↑ ㈱青林工藝舎 2005年11月15日初版
勝又進氏は現在の石巻市出身のマンガ家。
ウィキペディアによる来歴は、勝又進 - Wikipedia ↓
東京教育大学物理学科、同大学院で原子核物理学を専攻。
1966年に漫画家として、『ガロ』でデビューする。ガロ最盛時に『勝又進作品集』を連載。
2006年、『赤い雪』で日本漫画家協会賞大賞を受賞。
2007年12月3日、悪性黒色腫のため死去。63歳没。(1943年12月27日 - 2007年12月3日)
現在の筑波大の、物理学科・原始核物理学専攻ですって !
マンガの他に『脱原発のエネルギー計画』(高文研)藤田祐幸氏と共著とか、『劇画 日本国憲法の誕生』(高文研)などを描いているのも解ります。
リアル調の絵柄は、この表紙を見るとわかるように つげ義春氏 を柔らかくしたような、少し 水木しげる氏 が入っているような 林 静一氏 にも通ずるような、当時の ガロ で流行っていた(と言っちゃ失礼だが)ような絵柄です。
でも、私はこの人の4コマを描く時のぽっちゃりしてて、温かみのある絵が好きなんですよね~。
参考になるか、少しだけ4コマも有ります。 → 勝又 進 - Bing 画像
それで居て、4コマ物の内容はシニカルというか、皮肉が利いててしかも笑えた。
又、この人の4コマが載っている本探してみよう。
さて、この本 「赤い雪」 ですが。
先ほど出てきた 水木 しげる氏 と つげ 義春氏 が帯で賛を書いてます。
そしてその反対の帯部分には、 呉 智英氏 が !
呉 智英氏は解説を書いていて、その一部が帯に載っているのです。
呉智英 - Wikipedia
これまたびっくり。
私、呉智英氏は硬派の封建主義思想家かと思っていたものだから。
京都精華大学マンガ学部客員教授、日本マンガ学会会長なども歴任している方だったんですね。
そういえば、バリバリ全共闘世代だったっけ。
なかなか本の内容にたどり着かない・・・。
最初に載っている 「桑いちご」 の内容は、ずばり つげ 義春氏 の「赤い花」と同様の、思春期の男の子と女の子の心と体の変化を表したもの…かな。
女性の体が変化する微妙な時期を題材にしてます。
狸が人間の言葉を話してて可愛い。
他の作品は 遠野物語 みたいな、かっぱが出てくるような一見牧歌的な話が多い。
しかしその実 「本当は怖いグリム童話」 みたいな毒というか裏がある。
そこが勝又氏らしいなと思うんだが。
「雁供養」と言う一遍はハッピーエンドでちょっといい話だった。
「木魂」(こだま)も幻想的な作品。
表題作の 「赤い雪」 は杜氏修行中の若い男と村娘の話だが、昔の酒造りの雰囲気が伝わって面白かった。
今のスピード感とストーリーに慣れている人が、こういうマンガを読むとのんびりしすぎていてつまらないと思うかも知れないが、じっくり読むと味があっていいもんです。
勝又氏の4コマ集「ふらりんこん」を、利用したことの無い 密林 で買うか悩むトミー。