猫とマンガとゴルフの日々

好きな物を題名に↑ 最近はゴルフとグルメお出かけ主体に。以前は1960年~70代マンガを紹介していました。ネタバレ有り。

佐藤 史生 「羅陵王」 

2007年09月04日 18時24分25秒 | マンガ家名 さ行
 白泉社 JETS COMICS 1988年1月31日初版 写真のものは1989年1月20日の6刷のもの 

羅陵王・アレフ・タピオ・緑柱庭園(エメラルド・ガーデン) の4作収録

 ちゃととさんにお借りしています。ちゃととさんのブログ → シネマるマンガぁ?byちゃとと

 このうち羅陵王 (初出 LaLa 1985年12月号)と緑柱庭園 (初出 吉祥花人 単行本 1987年8月)が未見でした。特に 「羅陵王」 が前から見たかったので、借りられて嬉しかったです。ちゃととさんありがとうございます。

 実は・・・お借りしてひと読みした後、地元のブック○フで同じものを見つけ、迷ったのにその日は買わなかったのです。後でやっぱり手元に置いときたいと3日後くらいに行ったら案の定見当たりませんでした。
 逃がしたマンガは大きい (byアガサさん)夜さんのブログ → 漫トラ日記 のマンガいろはカルタ そのものでございました・・・古書とは一期一会だって分かっていたのに・・・

 羅陵王って昔の中国の王様で、あまりの美男子ぶりにこれじゃ戦の時に押しが利かないと怖いお面をかぶって戦ったという王様だよな~、舞楽にあったし、山岸 凉子氏は 「日出処の天子」 の厩戸の王子様にその衣装をつけて魅力的なイラストを描かれているし。(チェリッシュギャラリー 白泉社 自選複製原画集) 
 源氏物語の中でも若菜下巻の朱雀院五十の賀の試楽で髭黒大将の三男(玉鬘腹の第一子)が童舞で舞う場面が有りますな、と早速 はてな で検索しました。


 羅陵王 とは、以下はてなダイアリーより引用 ↓

 中国・北斉後期の武将;「高長恭」〔カウチャウキョウ〕のこと。東魏・興和年間(539~543)ごろ生まれ。現代人好みの、中性的な、凄いイケメンだった。ために部下が従わず、その対策として「恐面」〔こわもて〕で奇抜な面を着け、それで戦場へ赴き、無理から部下をきっぱり指揮して連戦連勝、大いに話題になり、重用され→尚書令↑太尉と出世していく。だが強引すぎる無慈悲な命令と、その美貌および名声に対して反感をもち、第五代皇帝・後主など恨みを抱える者があって、鴆酒〔チンシュ〕という毒酒を飲まされて死んでしまう。573年に亡くなっている。よって30~34歳という若さで亡くなった訳だ。この悲運話は当然、人口に膾炙して、京劇の題材として偲ばれていく。この際、遺品の鬼面が当然もちいられたのだ。そして日本の舞楽にも伝わり、「蘭陵王」・「欄陵王」・「羅陵王」・「陵王」(+入陣曲)などの題で演ぜられている

 なるほど~、美形オレ様の元祖みたいな王様ね。でも30~34歳で毒殺されたって可哀想。

 
 さて、佐藤氏の方の 「羅陵王」 のお話はと言うと、作者独特のSF宇宙物です。独特と言うのはSFだし宇宙空間の未来のお話なんだけど、どこか地球の古代か中世初期を思い出すような設定と衣装などが雰囲気を醸し出している作品群だからです。
 念願かなって読めた期待にたがわず、佐藤氏のSFの中でも面白いほうだと思います。前も書きましたけど、やっぱり私個人的には、原作付きのものよりこの方のオリジナルなSFのセンスが好き。もちろん原作付きも氏の感覚と似ていて、佐藤氏もだから作品化しているし、読ませて面白いもの多数なのだけど。
 感覚としか言いようのないところで好きなんです。こう思っているファンは多数と踏んでいるけど ? 

あらすじを簡単に。

 帝国と呼ばれる国家郡の中でもユニークな都市国家ラーフ・シティ (蝕市)。そこに帝国協議会から租税としてアムリタ (不老長寿の薬) を取り立てに来た 大使 と名乗る男とその従者。
 実はラーフ・シティの専売薬であるアムリタを盗み出し、帝国と有利に取引して独立国を立国する腹積もりの悪人だった。(もちろんエネルギッシュな美青年)しかし、アムリタには二面性が有り善の顔は不老長寿、悪は疫病として瞬く間に全帝国に広がる恐れのある恐ろしい物だった。

 まんまとアムリタの盗み出しに成功したかに見えた 大使たち は、しかしラーフ・シティの少女の姿をした祭主 (女王みたいなものですな) に疫病を広める役をやらされただけだった。実はラーフ・シティはこの事態を利用して帝国を封鎖させ、帝国以外の国にはアムリタを供給して罹患者を救い、帝国についてもラーフ・シティの言い分を認めればただちに供給する用意がある、と脅して帝国からの独立をもくろんだのだ。

 最後にもう一ひねりあるのですが、とにかくストーリーをかいつまんでもまんがにするには多くのページを必要と思われるのに、40ページにまとめているのはいつもの佐藤氏らしい。最後の方、種明かし的な所では説明書きが多くなってしまうのはしょうがないところです。

 
 4作の最後に収録されている 「緑柱庭園」 は絵物語的な短編作品で、残酷なおとぎ話で、好き好きこういうの。

コメント (11)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 内田 善美 「星の時計のL... | トップ | まんが百人一首 »
最新の画像もっと見る

11 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
どこで繋がるのか。。。? ()
2007-09-04 20:16:40
早速のカルタの紹介ありがとう

雅楽の羅陵王の名前は知っていたけど
そんな故事があったとは初めて知りました
仮面をかぶった好い男。。。って、
「彩雲国物語」の戸部尚書を勤める黄 奇人みたい
羅陵王がヒントだったのしら。。。?


しかし、このイケメン武将と佐藤さんの「羅陵王」とどこがどう結びつくのか。。。?
お子様の姿をした祭主が羅陵王なのか?
それとも、疫病がらりょうおうなのか。。。?
今一つかみきれていません

同時収録の「緑柱庭園」
私も好きです
でも哀しい話ですよね
庭園にいた盲目の少女は
やっぱり、皇女の娘だったのかしらね?
でも、その割に年食ってないのが不思議なのよね~~。。。
返信する
羅陵王 (トミー。(管理人))
2007-09-04 20:39:05
 夜様
 私はアムリタの二面性を 善(美形) 悪(鬼の面) であらわしているんだと思いました。
 そういえば 祭主さん て可愛い顔して疫病を広めるなんて怖いことしてるしね~。祭主が羅陵王と言うことも出来ますね。作品中に羅陵王をモデルにしたお面が象徴的に出てきますね。

 「緑柱庭園」いいですよね。佐藤氏のセンスが凝縮されてるような。私も年食ってなーい、不思議だと思ったけど、やっぱりあれは娘でしょ。
返信する
トラバさせて下さいませ。 (ちと)
2007-09-04 22:45:03
昔、記事を書いてたのを引っ張り出してきました。
簡単なあらすじ程度しか書いてないので恥ずかしいんですけど。。。
トミーさんの記事を読んで、またこの作品を読み返したくなりました。
返信する
漆黒の慰安 (くま)
2007-09-04 23:38:50
アッシもトミーさんの記事を読んで、先ほどからこの本を再読してました。
羅陵王の故事については、この本の中でも少し紹介されてましたが、そうですか~…最後には恐れ妬まれた挙句にそんな若さで毒殺されたんですね…。
何だか蝕人の不老長寿や神秘性に対する妬みや恐れと符合が一致しますね…何となく勝手に納得してしまいます。

>羅陵王の二面性
アッシはこの物語では「生」と「死」っていうのも表してるのかな~って感じましたダ。
どちらが「生」をどちらが「死」を表す仮面なのか、そこもどちらにも両方に取れるようで、なおさら面白く思えるんですが…
ちょっと考えがうがちすぎかも…ですね。 
返信する
未読です~(涙) (たれぞ~)
2007-09-05 07:01:41
佐藤さんのはほんと古本でも出回ることがないので、見つけたら即買いの物件なんでしようけど、見ることもないのです~
もちろん、この「羅陵王」も未読

あぁ機会があったら読んでみたいわ
返信する
こちらからも・・・。 (トミー。(管理人))
2007-09-05 11:48:08
 ちと様
 今こちらからもトラバさせていただきました。ほんとにちとさんの所は私好みのまんががいっぱいで、自分の記事書いたらどんどんトラバさせていただきますね。よろしくお願いいたします。m(_ _)m
 佐藤氏はうっかりしてて、最近皆さんに教えてもらった方なんですが、凄く絵柄が好きというんじゃないのですが、お話が気になってとても好きな作家さんになりました。ブック○フであさったり、お借りして読んだりしています。今描いてないのが残念な方ですよね~
返信する
私もうろ覚えでしたが。 (トミー。(管理人))
2007-09-05 11:55:13
 くま様
 羅陵王のことは舞楽にあったし、故事として知っていましたが、毒殺されたとは調べて分かりました。オレ様は廻りに嫌われるのよね。話違うけど のだめ の千秋って最近オレ様じゃないよね ? なんかつまんない。
 
>羅陵王の二面性は「生」と「死」っていうのも表してるのかなと

 そうですね~。長寿と疫病ってまんま 生と死 ですよね。いろいろな見方が出来るのが佐藤氏の話で、全部佐藤氏は分かってんじゃないのかという気もします。
返信する
少しですが。 (トミー。(管理人))
2007-09-05 12:00:45
 たれぞ~様
 少しですが、今度本をお返しする時に佐藤氏の本を入れようと思ってますので、もうしばらくお待ちください~。
 今必死(?)に カーラ教授 を読んでますよ。たれぞ~さんのおかげで カーラ教授物 は大体読めたんではないかと。
返信する
私も (塔野藻裳)
2007-09-08 00:07:43
先日○ックオフで佐藤さんの「阿呆船」と「竜の夢 その他の夢」が出てるのを見つけて、珍しいィ!
と吃驚しました。

「青い犬」なんか初期の作品なのに、ラストにひとひねりあるところがさすが。

あと最近の掘り出し物は、皇なつきさんの珍しい漫画作品「燕京伶人抄」とか。

イラストレーターとしての活躍が多い皇さんですが、
ストーリーも骨太でなかなかでした。
返信する
ありがとうございます(汗汗;) (ちゃとと)
2007-09-09 14:53:28
又々コメントが遅くて申し訳ございません;;
お貸しした当人が、忘却の術駆使して殆ど覚えていないというふがいなさでスミマセン;;
『死せる王女のための孔雀舞』は読み直した後でお送りしたのですが、『羅陵王』は読み返さぬまま、同封したので全く何もコメント出来なく恐縮です。
帰って来ましたら、トミー。さんやコメントの皆様の深い考察を参考に読み直したいと思います^^;

記事化ありがとうございます!
返信する

コメントを投稿

マンガ家名 さ行」カテゴリの最新記事