ニュージーランド移住記録:日記「さいらん日和」

2004年に香港からニュージーランドに移住した西蘭(さいらん)一家。子育て終了、仕事もリタイア。好きに生きる記録です。

最低賃金

2011-11-27 | 経済・政治・社会
昨日の総選挙は、現政権の中道右派・国民党が121議席中60席を確保して圧勝 少数政党3党からの閣外協力も継続して、続投を決めました。


NZは一院制で任期3年なので、任期満了選挙でもなんだかあっと言う間に選挙、選挙で、永住権が取れてから、これで3回目の投票になりました。
(まだ6年目なのに~


今回ほどイデオロギー対決になった選挙は初めてで、
労働党が「最低賃金を時給15ドルに
と労働者の味方につけば、
国民党は「労組の弱体化、若年の新規被雇用者には割安な賃金を
と雇用主に便宜を図って、新規雇用を増やして失業率を減らそうと躍起。


15ドルは今の為替60円換算で900円、ちょっと前の70円換算なら1050円ですから、NZの物価から考えると、かーなーり高いと思います。
現行の13ドル(為替次第で780~910円)でさえ、どんなに簡単な仕事でもこれ以下では人が雇えないわけですから、相当な高さです。


雇用主にしてみれば、これに加えて確定拠出型個人年金キウイセーバーの企業負担だの、ACC(公私で怪我をしたときの国民皆保険)の費用だの、さらに費用が上乗せされます。


「賃金の下方硬直性が雇用機会を減らしている可能性があるのでは
と、個人的には感じています。


時給600円ぐらいだったら3人雇いたいところを、780~910円も払うなら無理をしても2人で回そう、とか、人は雇いたいものの簡単な仕事なので、780~910円も払ったらペイしない、とか。


逆に有能な人には1000円以上出したいのに、そうでない人や新人にも780~910円を払わなければならないので、雇用主に賃上げの余裕がなく、有能な人が転職してしまい、そうでない人が残ってしまう、とか。


これが経験者には時給1000円、未経験者や新人には600円というように柔軟に対応できたら(時給780円の人を2人雇うのとほぼ同じコスト)、もう少し雇用状況が安定するのではと思うのですが、何事にも競争を持ち込みたがらないNZ。なかなかそうはならないようで


この柔軟性のなさが、労働人口のうち30万人もが最低賃金に近い水準で働き、昇給機会は政府が最低賃金を見直す時のみ、という、市場原理の働かない雇用状況を生み出しているのではないでしょうか。


従業員にしてみれば、努力してもなかなか賃金面で報われず、たいしたことをしていないように見える同僚も自分と同じ賃金をもらっているとなると、労働意欲も萎えてきて、「隣の芝」(=別の職場やオーストラリア)が青く見えてくるのでは??


雇用主にしてみれば、常に競争に晒される市場原理の中で商売をしているのに、業種によってはコストの中で最大にもなる賃金面だけは市場原理が働かないとなると、よほど採算が合わない限り人を雇わず、事業拡張に出ない方が得策(というか安全)と、後ろ向きになってしまいかねません。


ACT党が訴えていた「最低賃金制度の撤廃」は極論だし、基本的人権にかかわってくる問題かとも思いますが、本来労働者を守るための最低賃金が、この国の場合、「雇用市場の足かせになっているのでは?」と感じています。




なーんて、今日は珍しく語ってしまいました



よく行くホームセンターのカフェに行こうとしたら、

入り口にこんなに可愛いプレイハウスが


子どもじゃなくても胸がときめく可愛さ

屋根は人工芝、煙突まであって、小さい子が何人も入れる広さ。
入り口にはちゃ~んと生花も!
全~部手作りで、乳幼児施設プランケットへの寄付の品でした。


「こんな仕事部屋があったら、仕事がはかどりそ~
と、やや現実逃避モードです