「グレートリセット」という言葉が、経済の専門家の間で流行語になっている。
2025年には、これまでのトレンドとは非連続と言えるほど大きな構造転換が世界や日本を襲うという見立てだ。
半世紀にわたって続いてきたグローバル資本主義が、地球環境の破壊や許容できないほどの格差をもたらすなど、すでに限界を迎えている。
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また、フランスの内閣総辞職、ドイツの連立政権崩壊、韓国の戒厳令発令、シリアのアサド政権崩壊、日本の与党衆院過半数割れ、そして何よりアメリカのトランプ大統領再登場と、世界が大きく変わる兆候が、明確に表れている。
トランプ次期大統領が打ち出すアメリカファーストの政策は、グローバル資本主義の対極にある。
自国産業を優先するため地球環境対策を無視し、自国産業を守るために高い関税をかけて輸入を抑制する。グローバル主義の完全否定だ。
ただ、アメリカの力はいまだに強大で、世界各国はトランプ政策に当面は服従する構え。しかし、不満が鬱積するから各国の政治は不安定度を高め、最悪の場合、世界戦争に発展していく可能性さえある。
問題は、そうした混乱を乗り越えたあと、グローバル資本主義に代わる新しい経済社会の体制がどのようなものになるのかだ。
私は、グローバル資本主義の真逆の方向に経済社会が動き出すのではないかと考えている。
大都市一極集中から地方分散へ、グローバル調達から地産地消へ、大企業・富裕層の独り勝ちから庶民の暮らしが改善する経済への転換だ。
その中で、私は最も重要な変化は金融市場に表れるのではないかとみている。
資本主義の下では、モノや通貨、金融商品の価値は本来の価値とは無関係に、欲しい人さえいればいくらでも値上がりしていく。
最近で言えば、ビットコインの価格が10万ドルを超え、東京圏の新築マンション価格が1億円を超える。それがバブルだ。
ババを引くのは投資家と金融市場
私は、半導体メーカー『エヌビディア』1社の時価総額が日本のGDPと肩を並べるほど高値をつけている米国株が、人類史上最大のバブルを引き起こしており、早晩株式の大暴落が起きると警告し続けている。
だが、その主張自体にいま非難が殺到している。それは何故なのか。
現代経済学の巨人、岩井克人教授は、「資本主義とは投機を用いる経済システムだ」と喝破した。
バブルという異常な値上がりと、パニックという暴落を繰り返すのが、資本主義の本質なのだから、バブルを警告するのは、本主義を否定することにつながるのだ。
ただ、2025年に起きる経済社会の大きな構造転換が資本主義の終焉を意味するのであれば、二度とバブルは生じなくなる。
それは、バブル崩壊の大暴落の株価が二度と戻らないということだ。
そうなったとき、一番大きな影響を受けるのは、最後のババを引いた投資家と膨れ上がった金融市場になるだろう。
激動の2025年、米国株が史上最高値を更新したとダンスを踊っている場合ではない。
いつ暴落がきてもすぐに逃げられる態勢を整えておくことが、身を守るために最も重要な準備になるのだ。