★ http://wedge.ismedia.jp/articles/-/6650?page=3
米国を分断する「バスルーム法」
あのトランプ氏も反対
2016年04月26日(Tue) 土方細秩子 (ジャーナリスト)
これも「トランプ効果」の負の一面なのか。米国で現在、国の分断とも言える異常な事態が進んでいる。
個人が望む性のトイレ、更衣室などを使う権利がある
きっかけとなったのは「バスルーム法」と呼ばれる、ノースカロライナ州の法律だ。米国では多くの州で性同一性障害を含むトランスジェンダーの人々(LGBT)への対応が進んでいる。カリフォルニア州を始め、「その個人が望む性のトイレ、更衣室などを使う権利がある」ことが法案化された。
特に公立の学校で、「自分は女の子」だと信じている男子生徒(あるいはその逆)が、女子トイレなどを使うことを認める州が増えている。ニューヨークのように、小学校のトイレの男女別をなくし、ひとつの入り口で内部だけ左右に分かれる、という方式を導入するところもある。ところがこうした傾向に逆行するように、ノースカロライナでは「生まれ持った性別以外の性のトイレなどの使用を禁じる」法案を3月23日可決させたのだ。
これに真っ先に反応したのがニューヨーク州知事、アンドリュー・クオモ氏だ。同氏は3月28日「ニューヨークでは性別のアイデンティティーもしくは性的嗜好に関わらず、すべての人が同様の権利と法による庇護を与えられる、と信じる」という声明を出し、政府関係者による「緊急の用件」以外でのノースカロライナへの渡航を禁ずる法案を提出した。ニューヨーク市長、ビル・デブラシオ氏も同調、「ノースカロライナへの旅行を自粛」するよう市民に要請した。
しかし、こうした動きはノースカロライナ単独ではない。ミシシッピ、ミネソタ、ジョージアでも同様の法案が提出されている。ジョージア州では知事が「法案が可決されれば拒否権を発動する」と宣言したが、デブラシオ市長は「もし拒否権が通らなかった場合、ジョージアにも同様の渡航自粛令を出す」とコメントした。
政界だけではない。この「性差別」にもつながる法案は、ビジネス界、エンターテイメント界、スポーツ界にも破紋を広げている。
最初に反応したディズニー
最初に反応したのはディズニーで、同社はジョージア州がバスルーム法を通過させるならば同州の支社閉鎖もありうる、と宣言。ノースカロライナに対してもこれまでにIBM、アメリカン航空、バンク・オブ・アメリカ、PayPal、グーグル、フェイスブック、アップルなどが抗議の声を上げた。
特にアップル社のティム・クックCEOは自らがゲイであり、同州のデューク大学の出身だけに、今回の法案に対する失望感が大きいと言われる。PayPalはすでに同州内に建設予定だった企業施設計画を白紙に戻した。グーグルも「法案が撤回されるまでは同州内にいかなる投資も行わない」と発表。ノースカロライナは有名大学も多く、今後「南部地域のテクノロジー・ハブ」を目指して企業誘致を行っていただけに、多くのIT企業にそっぽを向かれた打撃は大きい。
ミシシッピ州ではタイソンフーズ、MGMリゾート、トヨタ、日産など同州内に本社や支社を持つ企業が反対の声明を発表。多くの雇用を抱える企業だけに、今後の州経済への影響も懸念される。
また全米バスケットボールのNBAは2017年にノースカロライナ州シャルロットで開催予定だったオールスターゲームの開催を再考すると発表。ブルース・スプリングスティーンを始めとする大物アーティストが同州で予定されていたコンサートをキャンセルした。
ユニークなところでは、全米に展開する大手小売りチェーン、ターゲットが「ターゲットは州の法案に関わらず、店内のトイレにLGBTを受け入れる」との声明を発表し、喝采を浴びた。これはウォルマートなど、他の同業社の間で今後浸透すると考えられている。
バスルーム法案にトランプ氏は反対
こうした動きが「トランプ効果」だという理由は、「異なる他者を排斥する」ことを公に訴え、それが国民の支持を得ている、という現状がある。移民への差別は当たり前、性的嗜好が「ノーマルではない」人を排斥しても構わない、という風潮が全米に広がった感があるのだ。
しかし、皮肉なことに、大統領選挙でも話題に上がるこのバスルーム法案に対し、トランプ氏は反対、テッド・クルーズ氏は「理解を示す」姿勢だ。トランプ氏の反対理由は差別うんぬんではなく「ビジネスにとってマイナスである」ため。クルーズ氏は「特に若い女性の安全を守るために、女性用トイレに男性を入れない、という法案には一定の意味がある」と援護する。
トランプ氏の歯に衣着せぬ発言は、米国人の中に眠っていた不満や差別心を表面化させたことに変わりはない。現在米国では合法移民の市民権申請数が急激に増えている、という。移民、外国人を非難するトランプ氏の言動から、「もしトランプ氏が大統領になれば現在の合法的ステータスも廃止され国外退去になるのでは」という不安が人々の間に広がっているためだ。
欧州各国からも法案に対する非難の声が上がっており、英国訪問中のオバマ大統領は記者会見での質問に対し「法案はゲイやトランスジェンダーの人々の権利を損なっており、間違ったもので撤回する必要がある」と弁明する立場となった。しかしドイツ銀行など、欧州企業もこれらの州から撤退する動きがあることに対しては「どの州も美しく、人々はフレンドリーだ。訪問すれば礼節を持って迎えられる」と擁護する1幕も。
8年前にオバマ大統領が就任した時の目標は「ユニティ(統一)」だった。しかし黒人と白人の溝、富める者と貧しき者の格差の広がり、そして異物の排除、と実態は国の分裂は深まるばかり。次の大統領はこの国内問題にどう対処していくのだろうか。
//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
● 巨大な時代の流れは、誰にも抑えられないのです。例え神様でも・・・。
● 毎度書いているように、時代はUSA/大西洋ヨーロッパ資本主義が崩壊する時ですから、
革命情勢の到来と言う事です。いまから新しい国づくりをどうするかで、
左右前後上下の入り乱れての分裂・対立が起こるのです。
● 対立は個人・組織・州へと広がり、最後は力で決着を付けざるを得ないのです。
USA/大西洋ヨーロッパ諸国に住んでいる人達は、避難場所や逃げ道の
確保が必要になります。
● 革命好きの共産主義者たちには、正に胸躍る時期と言えましょう。
いまからUSA/大西洋ヨーロッパ諸国に行くことをお勧めします。
何故なら日本は上記の崩壊過程には入っていないのです。
米国を分断する「バスルーム法」
あのトランプ氏も反対
2016年04月26日(Tue) 土方細秩子 (ジャーナリスト)
これも「トランプ効果」の負の一面なのか。米国で現在、国の分断とも言える異常な事態が進んでいる。
個人が望む性のトイレ、更衣室などを使う権利がある
きっかけとなったのは「バスルーム法」と呼ばれる、ノースカロライナ州の法律だ。米国では多くの州で性同一性障害を含むトランスジェンダーの人々(LGBT)への対応が進んでいる。カリフォルニア州を始め、「その個人が望む性のトイレ、更衣室などを使う権利がある」ことが法案化された。
特に公立の学校で、「自分は女の子」だと信じている男子生徒(あるいはその逆)が、女子トイレなどを使うことを認める州が増えている。ニューヨークのように、小学校のトイレの男女別をなくし、ひとつの入り口で内部だけ左右に分かれる、という方式を導入するところもある。ところがこうした傾向に逆行するように、ノースカロライナでは「生まれ持った性別以外の性のトイレなどの使用を禁じる」法案を3月23日可決させたのだ。
これに真っ先に反応したのがニューヨーク州知事、アンドリュー・クオモ氏だ。同氏は3月28日「ニューヨークでは性別のアイデンティティーもしくは性的嗜好に関わらず、すべての人が同様の権利と法による庇護を与えられる、と信じる」という声明を出し、政府関係者による「緊急の用件」以外でのノースカロライナへの渡航を禁ずる法案を提出した。ニューヨーク市長、ビル・デブラシオ氏も同調、「ノースカロライナへの旅行を自粛」するよう市民に要請した。
しかし、こうした動きはノースカロライナ単独ではない。ミシシッピ、ミネソタ、ジョージアでも同様の法案が提出されている。ジョージア州では知事が「法案が可決されれば拒否権を発動する」と宣言したが、デブラシオ市長は「もし拒否権が通らなかった場合、ジョージアにも同様の渡航自粛令を出す」とコメントした。
政界だけではない。この「性差別」にもつながる法案は、ビジネス界、エンターテイメント界、スポーツ界にも破紋を広げている。
最初に反応したディズニー
最初に反応したのはディズニーで、同社はジョージア州がバスルーム法を通過させるならば同州の支社閉鎖もありうる、と宣言。ノースカロライナに対してもこれまでにIBM、アメリカン航空、バンク・オブ・アメリカ、PayPal、グーグル、フェイスブック、アップルなどが抗議の声を上げた。
特にアップル社のティム・クックCEOは自らがゲイであり、同州のデューク大学の出身だけに、今回の法案に対する失望感が大きいと言われる。PayPalはすでに同州内に建設予定だった企業施設計画を白紙に戻した。グーグルも「法案が撤回されるまでは同州内にいかなる投資も行わない」と発表。ノースカロライナは有名大学も多く、今後「南部地域のテクノロジー・ハブ」を目指して企業誘致を行っていただけに、多くのIT企業にそっぽを向かれた打撃は大きい。
ミシシッピ州ではタイソンフーズ、MGMリゾート、トヨタ、日産など同州内に本社や支社を持つ企業が反対の声明を発表。多くの雇用を抱える企業だけに、今後の州経済への影響も懸念される。
また全米バスケットボールのNBAは2017年にノースカロライナ州シャルロットで開催予定だったオールスターゲームの開催を再考すると発表。ブルース・スプリングスティーンを始めとする大物アーティストが同州で予定されていたコンサートをキャンセルした。
ユニークなところでは、全米に展開する大手小売りチェーン、ターゲットが「ターゲットは州の法案に関わらず、店内のトイレにLGBTを受け入れる」との声明を発表し、喝采を浴びた。これはウォルマートなど、他の同業社の間で今後浸透すると考えられている。
バスルーム法案にトランプ氏は反対
こうした動きが「トランプ効果」だという理由は、「異なる他者を排斥する」ことを公に訴え、それが国民の支持を得ている、という現状がある。移民への差別は当たり前、性的嗜好が「ノーマルではない」人を排斥しても構わない、という風潮が全米に広がった感があるのだ。
しかし、皮肉なことに、大統領選挙でも話題に上がるこのバスルーム法案に対し、トランプ氏は反対、テッド・クルーズ氏は「理解を示す」姿勢だ。トランプ氏の反対理由は差別うんぬんではなく「ビジネスにとってマイナスである」ため。クルーズ氏は「特に若い女性の安全を守るために、女性用トイレに男性を入れない、という法案には一定の意味がある」と援護する。
トランプ氏の歯に衣着せぬ発言は、米国人の中に眠っていた不満や差別心を表面化させたことに変わりはない。現在米国では合法移民の市民権申請数が急激に増えている、という。移民、外国人を非難するトランプ氏の言動から、「もしトランプ氏が大統領になれば現在の合法的ステータスも廃止され国外退去になるのでは」という不安が人々の間に広がっているためだ。
欧州各国からも法案に対する非難の声が上がっており、英国訪問中のオバマ大統領は記者会見での質問に対し「法案はゲイやトランスジェンダーの人々の権利を損なっており、間違ったもので撤回する必要がある」と弁明する立場となった。しかしドイツ銀行など、欧州企業もこれらの州から撤退する動きがあることに対しては「どの州も美しく、人々はフレンドリーだ。訪問すれば礼節を持って迎えられる」と擁護する1幕も。
8年前にオバマ大統領が就任した時の目標は「ユニティ(統一)」だった。しかし黒人と白人の溝、富める者と貧しき者の格差の広がり、そして異物の排除、と実態は国の分裂は深まるばかり。次の大統領はこの国内問題にどう対処していくのだろうか。
//////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
● 巨大な時代の流れは、誰にも抑えられないのです。例え神様でも・・・。
● 毎度書いているように、時代はUSA/大西洋ヨーロッパ資本主義が崩壊する時ですから、
革命情勢の到来と言う事です。いまから新しい国づくりをどうするかで、
左右前後上下の入り乱れての分裂・対立が起こるのです。
● 対立は個人・組織・州へと広がり、最後は力で決着を付けざるを得ないのです。
USA/大西洋ヨーロッパ諸国に住んでいる人達は、避難場所や逃げ道の
確保が必要になります。
● 革命好きの共産主義者たちには、正に胸躍る時期と言えましょう。
いまからUSA/大西洋ヨーロッパ諸国に行くことをお勧めします。
何故なら日本は上記の崩壊過程には入っていないのです。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2d/2c/c3abf04193d988e0ae270be969e54b45.jpg)