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温泉逍遥

思いつきで巡った各地の温泉(主に日帰り温泉)を写真と共に紹介します。取り上げるのは原則的に源泉掛け流しの温泉です。

東埔温泉 沙里仙温泉渡仮村

2013年04月06日 | 台湾
 
前回記事で書き綴ったように、険しい道を辿っていったにもかかわらず野湯「楽楽谷温泉」を見つけられず、骨折り損で体力を浪費してしまい、落胆しながらお昼前に東埔温泉へ戻ってきたのですが、このまま引き下がるのは悔しいので、今回ご同行願ったWさんがおすすめする露天風呂で山歩きの汗と疲れを癒すことにしました。その露天風呂を擁する施設は「沙里仙温泉渡仮村」です。当記事では東埔温泉にカテゴライズしましたが、実際には温泉街からブヌン族の集落を抜けた3キロ先に1軒だけポツンと位置していますので、厳密には東埔温泉と別個に扱ったほうが良いかもしれません。


 
東埔温泉は狭い温泉街に鉄筋コンクリ造の鄙びた旅館がひしめきあっており、その窮屈な環境や閑古鳥が啼く斜陽な雰囲気のおかげであまりノビノビできませんが、自然豊かで広々とした場所に拓かれたこちらの施設は、小洒落た木造の建物で、まだ開業して数年しか経っていないこともあって、明るく綺麗で気持ちよく利用できました。受付で支払う200元と引き換えにフェイスタオルを受け取り、館内表示に従って入浴ゾーンへと進みます。
入浴ゾーンの手前左側に並んでいるのはシャワー兼更衣の個室。お風呂は男女共用ですから、こちらで水着に着替えます。



大きな鏡やドライヤーも完備されているので、湯上りに身だしなみを整えるのも問題なし。水着用の脱水機もありますよ。


 
緑とお花に囲まれたガーデンの中に浴槽が配置されており、お手入れも行き届いているので、綺麗で快適です。温浴槽は4つあって、いずれも岩風呂のような造りです。台湾の強い日差しを遮るためか、頭上には黒いネットが張られていました。


 
4つある浴槽のうち、高い位置に据えられているこの丸い浴槽と隣の四角い浴槽が最も湯温が熱く、日本人好みの42~43℃の湯加減が維持されており、槽内に伸びているホースから源泉が投入されていました。お湯は無色澄明。分析表は見当たらなかったのですが体感的には重曹泉型の単純泉(あるいはアルカリ性単純泉)と推測され、無臭ながら口に含むと重曹らしい味が感じられ、また爽快なツルスベ浴感が楽しめました。しっかり掛け流されており、お湯の鮮度も良好です。



水風呂も完備。地下100mから汲み上げた清らかな地下水が落とされています。温浴槽で軽く体を火照らせてからこの水風呂へダイブすると、めちゃくちゃ気持ち良いですよ。



皆さんで利用する露天風呂のほか、奥の方には貸切で使う個室風呂もあるのですが、鍵が閉まっていたので見学できませんでした。



河岸の段丘に位置しているので眺めが素晴らしく、開放感も抜群。風が梢を揺する音や、上空を飛び交う小鳥の囀りが心地良いBGMとなっていました。お風呂の周りにはツツジやカエデなどが植えられており、季節に応じた美しさが露天風呂を彩ってくれています。この日はコーヒーが可愛らしい花を咲かせていました。
良質なお湯と開放的な雰囲気のおかげで、骨折りに終わった野湯探索の疲れもすっかり癒されました。東埔での温泉入浴をお考えでしたら、ちょっと足を伸ばしてこちらを訪れてみるのも良いかと思います。


温泉分析表見当たらず

東埔温泉から徒歩40分(約3km)
東埔温泉へは台鉄・集集線の水里駅から員林客運バスでアクセス可。
南投県信義郷開高巷136-2  地図
+886 4 9270 1289
ホームページ

営業時間不明
入浴200元
ドライヤー・シャンプー類あり
水着着用

私の好み:★★★
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台湾 野湯探索敗北記・その1 楽楽谷温泉

2013年04月05日 | 台湾
今回から約20回以上連続の長丁場で台湾の温泉などを取り上げてまいります。宜しくお付き合いのほどを。
初回はいきなり、野湯を探索しに行ったけれども結果的に見つけられず敢え無く撤退した涙の記録を、恥ずかしながら披露させていただきます。もしこの記事をご覧になって好奇心を抱き、現地へ行ってみたくなった酔狂な方がいらっしゃったら、私に代わって是非雪辱を果たしていただきたく切に願っております。

今回到達に至らなかったその野湯とは、南投県の東埔温泉から台湾の最高峰である玉山(3,952m)方向へ入っていった渓流沿いに存在するという楽楽渓温泉です。台湾の野湯(台湾では野溪温泉と称します)ファンが実際に訪れた際のブログがネット上で見られたので、それを参考にして台湾在住のWさんに相談の上、行って見ることにしたのです。なお今回参考にしたブログのうち代表的なものは以下のものです。
http://www.twem.idv.tw/2/a66.htm
http://blog.yam.com/c555555/article/59694395
(直リンクは避けておきます。いずれも繁体字中文です)

※拙ブログではいつも敬体で文章を著していますが、今回は常体文とさせていただきます。

 
【8:40 東埔温泉】
2013年3月某日、台湾に到着した日の翌朝、Wさんの車に乗って南投県南部の東埔温泉に到着。辺りは台湾原住民のひとつである布農(ブヌン)族が多く暮らしており、コンクリ擁壁には伝統衣装を描いたタイル絵が貼られていた。



 
【8:50 八通関越嶺道のスタート地点  (地図)
東埔温泉のはずれから「八通関越嶺道」という登山道に入る。この道は日本統治時代に台湾総督府が理蕃政策をすすめるために切り拓いたもので、1919年に着工、1921年に完成した。スタート地点にはそのことを示す記念碑がある。


 
同じくスタート地点には登山道の案内図や道路開通状況が掲示されている。これから進む道(東埔至雲龍瀑布)に対しては特に注意喚起は無かった。


 
【9:05 愛玉小站】
階段を上がって「愛玉小站」という名のお茶屋さんを通過。お店のお祖母ちゃんに楽楽谷温泉について尋ねると、はじめは「没有(そんなもん無い)」と答えたので耳を疑ったが、よく聞けば「入浴施設のようなものは無いから自分でよく探せ」という意味だったようだ。


 
ひたすら急な登りの連続だが眺望は素晴らしい。東埔温泉の全景も眺められた。



途中から農道と合流。この画像の辺りまでは農耕用の軽トラが入れるが、この先は車両通行不可。



車が通れなくなった箇所から先の方を眺めると、断崖絶壁に一筋の道がしがみついていた。今からあそこを進むのか!


 
足元の悪いガレ場を登り、更には落石で欄干がボコボコになっている橋を渡る。橋が連続する辺りから勾配は緩やかになり、等高線上をほぼトラバースするような感じになった。



繰り返すが、道からの展望は素晴らしい。この眺めを楽しむためだけにここへ登っても決して無駄ではないだろう。


 
【9:20 父子断崖 (地図)
この断崖絶壁は父子断崖を名付けられているそうで、説明プレートによれば、落石や崩落が非常に多い場所であるため、父と子が一緒に通過しようとしてもそうした事故によって親子が二度と会えなくなってしまうほど険しく危険である、という意味でこの名前になったらしい。北陸の親不知みたいなものだろう。説明プレートに付記されていた英語表記"Father and son Cliff"という、あまりに直訳すぎる表現には思わず笑ってしまった。


 
【9:40 楽楽谷への分岐】
道はやがて落葉樹に入ってゆく。クワガタが好みそうなこの環境を目にして、昆虫好きのW氏は興奮していた。父子断崖から約20分で上画像の道標が現れた。ここは右へ分かれる杣道へ進む。


 
道の入口には、この先は滑りやすく危険なので通行禁止、という旨の警告が掲示されているが、ここは自己責任で先へと進む。スズメバチにも要注意。実際に数匹のスズメバチがこの辺りで哨戒飛行をしていた。


 
誇張表現ではなく本当に滑りやすく危ない急坂。細い道を踏み外したら崖の下へ大きく滑落すること必至だろう。坂道の前半は落ち葉が、中盤以降は竹の根っこが足元を頻りに掬う。一歩一歩慎重に、けれども勾配に負けて転げるように下ってゆく。下れば下るほど、帰路に同じ道を登らねばならないのかと思うと、どんどん憂鬱になってゆく。



【10:05 川原へ下りきる】
下れども下れどもなかなか先は見えず、いつになったら到達できるのかと不安を抱き、何度も滑りかけて肝を冷やしながら、やっとのことで川原へ下りきった。ここからは川原を歩いて川の上流を目指す。


 
大きな岩がゴロゴロしている渓谷「楽楽谷」の底。楽楽とは楽しいという意味ではなく、岩がゴロゴロと音を立てて転がる様を表した、原住民の言葉の擬態語に由来しているらしい。川原には錆びきったワイヤーや建物の基礎らしきコンクリの塊が転がっていた。ここにかつて人工物があったことを示しているのだろう。



【10:15 渡渉その1】
岩の上を飛んで沢を越える。



【10:20 渡渉その2】
ここから上流側の本流左岸は断崖なので歩くことができず、岩の上をジャンプして右岸へ渡って更に奥へと向かう。



【10:30 断念 (地図)
ここから先は、左岸右岸両方の岩が切り立っており、ちゃんとした沢登りの装備がないと先へ進めない状態になっていた。あいにくこの時の私は単純なトレッキングの装い。まさかこれほど険しいとは想像しておらず、しかも空模様も怪しくなってきたので、この先に温泉が湯煙を上げているのはわかっていながら、泣く泣く断念して撤退することにした。汗だくになって息を切らせながら、急な坂を這いつくばるようにして登って帰路についたことは言うまでもない。

楽楽谷という名前に反してちっとも楽ではなかったが、今回は父子断崖からの絶景を楽しめただけでも佳しとしよう。こんな過酷な山歩きと骨折り損にお付き合い下さったWさんには心から感謝申し上げます。

コメント (2)
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鉄輪温泉 双葉荘

2013年04月03日 | 大分県

別府での湯めぐりでは鉄輪の「双葉荘」でお世話になっていました。鉄輪ではおなじみの貸間湯治宿のひとつであり、温泉街のはずれにある地獄原バス停すぐ目の前なので、アクセスの利便性も頗る良好。入口は2つあり、地獄原バス停側が正面玄関、鉄輪の中心部側は裏口なのですが、そそっかしい私はそのことに気づかずに裏口から入ってしまい、何度声を掛けても応答が無かったので、てっきりどなたもいらっしゃらないのかと勘違いして、携帯電話で女将さんを裏口まで呼び出してしまいました。



裏口の路地ではニャンコがのんびりお昼寝中。
普段は空気も読まずに勝手気ままにほっつき歩き、お腹が空いた時や寂しくなった時だけ「ニャー」と声をあげる猫の行動スタイルって、自分の性格と重なるところがあるように思えてなりません。


 
今回通されたお部屋は正面玄関真上の2階の一室。窓から遠くを眺めると別府湾がちょこっと覗けました。室内にはエアコンもテレビも備え付けられていますが、いずれも有料ですので、テレビに関しては自分のスマホのワンセグを使いました。押入れの中には炊事道具が揃えられています。



自炊するためのキッチン。自炊宿では客室と並んで毎朝毎夕お世話になる重要な設備ですね。


 

敷地の中央で勢い良く噴き出している地獄蒸しの噴気はもの凄く、その塔に付着した夥しい析出にも圧倒されます。釜の上には素材別の蒸し時間の目安が案内されていますから、これを参考にいろんな食材をどんどん蒸しちゃいましょう。とっても熱いので火傷に注意。釜の近くには耐熱の手袋が用意されていますから、使用時はできるだけ手袋を装着しましょうね。なお徒歩5分くらいのところにスーパーマーケットがありますし、宿の裏手には地獄蒸しセットを売っている八百屋さんもありますから、食材の調達には全然苦労しませんでした(少量で買えないお米などは持参しましたが)。



僭越ながら私の地獄蒸し料理をちょっとご紹介。上の写真は某日の夕食でして、部屋に用意されていた羽釜で炊いたご飯(持参した新米の宮城県産ひとめぼれ)、地元で揚がった天然もののブリ、豆もやし、じゃがいも、そして(蒸してはいませんが)太刀魚の刺身です。地熱で炊いたお米はツヤツヤで本当に美味しかった!
そういえば、他のお客さんはジャガイモにトマトピューレをかけてチーズを載せた、とってもイタリアンな料理を地獄蒸しでつくっていらっしゃいましたよ。蒸す手順に慣れてくるに従い創作意欲が湧いてきますね。



こちらは朝食。ウインナー 肉まん、そして茹で卵。いずれも数分で蒸し上がるので、この程度だったら寝ぼけ眼でつくっても全然だいじょうぶ。



●混浴風呂

双葉荘では、混浴と男女別内湯の2種類のお風呂が利用可能。まずは混浴の方から入ってみました。
混浴とはいえ実質的には貸切での利用となっており、浴室使用時には入口の戸を締めて、使い終わったら戸を開ける。その開閉状態により使用中か否かを示すのがこちらのお宿の暗黙の了解となっているんだそうです。


 
半地下のような空間に小さな浴槽がポツネンと据えられており、その上を屋根が覆っているのですが、外の風が入り込んでくるので半露天のような感じです。崖を蔓が這い、葉の下ではコオロギが啼いていました。
浴槽上に祀られた薬師如来に見守られながら入浴するのですが、仏様の他にもいろんな人形が並んでおり、恐山などの霊場のような一種独特の雰囲気に包まれていました。夜に入ると人形の目がこちらを凝視しているように思われ、ちょっと不気味だったりして…。

浴槽は2人サイズのかわいらしいもので、シャワーなどはありません。それどころか、仏様のお風呂であるため、石鹸などは使用禁止なんだそうです。源泉の温度が100℃近くあるため、湯音調整のため投入量が絞られてチョロチョロ程度にしか注がれていません。、お客さんが立て込んでいる場合にはお湯がちょっと鈍ってしまいそうですが、こちらは立ち寄り入浴を受け入れてないので、極端に汚れるようなことはないでしょうね。


 
湯口周りにはトゲトゲの白い析出が現れています。桶が被せられた床の一部からも蒸気が上がっていました。無色透明ではっきりとした塩味を有し、ほぼ無臭ですがほんのりと噴気孔の火山ガス的な微弱な刺激臭を含んでいるようにも思われました。



宿泊中は朝晩入らせていただきましたが、その都度仏様に合掌。


●男女別浴室
 
男女別浴室は混浴浴室の奥に位置しており、混浴浴室を通り抜けるか、あるいはツッカケに履き替えてその脇の廊下を歩いてゆきます。


 
あたかも共同浴場のような佇まいで、脱衣室と浴室が一体となっているレイアウト。混浴と比べれば新しいのですが、とはいえこちらも相当年季が入っています。女湯との仕切りは曇りガラスであるため、仕切りの向こう側が透けて見えるのがちょっとエロいんですよ。
タイル貼りの浴槽は2人入ればいっぱいになっちゃいそうな大きさ。シャワーは無いので湯船から桶でお湯を汲んで掛け湯します。上述のように混浴の方は仏様のお風呂ですから石鹸は使用禁止でしたが、こちらは実用本位の浴室ですから、シャンプーも髭剃りもOKです。


 
湯口には白い析出がコンモリ付着しています。混浴のお湯と同様に無色透明でトロトロとした感触とスベスベした浴感が印象的なのですが、塩味はこちらの方がよりハッキリしているように感じられました。

源泉の温度が激熱なので投入量を絞って湯加減を調整していました。なるべく加水せずに湯温を加減するには熱湯の投入量を絞る他ないわけですが、何しろ沸騰に近い状態のお湯ですから、投入量の調整はかなり難しいようで、バルブをちょっとでも余計に開いちゃうと湯船は入れないほど熱くなってしまうのでしょうか、お湯のバルブを完全に締めてしまうお客さんもいらっしゃるようでして、湯口の上には「温泉を止めないで下さい あとから入る方がぬるくて風邪を引きます 皆様困っています」という注意書きが貼られていました。幸い私の宿泊中はいつも適温がキープされていましたので、湯口のバルブを特に触ることもなく済みました。

風情あるお風呂はもちろんのこと、地獄蒸しの料理って本当に面白いですね。お安く泊まれて別府らしい温泉情緒を存分に味わえるこちらのお宿はリピーターがとっても多いんだとか。今度から私もその一員に加わらせていただきます。


ナトリウム-塩化物温泉 94.8℃ pH5.0 溶存物質4.061g/kg 成分総計4.072g/kg
Na+:1024.0mg(84.87mval%), K+:178.3mg(8.69mval%),
Cl-:1753.0mg(87.12mval%), SO4--:334.4mg(12.26mval%),
H2SiO3:628.7mg, HBO2:70.7mg, CO2:11.0mg,
源泉温度が高いため加水

「地獄原」バス停すぐ
大分県別府市鉄輪147
0977-66-1590
ホームページ

1泊素泊まり3,500円
日帰り入浴不可

私の好み:★★★
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観海寺温泉 いちのいで会館

2013年04月02日 | 大分県
 
泣く子も黙る紺碧の温泉「いちのいで会館」。その神秘なる色彩に魅了されて、全国から温泉ファンがわざわざ足を運んでやってきます。かく言う私もその一人。
一の出橋を渡って雲泉寺泉源の前から伸びる一本道の急な坂道を登ります。腰がつらくなるほど急な登りですが、この先に美しい温泉が待っていると思えば、この程度の坂道なんて屁の河童だぜ。


 
やがて路傍に立つ源泉井が目に入り…


 
坂道のどん詰まりにある現地へたどり着きました。画像には記録していませんが、周辺の民家はみなさん自家用の温泉浴室をお持ちなんですね。あぁ、羨ましい。駐車場の片隅には地獄蒸しの蒸し器が設置されていました。
まずは2階に上がって受付を済ませます。拙ブログをご覧の方でしたら皆様ご存知かと思いますが、こちらは入浴のみの利用はできず、お食事と入浴がセットになっており、支払いを済ませてからはまず入浴し、その後にお食事をいただくという手順を踏みます。店員の方はこの手順を実に慣れた口調で説明をしてくださいました。湯上りにお食事をいただく座敷には貴重品用ロッカー(有料100円)が設置されているので、こちらへお財布類を預けてから、露天風呂用の出入口でツッカケに履き替えて屋外へと出ます。


 
お風呂は2つの露天と貸切の家族風呂があり、一般入浴客は2つの露天を利用することになるわけですが、その2つは男女が日替わりとなっており、私が訪問した偶数日は男湯が眺望の素晴らしい「景観の湯」になっていましたので、標識に従って分岐路を右へ向かいました。


 
簡素な更衣小屋で脱衣してお風呂へ出ると・・・
おお! 真っ青だ! 何て美しいコバルトブルーなんでしょう! プールのようなコンクリ造のデカイ槽に美しく青色に濁るお湯が湛えられていました。
しかも先客が誰もいないぞ! そうなのです。この日はいちのいでのお湯を独占できたのです。


 
この時は天気にも恵まれ、別府や大分の市街、国東半島、別府湾や豊後水道、更には対岸の四国まで一望できました。天高く突き出ている塔はコンベンション施設の「ビーコンプラザ」。


 
青い空に、青い海、そして碧いお湯。
温泉界のジャパン・ブルーとは、いちのいで会館のお湯を指していると断言しても、誰も異論は無いでしょう。


 
源泉投入口からはコンクリの擁壁に這わせる感じで激熱のお湯が注がれていますが、投入量が絞られている上に湯船の表面積が広いためか、いつまでも長湯できてしまうほどぬるめの湯加減でした。浴槽は胸下までの深さがありますので、足を滑らせて溺れないよう要注意。
お湯からは粉っぽい味と塩味が、そして噴気孔の火山ガス的な硫黄臭やタマゴ臭が感じ取れました。メタケイ酸が多いためか心地良いスベスベ浴感も得られますが、このメタケイ酸の多さが独特の美しい青色を生み出しているのでしょうね。



興奮のあまり、ついつい自己撮り。
いつまでも浸かっていたいなぁ。
1時間ほど頭を空っぽにしながら景色を眺めてお湯に浸かっていましたら、やがてグループ客がやっていましたので、これを良い機会にお風呂から上がって、お食事をいただくべくお座敷へと戻りました。



この日は「だんご汁定食」のみの受付でしたので、お座敷のお客さんは皆さん同じ物を口にしていました。座敷に戻って店員さんに一言告げますと、食事の準備をしてくれます。
お膳の右側に写っている大きなどんぶりは大分県の郷土料理であるだんご汁、その左にはおにぎり、そして両者に挟まれて配されているのは、今や大分県を代表するB級グルメとなった唐揚げであります。いずれも実に美味い。
お湯佳しお食事佳し。ブリリアント!


ナトリウム-塩化物温泉 100.0℃ pH8.3 動力揚湯 溶存物質3.303g/kg 成分総計3.303g/kg
Na+:880.5mg(82.38mval%), K+:130.5mg(7.18mval%), Ca++:70.0mg(7.51mval%),
Cl-:1493mg(85.49mval%), SO4--:248.9mg(10.52mval%), CO3--:40.5mg(2.74mval%),
H2SiO3:346.6mg, HBO2:45.2mg,

「雲泉寺橋」バス停より徒歩5分、もしくは「明豊キャンパス前」バス停より徒歩12分(1.0km)
大分県別府市上原町14-2
0977-21-4728

11:00~17:00(土日祝は10:00~)
入浴にはお食事の注文が必須。
「景観の湯」は奇数日は女湯、偶数日が男湯となります。

私の好み:★★★
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照湯温泉

2013年04月01日 | 大分県

明礬から鉄輪へ歩いて戻る途中の路地で「照湯温泉」の看板を見つけたので、それに導かれて路地へ入ってみることに。


 
付近の温泉櫓からは朦々と白い蒸気が空へ向かって上がっていました。櫓の下には丸い圧力タンクも設置されています。また、暗い画像でわかりにくく恐縮ですが、目指す浴場の手前の川原はちょっとした親水公園になっているようです。


 
ほほぉ、これが「照湯温泉」の湯屋ですね。妻面には般若面が飾られていました。魔除けなんでしょうか。あるいは、般若に湯とくればお酒の隠語だったりしますが、お酒と何か関係でもあるのかしら…。


 
浴場の前に伸びる緩やかな坂は「えんま坂」という名前なんだとか。閻魔様が険しい顔をしてこちらを睨みつけております。



こちらは浴場の玄関側。古いお風呂なんだそうですが、現在の建物は2003年に建て直されたんだとか。この時は夕刻だったので、中からは地元の方々の賑やかな話し声が聞こえてきました。
浴室は「殿様の湯」と「姫様の湯」に分かれており、前者は江戸時代からの石組みの古い浴槽が使われ続けてるんだそうですが、殿様だから男湯に固定されているわけではなく、両者は男女日替わりとなっていて、訪問日は「姫様の湯」が男湯になっていました。玄関入ってすぐのところに設けられている受付にておばちゃんに料金を支払い、湯屋左側の「姫様の湯」の戸を開けました。



比較的新しい建物ですが、伝統的な別府の共同浴場らしい様式を採用しており、即ち脱衣エリアと入浴エリアが一体化されています。脱衣エリアには洗面台が2台、そして扇風機が1台設置されており、使い勝手も良好です。ちなみにトイレの前にはベビーベッドみたいな台が設けられているのですが、決してベッドではなく、一体この台が何のために設置されているのか、一見の私には把握できませんでした。


 
この建物は木造なんでしょうか、浴室の床や腰高までの側面は石材が用いられているのですが、その他は全て木材であり、天井には太く立派な梁が渡されていました。木材のおかげで温もりが伝わる空間となっています。
新しい湯屋ですが伝統様式に則っているためか洗い場にカランは設けられておらず、その代わりに鏡が3枚貼られています。室内唯一(?)の水道蛇口には「飲用水」のプレートが貼り付けられているのですが、にもかかわらず蛇口の先には長いホースが接続されていました。
浴槽は正方形に近い形状であり、床や浴槽の底には四角く切り出された石材が敷かれています。壁から突き出ている樋から激熱のお湯や水が浴槽へ向かって流れており、湯船のお湯はほぼ無色透明ですが僅かに白く霞んでいるように見え、お湯の中をよく見ますと細かい白い湯の華が沢山浮遊していました。お湯からは砂消しゴムのような硫黄の匂いと味が、弱いながらも明瞭に感じられます。癖のないサラサラとした浴感です。
分析表を見てみますと溶存物質0.099g/kgとビックリするぐらいに薄いお湯なのですが、この数値やあっさりとした浴感、そして湯の花や硫黄感から推測しますに、おそらくこちらのお湯は湯屋の目の前で勢いよく湯気を上げていた源泉井で高温の蒸気に水を当てて造られる造成泉なのでしょう。こうした造成泉に対しては賛否両論がありますが、癖が無くて入浴しやすいのに意外と知覚がはっきりしているので、私個人としては結構好みのタイプの温泉です。次回訪問時には是非「殿様の湯」に入ってみたいものです。


照湯泉源
単純温泉 98.1℃ pH6.5 湧出量測定せず(自噴・掘削160m) 溶存物質0.099g/kg 成分総計0.113g/kg
Na+:14.7mg(64.65mval%), Ca++:3.5mg(18.18mval%), 
Cl-:16.0mg(42.86mval%), SO4--:10.0mg(20.00mval%), HCO3-:24.0mg(37.14mval%),
HBO2:25.9mg, CO2:14.1mg,
源泉温度が高いため加水

大分県別府市小倉5組-1  地図

9:00~21:00
200円
備品類なし

私の好み:★★
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