● 前回は、
電磁波に晒されるとTXB2≒TXA2が増加し、血管の収縮や気管支の収縮、血栓の悪化を招く
と言うことを見ました。細胞膜に蓄えられている多価不飽和脂肪酸(オメガ3系や6系)が
切り離されて、酵素の作用を受けて、種々の機能分子へと変換され、生体の色々な
反応を齎すわけです。
● この酵素による多価不飽和脂肪酸の代謝は、はじめに発見した人が、アラキドン酸=AA
(リノール酸系=オメガ6系)から始まる事を見つけて、
アラキドン酸カスケードと
名付けています。滝のように下流に行くほど、いろいろな物質に転換されるのが
滝=カスケードに見えるわけです。彼はこの発見でノーベル賞をもらっています。
● その後の研究で、実はAAからの代謝産物は生体には有害な作用をもたらすことが分かり、
オメガ3系統のEPAから代謝されるものが、生体には優しいということが分かりました。
従ってこの代謝経路は、
EPAカスケード又はAA並びにEPAカスケードと表現するのが
正しいということになります。
● オメガ6系統(リノール酸・アラキドン酸=AA等)から作られる代謝産物は、TXB2のように
番号は2又は4をつけています=❷❹シリーズ。それに対してオメガ3系統の油脂(EPA DHA
リノレン酸)から作られる代謝産物は3又は5の数字をつけます=❸❺シリーズ。
● 両シリーズとも番号とわずかの分子の差を除けば、全く同じ系統の代謝産物ができます。
〇 問題なのは、シリーズにより、つまり2系または3系の代謝産物は作用は一見似ていますが、
その生体に与える影響は、大いに異なるということです。
〇
簡単に言えば、番号❷❹の系統=AA系=リノール酸系は、その平滑筋収縮・血管収縮や血栓を起こす
作用が非常に強く、プロスタサイクリン=PI2等の血管拡張作用は標準です。
〇
一方EPA=オメガ3系統の油脂から作られた代謝産物=番号❸❺系統は、その血管収縮・気管支収縮、
血栓形成作用は弱く、血管拡張のPI3等は標準の作用を持っています。
〇
つまり、オメガ6系統の油脂が生体にたくさんあると、体は血栓症、激しい炎症、激しい気管支収縮が
起こりやすいということです。一方、オメガ3系統の脂肪酸が体内に多い人は、そのような
激しい反応は起こりにくいということです。つまり、体質が良いということになります。
〇 言い換えれば、同じ感染症や病気を起こしても、一方は激しい症状に苦しみ、他方は軽い反応で
済むのです。これが現代人が体質が悪く、
過剰反応が起こり、余計に苦しむ理由になります。
〇 従って、
EPA/DHA(魚油).リノレン酸(シソ油)をたっぷりとり、
AA/リノール酸系統(シソ油等を除く
殆どの植物油にたっぷり含まれる)を取らないことが、健康には良いのです。
〇 オメガ3系統の油脂は、血流が良いので、薬も患部に届きやすいということになります。従って
治療の原則は、リノール酸系統の油の摂取を避けて、EPA/DHA,リノレン酸を取るのが
すべての病気の基本になります。痛みが取れ、疲れにくい元気な体になるのです。
〇 従って、現代人が体質が悪化して、子供にまで成人病≒生活習慣病が増えるのは、当然なのです。
もちろん全て油脂が原因ではないが、少なくとも軽い症状で暮らせるわけです。
〇
EPAはDHAへと変換され、脳の構成成分、特に記憶装置の海馬などで大量に使用されます。
魚油で頭がよくなるということはそういうことです。他方オメガ6=悪い油は決して
DHAに転換されることはなく、さらにDHAの作用を阻害して脳の機能を阻害すると
いうことも分かっています。悪玉は最後まで悪なのです。
● 戦
後普及した植物油特に、サンフラワー油、コーン油、ブドウの種の油、米ぬか油等が
良くないというのは、そういうことなのです。これが現代人の体質が悪化している
原因ということです。
● オメガ6系統の油脂は、どのような食べ物にもありますから、それを完全に絶つということは
できません。従ってその作用を抑える
オメガ3系統の油脂を意識的にとることが、
必要なのです。
● もちろん若くて、運動をし、てんぷらなどの油脂の多い食事をあまりとらない人は、普通に
食事しても元気でやっていけます。運動をしない人、体の調子が良くない人は、このような
悪い油は使用してはいけません。健康はまずは,食からです。
● これで、
電磁波は細胞膜への刺激を通して、油脂代謝に影響を与えて、
体質を悪化させるということが分かったと思います。
◎ 次回は、減少する他の分子、アセチルコリンやセロトニンなどについて書きたいと思います。