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風野真知雄著『水の城ーいまだ落城せず』

2023年06月13日 | 本と雑誌
 前回に続き風野真知雄の著作で、2000年の『水の城いまだ落城せず』。戦国末期、現在の埼玉県行田(ぎょうだ)市にあった「忍(おし)城」の籠城戦を描いた歴史小説。かなり、歴史的事実を丹念に取材した作品と感じた。こちらも、スピード感があり、一気に読み込ませる筆力がある。読者を引き込むのに巧みな人、と感じた。



 忍城の攻防戦を描いたものでは、和田竜による2007年の歴史小説『のぼうの城』が2012年に映画にもなり有名だ。が、小説の発行年は、『水の城いまだ落城せず』の方が先に出ていたことになる。歴史小説というジャンルで、それぞれの作品を読み比べ、歴史的な出来事を作家がどのように脚色し、あるいは想像して書き進めるのか、それを比較するのも面白い。

 余談だが、行田市と言えば「さきたま古墳群」で有名なところだ。丸墓山古墳は日本一の規模の円墳と言われており、鉄剣が発掘されて有名になった稲荷山古墳もある。かの石田三成が本陣を構えたのも古墳の丘だった、と伝えられている。「さきたま風土記の丘」として整備されているらしいので、いつか訪れてみたい。

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