フィールドノート

連続した日々の一つ一つに明確な輪郭を与えるために

11月12日(火) 晴れ

2019-11-15 16:33:06 | Weblog

9時、起床。

トースト、サラダ、牛乳、紅茶の朝食。

2泊3日の信州旅行から「日常」に戻ってきた。もっとも茅野も松本も年に数度訪れる場所なので、「たまに訪れるもう一つの日常」といえなくもない。そういう見方からすれば、私(たち)の日常生活は出現の頻度・サイクルを異にする複数の「日常」の組み合わせなのである。

 11時頃、家を出て、大学へ。

松本の「ガルガ」で購入した青木郁美さん作の2種類のコーヒーカップ。研究室で使おう。 

東洋大学の助教で、文化構想学部の演習を非常勤で担当されている川副早央理さんが研究室に顔を出してくれた。彼女は以前、現代人間論系の助手をされていたのである。 

髪が(さらに)ショートになりましたね。

「お土産です」といってコクヨの測量野帳(フィールドノート)のオシャレ版を下さった。 

ありがとうございます。これは上着の内ポケットにちょうど納まる大きさと薄さなので重宝している。 

昼食をご一緒にということで大隈記念タワー15階の「森の風」へ行く。途中、南門通り商店街のワセダベアの前で。 

彼女は本日のパスタ(トマトだったかしら)。 

私は海鮮焼きそば。ここではランチメニューからこれを注文することが多い。 

食後のコーヒー。本日のデザート(ガトーショコラ)も追加で注文する。 

彼女は博士論文の執筆がいよいよラストスパートの時期にさしかかっている。頑張って下さい。

研究室に戻って、原稿のゲラ(再校)に目を通す。初校でしっかりチェックしたつもりだったが、「晦渋」が「懐柔」と誤変換されていたりして(「怪獣」だったらすぐに気づいたんだけど)、 油断は禁物である。

明日はオムニバス授業「現代人間論系総合講座」の担当回なので、その準備をする。

5時に大学を出る。 

6時に予約している自宅の近くの整骨院へ行く。ふつうは1時間ほどで終わるのだが、けっこう混んでいて、1時間半かかった。

夕食は妻と「マーボ屋」で。 

中華サラダ。 

鮭の揚げ物をマヨネーズソースで和えたもの。 

牡蠣の甘辛炒め。

 牡蠣がメニューに出るようになると、「マーボ屋」に来る頻度が増えるだろう。

 

2時、就寝。


11月11日(月) 晴れ、一時雨 (信州旅行3日目)

2019-11-15 10:26:41 | Weblog

8時、起床。

朝風呂(シャワーではなく)に入る。

9時半過ぎにホテルをチェックアウト。まずは「ユキ・リ」に朝食を食べに行く。晴れてはいるが雲が多い。

10時ちょっと前に「ユキ・リ」に着く。 

 今日は大きなテーブルに座る。

 朝ごはんを注文。正しくは「ユキ・リごはん」というのだが、7時半開店なので、実質的に朝ごはんで、土鍋で炊いたご飯がなくなったら終わり。昨日は「山山食堂」で昼食を食べてからお茶をしにきたのだが、そのとき「ごはんですか、お茶ですか」と聞かれたので、今日もその調子でいたら、なんと朝ごはんは私で終わりだった。店主さんが「ごはん終わりました」の張り紙を店の入り口に貼った。ふぅ、危ないところだった。

朝ごはん。

野菜を中心としたおかずが5品。 

大豆とひじきの混ぜご飯。 

葱味噌を使ったお味噌汁にも野菜がたっぷり。 

お冷はセルフで。

食後にカフェオレを注文。 

壁の棚に絵本が置いてある。 

 テーブルの上にも。

 村松真佐子『きょうはもうねます』。

「きょうは もう ねます」 

「ゆめでも きみに あいたいから」 

「きょうは もう ねます」 

 「しらない まちは さみしいから」

「きょうは もう ねます」 

「ぜんぶ わすれたいから」 

「きょうは もう ねます」 

「ここが いちばん あんしんできるから」 

「今日は これで 帰ります」と私は店主さんに言った。次に来るのは 春先になるでしょう どうぞお元気で。 

雨がパラパラと降ってきた。 

私は傘を持ってこなかった。「信毎メディアガーデン」で雨宿りしつつ、ブログの更新作業。

スマホのお天気情報では2時間ほどで晴れるとのこと。初冬の通り雨を「時雨」(しぐれ)という。「一時の雨」という意味である。時雨の句には好きなものが多い。

  旅人と我が名呼ばれん初時雨  芭蕉

  うしろすがたのしぐれてゆくか  山頭火

  しぐるるや駅に西口東口  安住敦

私も一句。

  時雨るるや傘を持つ人持たぬ人  たかじ

私は「傘を持たぬ人」だが、いつまでも雨宿りしているわけにはいかないので、ダウンコートを頭から被って最寄りのコンビニまで行き、ビニール傘を買った。500円ほどした。すぐに無用の長物になるが、どこかのカフェで置き傘として使ってもらおう。

雨の高砂通りを歩く。

前を通るたびに気になる自転車屋。ゴミ屋敷のようである。 しかし、昨日「想雲堂」で買った雑誌『松本と本』にはここが「岡田自転車博物館」として紹介されていた。

確かに入り口に近づいて見ると(本当は離れた場所からズームレンズで撮ったのだが)、「岡田自転車博物館」というプレートがある。しかも雑誌の記事によると、店主の岡田さんは昭和の時代を昨日のことのように生き生きと話してくれる語り部のような方らしい。ふ~む、人は(店は)見かけによらぬものである。

高砂通りの外れにある「源智のそば」。

ここで昼食にしよう。

蕎麦は冷たいのが好きと一昨日のブログに書いたばかりだが、時雨の降る寒い日は話が別である。 

月見そばと桜えびのかき揚げを注文。

いや~、美味しかった。温かいそばもよいものである。

店を出ると、雨は上がり、青空がのぞいていた。 

 「栞日」へ行く。本当は昨日も来たかったのだが、ブックカフェは滞在時間が長くなるので、昨日のカフェ(+食堂)めぐりのスケジュールに組み込むことが難しかったのである(「ガルガ」と「想雲堂」は月曜が休みなので、昨日しかいけなかったのだ)。

 店内に入って、ホットジンジャーを注文して、とりあえず入口のすぐよこの窓際のカウンター席に座り、ブログの更新をする。店主の菊地さんが「一階とはお珍しいですね」と声をかけてきた。お気に入りは二階の窓際の机なのだが、二階は私のノートパソコンだとお店のWi-Fiの電波を受信しにくいので、ブログの更新作業をしてから、二階に移動するつもりである。

 作業を終えて、二階へ移動。 

 床にこんなマークがしてある。ここに立って店内の写真を撮るといい感じですよという意味らしい。

 なるほど、雑誌で「栞日」が紹介されるときの店内風景はこの位置から撮った写真が多い。

 私のお気に入りの席は窓際のスタンドのある机だ。このところそこに先客がいることが続いていたが、今日は二階に先客はいなかった。

  自分で下から運んできたホットジンジャーのカップを机の上に置く。このすり減った天板の感じが好きなのだ。

 「KINFOLK」というタイトルの雑誌が面白かった。特集は「トウキョウ」。今回はこれを買って帰ろう。

 ギャラリー室で松岡一哲の写真展をやっていた。

彼の名前には見覚えがあった。9月に「栞日」に来たときに購入した写真雑誌「pegasus」創刊号は松岡が古川琴音を撮った写真集であった。

  

今回の写真展は「マリー」というタイトルが付いているが、マリーという女性(松岡の妻)だけではなく、その周辺の人物や風景もレンズに収めている。

 あえて「ぼかし」を使って、やわらかなタッチの色彩あふれる作品が並んでいる。

 さて、失礼するとしよう。次回はもっと長い時間滞在させていただきますね。

 女鳥羽川沿いの道を歩く。

家への土産はいつもここ「シェ・モモ」のコンフィチュールと決めている。お隣の和菓子の「宝来屋」は「12月頃までお休みします」と張り紙が出ていた。

さてどれを買っていこうかな。 

3、4種類の味見をさせていただいて(いつもそうさせていただく)、3種類のコンフィチュールを購入した。

さて、この後は、松本最後のカフェになる。

今回の信州旅行最後のカフェは「チーアン」である。午後6時40分発のあずさ号で東京に帰るので、閉店の午後6時まで「チーアン」に滞在し、ホテル(「チーアン」と松本駅の間にある)に寄って、預かってもらっている荷物(キャリーバッグ)を受け取り、ロビーで荷物の詰め替えをしてヵら、松本駅まで向かうという段取りである。 

 午後5時、閉店1時間前だが、昨日とは違って、店内に客はいなかった。私が本日最後の客かもしれない。

カウンター席に座って、カステラ(「チーアン」の看板スイーツ?)と紅茶はチーアンブレンドを注文。やっぱり最後はこれでしょ。 

ご主人夫妻とおしゃべりをしているところへ、女性客が一人入ってきた。私は「最後から二番目の客」になった。彼女はご主人夫妻とは顔見知りの方のようで、最初、私がカウンター席にいるので、テーブル席に座ろうとしたが、ご主人夫妻にうながされてカウンター席に座った。安曇野にお住まいで、羊毛から毛糸を紡ぐ作家さん(職人さん?)のようである。カカウンターに置いてある羊の人形は、彼女が紡いだ毛糸を使って彼女のご主人が製作したものだそうだ。以前、「栞日」の旧館(長期滞在者のための宿として使われている)に1ヶ月滞在し、毛糸を紡いで展示するということをされていたとき、「チーアン」さんを訪れて、ご主人夫妻と親しくなられたそうである。彼女のお名前(というか、彼女が作る毛糸のブランド名)は「ぼっか」という。「牧歌」から取ったそうである。ネットで「ぼっか 毛糸」と検索すると彼女の作品(毛糸玉)をみることができる。彼女のお人柄もその作品と同じようにやわらかでビュアな方である。私もおしゃべりの仲間に入れてもらって楽しい時間を過ごすことができた。 

そして気づくと午後6時10分になっていた。い、いけない。電車の時刻が迫っている。あわてて失礼する。「よいお年を、ですね」と奥様が言う。そうですね、次回は春先になります。「よいお年を!」 

ホテルで荷物を受け取り(カウンターにチェックインの列ができていたらやばかったが、大丈夫だった)、松本駅は向かう。あずさ号の出発までもう10分を切っていた。

実施はあずさ号に接続するはずの篠ノ井線の電車が遅れて、それを待って、15分遅れの発車となった。 

アクシデントはまだ続き、先行する列車が線路上で鹿をはねてしまい、安全確認のために、しばらく停車し、松本駅での発車の遅れと合わせて1時間の遅れになった。

新宿まであと1時間というあたりで、松本駅で買った駅弁を食べる。サラダは新鮮で美味しかったが、面積の3分の1を占めるというのはいかがなものかという思いがないわけではない。 

1時間遅れの午後10時過ぎに新宿に到着。 

11時、帰宅。

車中での3時間半は少々疲れた。ゆっくりと風呂に入り、今回の旅を振り返りつつ日記を書き、2時半に就寝。 


11月10日(日) 晴れ(信州旅行2日目:後半)

2019-11-12 15:35:15 | Weblog

(承前)

 中通りに来る。

 「グレイン・ノート」は陶芸と木工の店だが、松本に来たときは必ず顔を出すことにしている。

 陶器を購入することが多いが、特に高橋一光という方の作るコーヒーカップやテッーカップ、ティーポットや湯飲みなどをよく購入している。

 ところが今回は高橋さんの作品の数が少ない。私が彼の作品のファンであることをご存じの店主さんが理由を説明してくれた。なんでも高橋さんは怪我をされたとかで、いま作品作りが出来ないのだそうだ。あらま。作品が入ってくるのは春頃になるのではないかとのこと。

 今回は知人の結婚のお祝いにコーヒーカップを購入しようと思っていたのだが、お目当てのものがなかった。ミルクピッチャーはいい感じのものがあったが、たぶんコーヒーはブラックで飲まれると思うので、差し上げる意味がない。今回は見送りだ。

 ホテルにチェックインするために向かう(荷物だけは町歩きを始める前に預けてある)。ホテルの手前にポール・スミスの店があって、ショーウィンドウに素敵なセーターが出ていた。でも、コーヒーカップを買わなかったお金で買える金額のものでないことは、店内に入って尋ねるまでもない。写真だけ撮って通りすぎる。

 ホテルにチェックイン。預けてあった荷物は部屋に運んでくれていた。

 ちょっと一服して、再び街に出る。「パルコ」の前にはクリスマスツリーが飾られている。

 「チーアン」(chiiann)へ顔を出す。いつもであれば松本に来たときは最初にここに来てランチをたべるのであるが、今日は「山山食堂」(明日が定休日)でランチを取ったのと、「ユキ・リ」が午後4時閉店なので、先にそちらを回ってからの訪問となった。

 テーブル席は全て埋っていたので、カウンター席に座る。目の前のご主人に小声で「夕方にしてはずいぶんとお客さんがいますね」と言うと、「たまにはこんなこともないとね」と苦笑された。

パンとスープを注文する。奥様が「パンの焦げ色がいい感じです」と写真を撮ろうとしている私に言った。

 リースの展示会を近々(11月22日~12月4日)されるそうである、そのDMを写真に撮る。ブログで宣伝しておきますね。

 「ついでにこちらもお願いします」と渡されたDM。「ユキ・リ」の向かいにあるゲストハウス「タビシロ」(tabi-shiro)で11月27日(19時から)開かれる「映画と旅城」というタイトルのトークイベントだ。映画好き(度を超えて)の「チーアン」のご主人が出演されるそうである。

 番宣ですから顔出しでお願いしますね(笑)。

 奥様が来年のカレンダーを持ってきて、12月のページを開いて、右端のドーナツを小指で示された。「この犬、ウチの子なんです」。知り合いの作家さんが描いたものだそうだ。「名前は?」「ふく、です」。これも一種の番宣(あるいは親ばか)ではないかと思うが、相変わらす奥様は顔出しNGである。

 「チーアン」には閉店の午後6時近くまで滞在した。奥様の手に見送られて店を出た。

「ガルガ」(gargas)へ行く。市民芸術館の裏手にある蔵を使ったギャラリー・カフェだ。一階がカフェとショップ、二階がギャラリー。ギャラリーの展示は月替わり。

リンゴジュースを注文すると、「ホットになさいますか?」と奥様に聞かれた。ホット?メニューをよく見ると「リンゴジュース(HOT/ICE)」とある。 私はリンゴジュースをホットで飲んだことはない。「ホットで飲むと酸味が増すんです」と奥様が言った。では、ホットで。飲んでみると、なるほど、という味わい。子どもの頃、カルピスを初めてホットで飲んだ時のような小さな驚きがあった。 

 リンゴジュースを飲み終えて、2階のギャラリーへ。「青木郁美の陶展」だ。 

ここでの個展は初めてとのことだが、私にはこのコーヒーカップは見覚えがある。「ユキ・リ」で使われているものと同じではなかろうか。

 下の写真は9月8日に「ユキ・リ」で撮ったもの。カップの持ち手が耳の形をしているところが同じだ。

その持ち手が耳の形をしたカップと、上段の八角形のカップを購入することにした。

チキンカレー(小)を食べてから店を出る。

本日最後のカフェは「想雲堂」。老舗のホテル「花月」の向かいにあって、夜11時ごろまでやっている。夕方に閉まるカフェが多い中、異色の存在である。 

ここの特徴は遅くまでやっていること(だけ)ではなく、古本屋を兼ねていることである。

三方の壁が書棚になっていて、ぎっしりと本が詰まっている。

本はきちんとジャンル別に分類されて、しかるべき棚に並んでいる。美しい光景である。

掛け時計の下の奥の二人用の丸テーブルが私の好き場所だが、今日はそこに先客がいたので(店内の写真は後から撮ったもの)、カウンター席に座った。

 レモンスカッシュを飲みながら、購入する本を決める。

 ロラン・バルト『小さな歴史』(青土社)。

 谷川俊太郎『うつむく青年 詩集』(サンリオ)。

 デヴィット・L・ユーリン『それでも、読書をやめない理由』(柏書房)。

そして雑誌を一冊。 『松本の本』創刊号(まつもと一箱古本市実行委員会)。実はこの雑誌を購入することが今日ここに来た一番の目的である。「想雲堂」のご主人が編集人となって松本市内の本屋やブックカフェを中心とした松本という街についての雑誌である。

店主の渡辺さん。先客がみな帰った後で、あれこれお話を聞かせていただけた。6年前に「想雲堂」を始める前は地元の広告代理店でサラリーマンをされていたそうだ。「広告代理店といっても電通みたいな大手ではありません。そうだったら脱サラはしていないと思います(笑)」。店内の本は人文系のものが大部分を占める。とくにご専門の日本史や民俗学の分野の本はかなり専門性の高い本が並んでいる。

私が「松本の古本屋さんには北杜夫の本がたくさんそろっていますね」と言うと、「うちにもありますよ」と言って、北杜夫の全集(全15巻)の中から一冊( 『月と10セント』だったかしら)を抜き取って、「これは北杜夫が望月先生という方に献本したものです」と示された。おぉ、「望月先生」と言えば、『どくとるマンボウ青春期』の中に登場する旧制松本高校のドイツ語の教授である(トーマス・マンの『魔の山』やリルケの『マルテの手記』の訳者としてたんなる語学の先生以上の何者かとして学生から一目置かれる存在だったと書かれていた)。私がそう言うと、渡辺さんは満足気に「そうです」と言った。「ご遺族が遺品整理で売却されたものですね」「そうだと思います」

渡辺さんは、当初、賃料を払ってこの店を始めたが、3年ほど前に購入したそうである。ローンを抱えることにはなるが、賃料をいつまで払っても自分のものにならないわけでで、それならいっそ購入しまおうと思ったそうである。開店して6年というとちょうど「栞日」と同じくらいで、「栞日」の店主の菊地さんとはタイプは違うが、こういう方の存在は頼もしい。

私は下戸なので夜の松本の街に繰り出すということがないのですが、「想雲堂」は例外で、次回もまた夜に訪問させていだたこうと思います。今日はいろいろお話が出来て楽しかったです。

 ホテルに戻り、『グランメゾン東京』をリアルタイムで観る。

ホテルの近所のコンビニで買ってきたおにぎり、うにせん、ストロベリーチョコレートを食べながら観る。

 風呂を浴び、今日撮った写真の整理などをしてから、1時ごろ、就寝。


11月10日(日) 晴れ 前半(信州旅行2日目:前半)

2019-11-11 13:13:54 | Weblog

7時、起床。

農村の朝は早い。隣の畑では焚火がされている。

昨夜、共同温泉の帰りに寄ったコンビニで購入したパン(フレンチトースト)と牛乳、そして紅茶の朝食。 

 8時半に「和楽亭」を出て、茅野駅へ。

茅野市にある国宝、通称「仮面の女神」(縄文時代の土偶)。もう一つ「仮面のビーナス」というものある。

これがそれ。国宝が駅前広場に置かれているというのもすごい(嘘です。これはレプリカ。実物はもっと小さく、20センチほど。茅野市尖石縄文考古館にある)。

Kとはここでお別れ。お世話になりました。次回は正月に我が家で会いましょう。 

8時49分の松本行き普通電車に乗る。この後に来る特急あずさ1号(9時8分)よりも松本には先に着く。 

松本に到着。 

駅には「祝国宝指定 旧開智学校校舎」の横断幕が。旧開智学校は(駅の方から見て)松本城の裏手の方にあって、二度ほど行ったことがある。そうか、あれが国宝に指定されたのか。明治以降の建物で国宝というのは珍しい。他には旧富岡製紙場、旧東宮御所だけだ。 

 街歩きを始める前にとりあえず信毎メディアガーデンへ行く。

ここはフリーWi-Fiが使えるので、昨日のブログを書いてアップする。 

さて、街歩き開始だ。最初に四柱(よはしら)神社を参拝する。 

七五三のお祝いの家族連れが多い。 

「またやって参りました」と挨拶する。 

女鳥羽川沿いの道を歩いていく。 

先日の台風ではかなり水位が上がったそうだが、氾濫するまでには至らなかったそうだ。

「栞日」分室。二階がギャラリーで、一階は食堂。

食堂の名前は「山山(さんさん)食堂」。

5月に分室を訪れたときは食堂の方はまだ工事中で、「7月に来ますね」と店主の高橋さんと言葉を交わしたのだが、私が体調を崩して(帯状疱疹)で7月の旅行は取り止めになり、9月に来たときは「山山食堂」の定休日だった。 

ようやくお約束を果たすことができました。

5月の段階では、まだ定食のメニューは模索中だったが、サバの味噌煮定食やアジフライ定食なんかいいですね、という話をしたのだった。

定食メニューは3種、サバの味噌煮、ポークソテー、麻婆豆腐だ。「アジフライはメニューにできていないんです。メニューに載っていないですが、豚の角煮もできます」と高橋さんは言った。私はサバの味噌煮定食を注文した。

 料理を待つ間、二階のギャラリーを見物する。

「日常品」というのが分室のコンセプトだ。 

 分室を開設するにあたって「栞日」の店主の菊地さんがこんなことを書いていた(「栞日」のホームページの「NEWS」3月29日)。

僕たちの考える「日用品」には、日常生活にアクセントや句読点を刻んでくれる、例えばオブジェの類いも含まれるので、「ん?これ日用品?」と戸惑う内容も、ときにあるかもしれません。必ずしも、一般に「生活に役立つ」とされている機能的な道具や工芸品だけを対象とするわけではありません。プロダクトも、アートワークも、視野に入れていきます。でもほら、屋根裏部屋って、どこか秘密基地みたいで、実験的な企てを起こすには、おあつらえむきの場所でしょう。」

 たしかに、ここは、「もう一つの別の日常」ですね。  

立て掛けられていた姿見を使ってセルフポートレイトを撮る。 

そろそろ料理ができるころだ。

「もう一つの別の日常」から階段を下りて日常へ戻る。 

サバ味噌煮定食。 

サバの味噌煮本体も美味しかったが、添えられていた野菜や果物(柿)や漬物の充実ぶりが素晴らしい。店主の高橋さんの風貌から山賊料理のようなものを予想していたが、とんでもない、こだわりの料理人である。

 ごちそうさまでした。また、伺わせていただきますね。

 食後のスイーツは「ユキ・リ」で食べることにしよう。「栞日」分室はお城の東側、「ユキ・リ」は西側にあるので、途中で松本城公園を抜ける。

国宝「松本城」。これは国宝らしい国宝である。 

みんな記念写真を撮っている。この老人たちのグループは、グループの誰かが写真を撮るのではなく、目の前を通り過ぎる若い女性に声を掛けて、カメラのシャッターを押してもらっていた。かつてはこのやり方が主流だった。

この一枚はスマホのカメラで撮ったもの。デジカメよりも色が鮮やかだ(実物はデジカメの写真の方に会い)。 

「ユキ・リ」に到着。   

私が店に入ったときは中央の大きなテーブル(私はたいていここに壁を背にして座る)にも、奥のソファーにも先客がいた。

それで初めてカウンター席に座ることになった。店主さんとの距離が近い。

 

干し柿とくるみのパウンドケーキとコーヒーを注文。

秋のスイーツというと栗か柿であるが、栗はそのままではそんなに甘くないのに対し、柿はそれ自体で十分に甘味がある。

熟成させている途中の洋梨を間にはさんで店主さんとあれこれの話題でおしゃべりをした。

今日はスイーツでしたが、明日は朝ごはんを食べに来ますね。

(「後半」に続く)


11月9日(土) 晴れ (信州旅行1日目)

2019-11-10 12:22:56 | Weblog

7時45分、起床。新宿10時発のあずさ号に乗るためには8時前に起きなくてはならない。

トースト、サラダ、牛乳、紅茶の朝食。

9時前に家を出る。京浜東北線はよく遅延するので、品川(山の手線に乗り換え)に着くまでは油断ができない。あずさ号には10分前に乗車。

今回の信州旅行は、友人Kの茅野の別荘に一泊、松本に一泊の二泊三日の予定である。茅野までの2時間は、スマホで昨日のブログを書いたり、来週の日曜日の句会のための俳句を考えたり、昨日届いた原稿のゲラ(再校)に目と通したりしていると、あっという間である。車内のワゴンサービスからホットコーヒー(ポットから注いでくれる)のメニューがなくなっていた。あれがワゴンサービスで一番利用するものだったので、がっかりである。缶コーヒーならわざわざ車内で買うには及ばない。そのうちワゴンサービスそのものがなくなるのではないだろうか。

 茅野駅の改札を出ると、「新そばまつり」をやっていた。

今日一日限りの「まつり」のようである。 

迎えに来てくれたKの車に乗って市街地を抜けて八ヶ岳の山麓の方へ。

 私は車を運転しないし、運転したいという気持ちもないが、こういうドライブは好きである(助手席で)。

♪どこまでも行こう 道はきびしくとも 口笛を吹きながら 走って行こう~というブリジストンタイヤのCMソング『どこまでも行こう』(小林亜星作詞・作曲、1966年)を思い出す。私は小学校6年生だった。

林の中で車を降りる。 

蕎麦屋「香草庵」。茅野に来た時の昼食はいつもここだ。 いつもは待つのだが、今日はすんなり入れた。駅付近の「新そばまつり」にみんな行っているのかもしれない。

私がここで注文するのはいつもこれ。にしんそば(冷製)。温かいにしん蕎麦ももちろんあるが、私は蕎麦は冷たい方が好きである(うどんは温かいものに限る)。

Kはたいていもり蕎麦を注文する。単純に蕎麦を味を味わいたいのだろう。

木漏れ日の林の中を食後の散歩。 

  立冬を過ぎ、涼しさと寒さの中間くらいの気候である。ダウンコートを着て来た。

茅野には年2回、5月と11月頃に来るのが最近の習慣である。高原の本物の冬は知らない。

白樺と青空が似合う。 

ため池の向こうに八ヶ岳連峰が見える。 

大学生の頃、Kと赤岳に上ったことがある。私が登山を何度かしたのは学生時代だけだが、Kはその後も現在に至るまで登山を趣味としている。

Kによる自撮。

茅野では「香草庵」で昼食を食べて、2軒のカフェ、「グリーン・エッグ」と「魔法屋JIN」を梯子するのが定番コースだが、今日は「グリーン・エッグ」の店主さんが知り合いの結婚式で東京に行っているので、「魔法屋JIN」へ直行。

ご夫婦ふたりでやっているカフェである。2013年にオープンしたときから、Kが体調を崩して茅野に行かなかった年を除いて、毎年訪れている。信州の馴染みのカフェの1つである。 

私は蜂蜜とチーズのトースト、レモングラスのお茶(ポットで出していただいた)。Kはコーヒー(何とかいう特製のコーヒーだった)。 

蜂蜜がたっぷりかかっていて、零れ落ちないように注意して食べた。それでもお皿に零れ落ちた蜂蜜をパンで拭っていただく。実に美味しい(お茶と合う)。 

ポットを温める固形燃料の灯を見つめていると気分が落ち着く。 

奥様に写真を撮っていただく。今年で開店7年目だが、いつまでも開店当初の初々しさを失わない方である。今日もコーヒーの値段を間違えた(笑)。 また来ますね。

Kの別荘「和楽亭」に着く。縁側からの眺め。 

近所の「長圓寺」は紅葉の名所として知られている。 

週末ということで、たくさんの人が見物に来ている。 

午後の日差しを浴びて、池の畔の紅葉が美しい。 

池の向こう側にはたくさんの石仏たちが並んでいる。 

風雪の中でお顔がよくわからなくなった仏たちもいらっしゃる。 

池の反対側から見た紅葉。石仏たちの目にはこのように見えている。 

長圓寺を離れて、田圃の方へ。柿が熟している。 

 稲刈りを終えた田圃。 

整然とした苅田の模様が美しい。

トラクターで苅田を掘り起こしている。

畦道では薄の穂が西日を受けて輝いている。 

間もなく太陽が山の端に隠れようとしている。 

日没だ。

空がしだいに青味を帯びてくる。 

和楽亭に戻る前にもう一度石仏たちのところへ行く。

 冬浅き信濃の国の仏たち たかじ

Kの車で近所の温泉(共同浴場)へ。

 「玉宮温泉 望岳の湯」。

市営故、市民市民以外で料金が違う。私は600円。もし市民であれば、65歳以上なので300円となるところ。

湯を浴びてから、休憩室の食堂で夕食を注文する。

私はいつもソースカツ丼。

サイドメニューでモツ煮込み。 

Kはかき揚げうどん。 

7時過ぎに共同浴場出て、和楽亭に戻る途中で、コンビニに寄って明日の朝食を購入。 

 和楽亭に戻ってから、私はもう一度長圓寺に出かける。

午後8時まで紅葉がライトアップされているのだ。 

闇の中に浮かび上がる紅葉が赤いクラゲのように見える。

こちらは赤い恐竜の化石のように見える。

一つ一つの石仏の前に明かりが灯されている。 

早寝の習慣のKは10時半に就寝(これでも私に付き合っていつもより30分遅い)。遅寝の習慣の私はもちろんこの時間ではまだ眠れない。今日撮った写真の整理などをして、それでも12時前に就寝した。健全な生活だ。