❶日露戦争以来の白人による黄色人種・日本の破壊政策は
変わっていないという現状認識が出来ない
❷トランプ氏のアメリカファーストいう意味が理解できていない
❸グリーンランド、カナダ、メキシコ、パナマを
併合したいという意味を理解できない
❹トップも経営者も庶民も既にアメリカファースト≒
露中の様な独裁・侵略精神に変化している
という現実が見えていない
❺これらは全て歴史を知らず、現実の世界を知らない
無知から起こることです
❻ジャーナリストにとって無知は
犯罪と同様です
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「日本は邪悪」と吠え日本バッシングした米鉄鋼メーカーCEO 発言の背景を読みとる
安部ニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者
「Japan is evil」(日本は邪悪だ)
ラストベルトのオハイオ州に拠点を置く米鉄鋼企業クリーブランド-クリフス。ローレンソ・ゴンサルベス(C. Lourenço Gonçalves)CEOはライバルの日本製鉄とUSスチール(USS)の距離が縮まる中、記者会見でこう発言し日本を公然と批判した。
筆者は日本人として聞き捨てならない言葉に耳を疑った。「なんだか過激な人が出てきたな」というのがこの発言を聞いた時の第一印象だ。
記者会見の背景
今月3日バイデン大統領によって、日本製鉄によるUSS買収が阻止された。実は23年にUSS買収を試みて競り負けたのがクリーブランド-クリフス(以下クリフス)だった。大統領の阻止で両社の将来が揺れる中、今も新たな機会を模索するゴンサルベスCEOは13日に開いた記者会見で、USSに対して新たな買収提案の用意があると述べた。その会見の中で露わになったのが、日本に対するむき出しの敵意だった。
日本に対してのCEOの発言
記者会見でのゴンサルベスCEOの主な発言(概要)は以下の通り。
敗戦後の日本の経済再建を支援し安全保障を提供するアメリカへの感謝が日本にないことをベースに
時に星条旗を鷲掴みにしながら
上記に加え、ゴンサルベスCEOは日鉄の橋本英二CEOや石破首相へのむき出しの闘争心も露わにした。
在米日本人として太平洋戦争を持ち出されることについて
筆者はコメンテーターコメントでも書いたが、アメリカに住んでいる日本人として日本がバッシングされること、中でも先の戦争の話を持ち出され今の日本と紐づけて語られることに心地悪さを感じる一人である。特に太平洋戦争、真珠湾攻撃、原爆投下の是非は両国にとって非常にデリケートな話題であり、持ち出す際は細心の慎重さと配慮が求められるべきものだと思っている。
アメリカでは12月7日が来るたびに報道で、そして教育現場で、真珠湾攻撃が伝えられる。学校では日系や在米邦人の子がその場では肩身の狭い思いをするという話を聞く。しかしそれはあくまでも歴史教育の一環である。筆者が長いアメリカ生活において友人・知人のアメリカ人から太平洋戦争の話を持ち出されて気まづい思いをしたことは一度もない。
違和感があったCEOの発言
会見で筆者が違和感を感じたのは、ゴンサルベスCEOの英語の訛りだ。会見を聞くとすぐに彼がアメリカ生まれ&育ちのアメリカ人ではないとわかった。
一言で言えば彼の米語は訛っている。誤解を避けるために説明すると、筆者は訛りを見下しているわけではない。筆者自身が話す英語も日本語訛りだし、アメリカは国土が広いので地域によってさまざまな訛りがある。訛りというのはその人のアイデンティの一部であり誇るべきものだと思っている。
それを踏まえて再度説明すると、ゴンサルベスCEOの訛りはアメリカ人が話す英語=米語とは程遠い。
それで彼のバックグラウンドを調べたところ、ブラジルの貧困街で育ったという情報がある。90年代後半に妻と3人の子とわずか6万ドル弱の資金を手にアメリカに移住したという(参照:13日の会見)。
今でもブラジル/ポルトガルのルーツを大切にしている人のようだが、記者会見で「我々はアメリカ人だ」と言っているので自身のアイデンティティは「アメリカ人」なのかもしれない。
ゴンサルベスCEOとはどういう人物なのか
クリフスのウェブサイトによると、ゴンサルベス氏が同社のCEOに就いたのは2014年8月で、彼の仕事は財務立て直しから始まったという。20年のAKスチールを皮切りに4つの主な企業買収を成功に導いてきた。現在は米鉄鋼協会(American Iron and Steel Institute)の会長も務める。さらに21年、息子のセルソ氏をクリフスのバイスプレジデントおよびCFOに抜擢したという情報も。
ゴンサルベスCEOはいわば、アメリカンドリームを体現した人と言えよう。
挑発的な性格の人なのかと思うような情報も散見される。フォーチュン(23年)は「鉄鋼界のイーロン・マスクか?」と表現し、経済紙のウォール・ストリートジャーナル(23年)は「むき出しの闘志で威圧するCEO」と紹介している。
在米日本人としてこの発言について感じること
筆者は外国出身のCEOが仮に「自分はアメリカ人だからハンバーガーが好き」という類の話をしたならばまったく気にならない。しかし外国出身のCEOに過去の大戦の話を持ち出されるのは感じ方がまったく異なる。バックグラウンドが生粋のアメリカ人*とは違う人に日米が通ってきた悲しい過去を軽々しく持ち出され、ジャパンバッシングと繋げられたことは不愉快だ。
- 「生粋のアメリカ人と違う」は区別であり差別ではないと筆者は思っている。例えばアメリカでは外国出生者は大統領職に就けない。大統領になるにはアメリカ生まれのアメリカ人でなければならない。それを差別と言わないのと同じだと筆者は考える。
逆に言えば「当事者」でないからこそ、軽々しく過去の戦争の話が持ち出せるのかもしれない。
もう一点。喧嘩を売る態度でこれほど日本への敵意を公の場で表す背景に、「怒り」があるように見えた。
自社のUSS買収がうまくいかなかった怒り。「赤の他人」である日本企業がUSSと相思相愛であることへの「怒り」だ。それを何とか阻止して邪魔したいのではないだろうか。
または「確信犯」なのかもしれない。
これほどの立場の人だから、公の場で日本を叩く行為がどれほど影響力を及ぼすか、彼なら知っているはずだ。メディアを通してアメリカ人に「日本は邪悪だ」と声高々に言うことで世論を味方につけようとしたのかもしれないし、「自分はブラジル出身だけどアメリカの味方だよ」という全米へのアピールだったことも考えらる。
さらにはゴンサルベスCEOはUSS買収をめぐり違法な妨害行為をしたとして日製らから提訴されているということなので、クリフスの業績が悪化する中、自分が行ってきた違法な独占的陰謀から注意をそらそうとの試みかもしれない。
最後になるが、アメリカでは公の場で「怒り」を表すことは自重すべき“邪悪な”行為と言われている。公の場で怒りが抑えきれない人はアンガーマネジメントのクラスを受講するべきだ。ストレートな物言いで知られるトランプ氏でさえ、気に食わないことを言われた場合は態度や顔の表情、言葉の端々で感情を表しても、決してゴンサルベスCEOのように星条旗を鷲掴んだり怒鳴ったりするようなことはしない。
そういう意味でも、アメリカでせっかくこれだけ成功しても全然アメリカナイズされていない、残念なCEOだと感じたのだった。