フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

11月13日(月) 晴れ(松本)

2017-11-15 17:28:12 | Weblog

7時、起床。

昨夜の冷え込みはやっぱり東京とは違った。

朝食は「ハイファイブ」で食べるつもりなので(コーヒーとホットサンドだ)、開店の10時まで部屋でブログを書く。どうもホテルの朝食(バイキング形式)は不本意ながら食べ過ぎてしまうので、最近は朝食をホテルの外で食べるようになってきた。「朝食券」は1200円の金券と同じなので、夕方、帰りのあずさ号に乗る前に「ガスト」で夕食を食べるときに使える。

ホテルをチェックアウトして(ただし荷物は夕方まで預かってもらう)、あがたの森通りにあるコーヒースタンド「ハイファイブ」に行く。ここは「SKIPA」のノンちゃんの知り合いの方が去年から始めた店である。

前回初めて来たときはご主人はご不在だったが、今日はご夫妻そろっていらっしゃる。明るく背の高い奥様と、温和で背の高くないご主人。いい感じのご夫婦だ。「chiiann」の奥様から私が来るであろうことは知らされているようだった。松本カフェネットワーク恐るべし。

ブレンドコーヒー。

ホットサンド。中身はちょくちょく変わるらしい。今日はレタスとトマトとポテトとひき肉だった。うん、これは美味しい。思いのほかボリュームがあり、朝食というよりもブランチな気分になる。

同じあがたの森通りにある「栞日」とはほんの数分の距離である。

昨日は夕方にちょこっと顔を出しただけだったが、今日はしばらくここで本を読もうと思う。

二階へ。

窓際のこの机が私のいつもの場所だ。

今日もいい天気だが、昨日よりも風がある。

注文したドーナツとジンジャエールをご主人の菊地さんが運んできてくれた。お元気でご活躍ですね。旅の雑誌で松本が取り上げられると必ず「栞日」のことは載っている。いまや老舗の「まるも」と並んで松本を代表するカフェとなった感がある。

ドーナツンもジンジャエールも自家製である。 

読んでみたい本や雑誌がたくさんある。

長い時間読みふけるにはこちらのソファーがいい。

たとえば長田弘の詩集『空と樹と』。

冒頭の一篇「空なるもの」。

味わい深い詩だった。

 

二階にはこんな小部屋もある。古道具屋「燕」(つばくろ)のプロデュースの「CAFE ZUBAKURO」という喫茶スペースになっている。

*時計は動いてません。

 

「どうぞおすわりください」とソファーが語りかけている。

座ってみる。

詩集とブックレットと写真集を購入。

ゆったりとした時間を過ごさせてもらいました。また来ますね。

昼食は、「栞日」からあがたの森通りを渡って、ちょっと入ったところにある「源智のそば」で。

源智という湧水(井戸)のそばにある蕎麦屋さんである。8月に松本にきたとき、店の前を通ったが、客がいっぱいで入るのをあきらめた。今日は空いている。

えごまそば(並)を注文。

この時期に松本に来たら栗ごはんと蕎麦は食べずには帰れないだろう。

薬味のえごまの実(を干してすりつぶしたもの)。えごまはシソの一種。

他に客がいなかったのでご主人とおしゃべりをする。

 「私は松本にはよく来るんですが、まだ真冬に来たことがありません。ところが、ある方から(「chiiann」のご主人)、松本は真冬が一番いいんです、と言われたのですが、本当でしょうか?」

 「う~ん、その方は東京から来た方ではないかしら。地元のもんにとっては冬はただ寒いだけですよ(笑)」

 「そ、そうですか・・・」

 「でもね、実は蕎麦は2月頃が一番美味しいんです。もちろん新そばもいいんですが、2月頃になると味が安定してくるように思います」

 「へぇ、それは初めて聞きました。じゃあ、2月ごろに蕎麦を食べに来ようかな。そのときは温かい桜えびのかき揚げそばが食べたいな」

 「はい、お待ちしております」

手帳を開く。2月17日(土)が文学部の入試だから、その翌日の18日(日)あたりかな、と目星を付ける。

女鳥羽川沿いにある「宝来屋」。ここの団子は美味しいのである。でも、閉まっていることが多いのだが、今日は開いている。

あんだんごと、みたらしだんご(表記はただの「だんご」となっている)を一本ずつ購入。

鞄に入れた団子をどこで食べようかと考えながら、歩く。

大橋の袂から始まる東町通りを歩く。飲み屋街のようである。

月曜日だから閉まっているだけで、現役の床屋さんですね。

昭和っぽい名前の店が多い。

「幸福アパート昭和の館」。思い切ったネーミングである。

これか。

こちらは昭和の煙草屋さんだ。

思い切ったネーミングの店をまた見つけちゃいました。でも、何屋さんなのだろう?

散歩のついでに松本城まで行ってみることにする。

写真、左から4分の1あたり、稜線の向こうにちょこっと見える小さな▲は槍ヶ岳の山頂である。

松本城の天守閣が見えてきた。

5月に行った名古屋城は戦災で全焼したものを再建したコンクリート作りのものだが、松本城は木造のまま残っている。

 スケールの大きな、美しい城である。

その色合いから烏城と呼ばれたりもする。たしかに黒い。

見る角度によって白と黒のコントラストに変化がみられる。烏ではないね。

朱塗りの橋が彩りを添える。

お堀端のベンチで「宝来屋」で買った団子を食べる。

外堀に公孫樹の落ち葉がいっぱい。

市立博物館横のあの大きな公孫樹の木のものだろう。

そばまで行ってみる。 

 

大きな公孫樹の木を見上げる。 

長田弘の詩の一節が甦る。

「晴れた日の、街の木の下までの旅。大公孫樹の木の下まで行ったら、立ち止まって、黙って、遠く、枝々の向こうにひろがる空の青を見上げる。」

私はいま松本に来ていて、それ自体がすでに旅なのだがけれど、それで満足して、怠惰になってしまうと、本来その中にあるはずの、たくさんの、小さな旅をしそこなってしまうだろう。

松本城公園を出て、大名通りを歩く。

意匠を凝らしら古書店が目に飛び込んできた。

ショウウィンドウの一番いい場所に『北杜夫全集』が置かれている。

ツタの絡まる古いビル。

その向いは由緒ありそうな建築物(市の文化財に指定されている)。

遅ればせではあるが、四柱(よはしら)神社に参拝していこう。

ずいぶんと歩いた。「まるも」で一服しよう。 

私が入店したときはずんぶんたくさん客がいたが、一瞬、でみんないなくなった。

やっぱり松本民芸家具は落ち着く。

ブレンドコーヒーを注文。朝、ホテルの部屋で飲んでものを入れて、本日3杯目のコーヒーだ。

木工とクラフトの店「グレイン・ノート」に顔を出す。マダム、こんにちは。

二階で開催中のKEN/NEL クラフト展2017「あたたかなおくりもの」を見物する。

作家の寺下健太さん。

他に客はいなかったので、親しくおしゃべりさせていただく。

ハリネズミ。かわいい。かなり惹かれるが、(購入は)ぐっと思い止まる。

白うさぎ。かわいい。かなり惹かれるが、ぐっと思いとどまる。昨日今日でかなりお金を使っているからだ。

DMで使われている木製の犬。寺下さんは犬が得意で、猫が苦手だ。私が二階に上がって行ったとき、ノートに猫のスケッチを練習していたところだった(笑)。

羊毛製のハリネズミや白ウサギはなんとやりすごすことができたが、この犬には抗しきれなかった。来年は戌年ということもあり、購入する。

午後5時。帰りのスーパーあずさの発車時刻まであと1時間半ほど。

「chiiann」に寄って行く。昨日に続いてだが、「栞日」と「chiiann」には滞在中毎日来るのだ。

カップの紅茶を注文。

ご主人と松本の冬のついて語る。

 「地元の方はただ寒いだけだと言ってましたよ(笑)。」

 「人は身近なもののよさになかなか気づかないものなのです」(憮然としたように)

奥様とはフードメニューの話をした。

 「サンドウィッチとか、カレーとかも出されたらいいんじゃないですか」

 「でも、お出しするとなると、どこにでもあるようなものではだめで、ここ店ならではのものでないといけない気がするんです」(求道者のような表情で) 「そう考えてしまうと、なかなか・・・」

店を出るときご主人とのツーショットを奥様に撮っていただく。奥様ともツーショットも撮りたかったが顔出しNGということでかなわなかった。美しい方なのだが、実際にお店に足を運んでご対面下さい。

「2月頃、来れたら来ようと思っています。初めての冬の松本です」と挨拶して店を出る。「おお!」とご主人が嬉しそうな笑顔をされた。

ホテルに預けてある荷物を取りに行き、ホテル一階の「ガスト」で早めの夕飯を食べる。8月のときと同じ鮪のたたきごはんだが、鮪増量(1.5倍)で注文した。

1187円なり。ホテルの「朝食券」(1200円相当)でピッタリ支払えた。

さようなら、晩秋の松本。次は真冬の松本に会いにきます。

9時過ぎに新宿着。

10時ちょっと前に帰宅。

風呂に入るとき、体重計に乗ったら、出発前より減っていた。比較的軽めの食事と長い散歩のおかげだろう。

2時、就寝。