼で原稿を食らうように描く、ちょっとおなかの出た手塚先生の凄まじいマンガ創作の一端を見ることが出来ます。
あと、周辺のマンガ家達、元アシスタント達、編集者さん達の当時の事情なども詳しく載っていて興味深いです。
名物編集長の「週間少年チャンピオン」編集長 壁村 耐三氏がたびたび出てきます。
この方、藤子不二雄氏の「まんが道」、長谷邦夫氏の「マンガ編集者狂笑録」その他、たくさんのマンガや著作に逸話を残している方です。
他の雑誌の編集者も出てきますが、インパクト一番の人ですね。
元アシスタント(漫画家 三浦みつる)の言葉の中で印象に残っているのは、
「ええ!!徹夜も良くやりましたよ!!ねむくてね……
何度も何度も意識がなくなりそうになる日があってね…
えっ?つらかったって?とんでもないむしろ嬉しかったですよ
だって振り返ると…
そこに手塚治がいるんですよ!!」
それだけでマンガ家の卵さんたちは何でも出来たでしょうとも。