今月の建築講座で訪れたのは大阪の津守下水処理場。
昭和9年に完成した施設は当時ニューヨークとシカゴについで世界第三位の規模であったそう。
なんとこの施設は吹き抜け2階建てのポンプ場の上に住居部分を備えているのだという。
アールのついた上階部分
エントランスの丸みを帯びた軒や上部分が太いアンバランスな円柱はドイツ表現主義のデザインなのだそう。
扉周りは少し黄色味を帯びた竜山石が用いられている。
そしてポンプ場の中へ。
2層吹き抜けになっているポンプ場は2階部分が入口になっていて、1階下りたところにポンプが設置されている。
重さのあるポンプなどの機械類を設置するために奥にはクレーンが据え付けられている。
天井を見ると、太い梁が短いピッチで入れられていて
機械の据え付けと、この階上には住居部分があるため、強固に造られているのだとか。
扉の取っ手も重厚感のあるデザイン
制御室も。
そして住居部分である3階へ。
階段室には大きな丸窓が
手すりのラインがきれいな階段
3階には事務所と14軒の家、そして共同便所と共同浴室があり、
廊下を挟んで向かい同士に家が並ぶという中廊下式といわれる配置になっている。
こちらは事務所跡。
廊下には明かり取りのためのトップライトが数カ所設けられていて、ガラスブロックから光が差し込む。
住居はそれぞれ、窓には格子が入り、防犯面やプライベートを配慮した形に。
田の字型の間取りに畳敷きだったという部屋が並ぶ
ちゃんと床の間もあって、(扉が置かれてる所)
透かし彫りの入った欄間やこんな障子の入った欄間もあり、外観から見た殺風景な感じはなく
住宅部分の建具は木材が使われ、ほっと落ち着く空間になっていた。
又、部屋と窓との間にスペースを設けることで外から見ると洋風だけれど、
中からは障子を閉めて和風の空間が造り出せるという工夫なども。
もちろん小さな台所などもあって、台所から勝手口を出ると、なんと家と家の間には路地が通っていて、
竹竿が通してあり、洗濯物を干せるスペースもあった。
こちらは共同便所。
便所の天井にもトップライトが。
そして共同風呂。もちろん男女別にある。
屋上へ上がると、廊下に取り付けられたトップライトが並んでいた。
ガラスはプリズムガラスといわれるものだそう。
便所、風呂のトップライトにはちゃんと換気グリルもついてある。
屋上にあったコンクリート壁の断面から、骨材には玉石が使われていて、強度が高いとのこと。
3階の住居は家族連れの者しか住むことができなかったというので、子供たちの遊び場だという
砂場跡や藤棚?跡のようなものも残されていた。
そして第二ポンプ場へ。
うぉ~、ここも圧巻・・
こちらも2層吹き抜けの空間になっているが、第一ポンプ場のように階上に住居があるわけではないので
屋根部分はコンクリートではなく鉄骨仕上げに。
しかし、ポンプ類の設置のためのクレーンは必須
こちらの柱の柱頭飾りにもドイツ表現主義が見られるという。
工場見学好きな私としてはこんなポンプ類も萌えるなあ
あ~いい景色・・
こちらの施設も数年後までには取り壊される予定だとかで・・
どなたかがビアホールに!とか言われてたけど、
ほんとに、内部の機械類をいくつか展示用においておいて、
できる限りそのままの状態でビアホール兼レストランとかになれば、
カッコよくて素敵なものになりそうなのになあ~もったいないなあ。