昔、文藝春秋デラックスという雑誌があって、結構好きで特集により買っていました。「ネコとその仲間達」、「目で見る女性史 日本の美人たち」、「目で見る女性史 世界の美人」、「人物・日本プロ野球」、とかまだ手元にあります。ビジュアル重視で綺麗なオフセット印刷。当時 (私が買っていたのは昭和50年~53年位か) 600円~900円した豪華雑誌です。
この写真の号は、「日本の笑い マンガ1000年史」 昭和50年(1975)9月号 9月1日発行のもの。
大人マンガ主体の本なので、正倉院のラクガキ (奈良時代) から始まって、鳥獣人物戯画 (平安時代)、信貴山縁起絵巻 (平安) 大津絵や江戸時代の草紙ものからひも解き、明治・大正・昭和のポンチ絵、戦後の大人マンガまで網羅しています。しか~し・・・。
昭和50年といえば、既に少年・少女ストーリーマンガ全盛で、名作・傑作あまたありしも、ここでは徹底的に無視してます。それにはもちろん理由があって、文藝春秋社には、文春漫画賞というそれまで主に大人漫画に対して贈られていた大きな賞があり、ストーリーマンガはこういった大手の出版社では一段下に見られていたのですねきっと。表紙 「のらくろ」 なのに。(文藝春秋社に確かめたわけじゃないです。)
しかしこの年、昭和50年の6月に、ついに 「動物つれづれ草」 と 「ブッダ」 で手塚 治虫氏が第21回文春漫画賞を受賞されました。子供マンガを主に描いていた手塚氏のストーリーマンガにこの賞が贈られた事で、氏は 「18年間欲しくて欲しくてたまらなかった。夜も眠れないほど嬉しい」、と言っています。(朝日文庫 手塚 治虫物語 1969-1989 より)
中の記事で 「ゴルゴ13が出来るまで」 として、さいとう・たかをプロダクションを4Pほど紹介しています。プロダクション形式の紹介記事です。そして、特別描き下ろし長編(?)と銘打って、手塚氏の 「鉄腕アトム」 続編、核爆発抑制装置をかかえて太陽へ向かって飛びこんでいった後の後日談を7Pで掲載しています。
これが笑えて・・・・くくく・・・。
本当のアトムは宇宙人に助けられて他に生きている、という前フリが少しあってから、日本政府は第2のアトムをお茶ノ水博士に作らせます。がっ、それは政府の要望で、「人間そのもの」 に作られるのです。
アクビをしながらお尻をボリボリ掻き、顔を洗うとこなんかいかにも人間 ! テレビばかり見て、社会見学するからお金おくれとお茶ノ水博士にせびり、女の子をナンパして 「7つの威力の1、女千人斬り!」 なんぞとのたまう始末。(人間そのものですから、有るんですよ生殖機能が)
「シラケー」と呟き、「正義の味方なんて古いなぁ博士」 ですもん。挙句に自分のコピーを大量生産して世界中の国に売りつけ大もうけ、背任横領罪で御用となります。
この本全体が大人マンガの特集ですから、当時の世相を風刺した作品となっているのでしょうか。
この作品、実は数ヶ月前にマンガ喫茶で他の後日談作品とともに読んだばかりでした。「鉄腕アトム」のコミックスの最後、番外編ばかり集めた最後の2巻の中に入っていました。初出誌がうちにあったとは・・・・。
古城 武司氏の色紙を探している時に昔の雑誌を見つけて、読みふけってしまいました。
って、最終回はこういうお話だったんですか?びっくりしました!っで続きが…人間タイプのアトムは良いのですが…何故に生殖機能もくっついてるんでしょうか?(笑)子供の元は何処から?な~んて下品な想像をしてしまったワ(ハハハ)
御茶ノ水博士のだったら…怖い
TVシリーズの最後はそうだったように覚えてます。人類を救う為に太陽に飛び込んでいく壮絶なラストでした。雑誌ではその後もいろいろな雑誌を経由して続いていくのですけれど・・・。
子供の元 ?! そうだよねー、どこから補給するんだろ。作るときには助手が手に持ってて、お茶の水博士が なんだそりゃ なんて言ってましたが。