BRICS台頭による 米ドルの危機 ジム・リカーズ |
今世界では ・米国大統領選挙 ・ウクライナ戦争 ・イスラエル・ガザ戦争 に注目が集まっている。 しかし、 長期的に考えた際 より重要な地政学的ニュースを 忘れてしまってはないだろうか。 それが、 「新しいBRICS通貨」の開発と それが世界通貨システムで果たす 潜在的な役割だ。 私は何年もの間 ドルの危機について警告し、 BRICSの台頭についても 序盤から警鐘を鳴らしていた。 その中で私は 世界の金融システムを襲おうとしている 金融ショックについて詳しく説明した。 これは、半世紀以上平穏を保ってきた 国際金融バランスにおける 最も重要な転換点だと私は考えている。 BRICS諸国の年次首脳会議は、 2024年10月22日から24日まで ロシアのカザンで開催され BRICS通貨計画を 実質的に前進させる発表が 行われる予定だ。 出所:zartonkmedia size
BRICSは 議長国を輪番制で務めており、 昨年は南アフリカが議長を務めた。 2024年はロシアがBRICS議長を務める番だ。 出所:indianexpress size
2009年のBRICs加盟国は、 ブラジル、ロシア、インド、中国だった。 2010年にグループ名がBRICSに変更され、 南アフリカが加わった。 2023年に南アフリカで開かれた首脳会議では エジプト、エチオピア、 イラン、アラブ首長国連邦(UAE)が加わり、 グループは大幅に拡大した。 (アルゼンチンとサウジアラビアも加盟が認められたが、アルゼンチンは申請を取り下げサウジアラビアは検討中として加盟を延期した。) size
BRICS は長年にわたり その取り組みを制度化することに 積極的に取り組んできた。 2014年、 BRICSは新開発銀行 (NDB) を設立。 出所:washingtonpost size
これは世界銀行に倣って新興経済国のインフラ開発を 促進するものだ。 NDBは加盟国から 1,000億ドル以上の資本金を得て設立され、 現在53件のプロジェクトが進行中で これらのプロジェクトには 150億ドル以上の資金が投入されている。 現在の加盟国9か国のほかに、 ナイジェリア、ベネズエラ、インドネシア、 マレーシア、トルコ、タイ、ベトナムなどの 経済大国を含む20か国以上の 加盟希望国が待機リストに名を連ねている。 BRICSは世界経済と地政学の優位をめぐって 西側諸国に挑戦している 新興のグローバルサウスの一部である。 BRICS通貨というテーマは ほとんどの人にとって わかりにくいものであり 多くの専門家にとっても難しい問題だ。 正式な名称は まだ発表されていないが、 便宜上この潜在的な通貨を “BRIC”と呼ぶことにしよう。 “BRIC”は実用的な決済通貨としての 地位を確立する上で かなり前進している。 前提条件は、 ・合意された価値 ・安全な決済チャネル ・デジタル台帳 ・合意された発行者 だ。 最も重要な要素は、 “BRIC”同盟に 十分な数の加盟国が存在することである。 これによりBRICS通貨の受取人は 管轄区域で多くの商品やサービスの購入に その通貨を利用できる。 この最後の点が、 ほとんどの代替通貨決済の取り決めが うまくいかない点だ。 ロシアは中国に 人民元で石油を売ることができるが 人民元をどこで使えるかという点では 制約がある。 現実的には 中国製の製品と半導体に限られるのだ。 ロシアがインドにインド・ルピーで石油を売ったり、 イランに対して イラン・リアルで武器を売ったりする場合も同様。 売り手は貿易相手の通貨で 買えるものが限られてしまっている。 しかし、この制約は もし15〜20か国以上の加盟が実現すればなくなる。 ロシアが中国からBRICを獲得すれば ブラジルからエンブラエルの航空機を購入したり、 マレーシアから半導体を購入したりできる。 さらに言えば、 複数加盟国による通貨同盟における 決済通貨の使用は 加盟国だけに限られない。 決済チャネルにアクセスできれば、 非加盟国でもBRICS通貨を 支払いとして受け取ることに同意でき、 貿易相手国である他のBRICS加盟国の間で その通貨を使えるという安心感を 持つことができる。 我々にとって一番わかりやすい事例がユーロだ。 ユーロ圏は現在 20か国による通貨同盟で 単一の中央銀行を持ち 世界中でユーロが受け入れられている。 |
これが実際の ”世界一の経済大国”? ◉国民の78%が「その日暮らし」 そして利用者の49%が 支払いを延滞している というデータもあります。 ◉大都市でも200人に1人がホームレスに 東京のホームレスは およそ3万人1人ですが、 その150倍です。 ◉希望を見失い、自ら命を絶つ人も増加 2024年9月の統計で、 18歳から25歳の若者のうち 4人に1人が 過去1年以内に薬物乱用をしていたという データが発表されました。 では一体、その国とはどこなのでしょうか?
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◉注目すべき新たな展開 size そのようなBRICS通貨が 今後開発されそうな動きの中で 現在いくつかの興味深い展開が起こっている。 ✔︎1つ目 米国が行った ロシアに対する制裁、 ロシア中央銀行の資産凍結、 そして実際にそれらの資産を盗み出し、 ドルを武器化しつつ ウクライナへ500億ドルの融資をしたことによって、 アメリカドルに対する信頼が低下している 米国のこの行為を考えると、 各国は米国の多額の保有ドル資産に対して より慎重になってしまう。 これが、最近の金価格上昇の一因とも考えられる。 ✔︎2つ目 10月下旬に ロシアのカザンで開催される BRICS首脳会議で、 安全な決済チャネルの構築における 大きな進展が発表され、 新たな加盟国が承認される可能性がある。 これにより同グループは 通貨同盟の発足に必要な 臨界質量(15カ国)に近づくことになる。 BRICS通貨の台頭は 明日・明後日で起こるものではない。 1992年のマーストリヒト条約から 2000年のユーロの実際の創設まで、 ユーロの立ち上げには ほぼ10年かかったことを考えると良いだろう。 私は1990年代後半に 国際通貨基金(IMF)や世界銀行で 顧問を務めたアルベルト・ジョバンニーニと 密に仕事をした。 アルベルト・ジョヴァンニーニ氏(1955-2019)
出所:cepr size
彼はユーロの創設に貢献した経済学者の1人だ。 私は新しい通貨を創設する際の 技術的なハードル、 ドイツ・マルク、トルコ・リラ、 スイス・フラン、その他の加盟国通貨を ユーロに交換する為替レートをどうするのかについて 詳しく聞いた。 BRICS建て債券市場の発展には これから何年もかかるだろうが、 BRICS諸国が自国民に個人投資家として 債券を直接提供すれば そのプロセスは加速される可能性がある。 “BRIC”を 世界の準備通貨として 機能させる近道は、 金 sizeである。 BRICSの加盟国は BRICSの余剰金を使って金塊を購入し、 準備金として保持することができる。 ロシア、中国、南アフリカは いずれも主要な金生産国であり 中国には精錬所の広範なネットワークがあるため 購入可能な金は十分にあるはずだ。 購入や決済に必要な場合 金は簡単に BRICS通貨に売却できる。 これらの解決策や その他の解決策に共通するのは 米ドル取引が不要になることである。 メンバーを増やし、 インフラを構築し、 評価の問題を確定させるには まだ数年かかるだろう。 それでも、この通貨は登場するに違いない。 決済通貨としてさえ、 BRICS通貨は 世界貿易のかなりの割合で使用され ドルに匹敵する可能性がある。 ただ 「BRICS通貨が今すぐにドル終焉をもたらす」 と言っているのではない。 私がお伝えしたいのは 米国政府の誤ったドル武器化政策によって、 BRICS通貨への需要が増加し 最終的にドル終焉の始まりになる可能性があるということだ。 まだ、私のドル危機に関する解説動画を見てない方は BRICS会合が開かれる前にぜひ見ておいてほしい。 →メッセージ動画を見る size |
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