都市と楽しみ

都市計画と経済学を京都で考えています。楽しみは食べ歩き、テニス、庭園、絵画作成・鑑賞、オーディオと自転車

京都から大学を変える(松本紘):まともな大学改革提案、京大らしさを重んじている

2019-12-22 02:46:03 | マクロ経済

 下の子供の卒業式で祝辞を聞いたときは松本総長にはあまり感心しなかったが、この著作はまっとうだ。

 知見は:

・創造性は知識量の2のべき乗(指数にあたる)、1割多い知識で2倍違う→アイデアマンは知識や経験が豊富

・大学生が勉強しないのは、入試で疲れて、3年から就職準備のため、さらに大学の成績はあてにならず、出身大学と入社試験・面接で就職が決まる

・守破離( https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%88%E7%A0%B4%E9%9B%A2 )で「離」の自分のスタイル確立が弱い

・公平な入学試験は「主観的でも良い」→入社試験もそうだから、公平は幻想で、競争

・「異・自・言」を鍛える:①言:英語など、②自:自分の考えと自国の文化・歴史・政治・経済について話せる力、③専門外の異分野、異文化を理解・吸収する力→まっとうだ。日本を語れないものが、外国人と付き合えない、芸術も大事だ

・アメリカはリベラル・アーツ(教養)大学が多い、その上に専門の大学院としてロー・スクールやMBAがある。大学の落ちこぼれも多いが、大学間移動の受け皿がある。大学ローンが高額で「元をとる」、成績も良くないと大学院や就職に響く。

・日本の研究室は、学部と院の二階建て、ファミリー方式の研究スタイルで教授が頂点のヒエラルキー型、内向きで硬直化しやすい

・中国は第一群がアメリカ、第二群がヨーロッパ、第三軍が日本の留学生となる、そのため最優秀ではないが向学心がある

・京都大学でも総長に予算と人事の権限はない

・学問とは真実をめぐる人間関係→研究成果に直結する

・ガクリョクとは①学力:「異・自・言」、②顎力:コミュニケーション能力、③額力:額の後ろの前頭葉で人の気持ちを感じ、思いやる能力、④楽力:楽しむ力

 具体的で面白い、独自の大学院制度や闊達な会話も特色だが、最近の立て看板撤去や吉田寮閉鎖などはもっと対話できなかったのかとも思う

コメント
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