「銃・病原菌・鉄」は名著だが後は、ぱっとしない。本作は消化不良で思いつきとしか思えない。
自身の経験からの「危機」12項目を抽出し、国家の危機をフィンランド、チリ、インドネシア、ドイツ、オーストラリア、日本、アメリカにつて論述している。
①自国が危機にあるという世論の合意
②行動を起こすことへの国家としての責任の受容
③囲いをつくり、解決が必要な国家的問題を明確にすること
④他の国々からの物質的支援と経済的支援
⑤他の国々を問題解決の手本にすること
⑥ナショナルアイデンティティ
⑦公正な自国評価
⑧国家的危機を経験した歴史
⑨国家的失敗への対処
⑩状況に応じた国としての柔軟性
⑪国家の基本的価値観
⑫地政学的制約がないこと
が比較になっていない。項目が有用なら表にして証明するのが正当なのにしていない。牽強付会もいいところだ。
日本については様々な誤解がある
①南京大虐殺と韓国併合
・様々な意見があるのに読んでいないとしか言いようがない、むしろ日本が⑨についてもっと世界に対し発信していなかった責任を感じる
②捕鯨について
・アメリカが油のみ(肉は捨てた)の商業捕鯨があり、ペリーもこの一環で日本に薪水補給の要求で来訪の歴史がある
・哺乳類のなかでも鯨を食べてはいけないという論理転換とその理由が分からない
・世界は多様と言いながら、著者は文化の多様性を認めていないのではないか、文明だけではだめだ
と2分冊を読んで、時間を無駄にしたと反省した。
82歳で、末節を汚すとしか思えない著作だ、読む価値はない