建築ツアーの続き・・
こちらはメインホール。
旧ホールは舞台が小さく、オペラやバレエなどの平らなスペースを広く必要とする舞台芸術に対応できなかったところ、
新ホールでは舞台のスペースを広げて改善されたそう。
その分、客席のスペースが減少。
外壁のしばりがあるため、奥行きのスペースは広げることはできなかったところ、
高さを出して、上に積み上げることで座席スペースを確保したのだとか。
その結果、ヨーロッパのオペラ劇場に近い形になったそう。
音響が悪かったという旧ホールから、残響時間が短い音響効果のよいホールにも生まれ変わったという。
ホールの内装は日本文化や京都らしさを意識し、
壁面には伝統色の金茶色、ポールには青磁色を使うなど和の雰囲気で仕上げられたのだそう。
朱色の椅子とも合っている。
この日は建築ツアーだけでなく、子供たち向けに、たくさんのイベントも開催されていて、
舞台ではオーケストラの楽器体験コーナーが催されてた。
私たちは舞台を通って、楽屋裏へ案内してもらった。
楽屋では一番偉い人?が使うという部屋を見せて頂いた。
高級ソファが置いてある以外は意外とシンプル。
その後、エレベーターで三階へ。
三階のテラスからは東山の風景などを見渡すことができる。
そして三階席から舞台への眺め。
思ったより、急斜面?の三階席はかなり見下ろす感じではあるが、距離はそう遠くない感じ。
旧ホールの学生の頃、一度このホールでコンサートを聴いたことがあったけど、
新しいホールをじっくり見学すると、ここで又一度音楽を聴いてみたいなあという気分になってきた。
こうして見ると、ほんとにコンパクトに座席がまとまっているんだなあ。
座席数は2000席確保されているという。
そしてこちらはサウスホール。
こちらは先ほどのメインホール2000席に対して、700席と規模も小さめのホール。
当初は舞台と座席との境に区切りのプロセニアムがあったそうだが、改修時にはそれを取り払い、
客席との一体感を持たせ、更に舞台はせり出して広げることもできるように改修されたそう。
もう一つは新たに地下に造られたノースホール。
約200人収容の小ホールとしても、メインホール、サウスホールのリハーサル室としても利用可能だそうで
壁の一面は鏡貼りとなっている。
この日は子供ディスコのイベントが行われてて、スモークがたかれて、ミラーボールが回るにぎやかなセットになってた。
サウスホールホワイエ。
天井のパネルはピロティでも使われていたものと同じもので、外とのつながりを意識したそう。
耐震壁として入れられたものは圧迫感がないようガラス製で間接照明を入れるなど工夫がされている。
そしてホワイエに敷かれているのは外でも使われていた床煉瓦タイル。
これはオリジナルのものだけど、新しいものも使われている。
当時は弁当箱のような型枠に入れて押し出して作られていたため、タイルの角が丸まっているものは古いものだそう。
こちらの角がきっちり出ているものは改修時に新たに造られたもの。
ホワイエに屏風のように波打つ壁は錫と銅で造られている。
空調設備を隠すための役割もあるのだとか。
最後に再びやって来た玄関.
こちらのロームシアター京都とネームが入っているところの背後の壁煉瓦タイルはオリジナルのもの。
前川國男がこの京都会館で初めて使ったという前川タイルといわれるもので、
こちらで使われてから他の前川氏設計の建築でも登場しているという。
表面のザラザラした独特な質感と重厚感のあるタイル。
そのタイルを再現しようと、改修時に試行錯誤を繰り返し、三度、四度と焼き直しをされたそうだが、
なかなか同じような質感は出なかったそう。
オリジナルのものと比べると、少しのっぺりとした印象
ツアーはここまでで、終了。
実際に改修、改築の設計に携わった方からのお話は臨場感があって、さまざまな工夫や苦労、
オリジナルの部分を大事にしながらも、現代に合った機能やデザインを重ねていくという試行錯誤の跡
がとてもよく分かり、興味深く楽しいツアーだった。
ツアーでは案内されなかったが、三つのホールの他には蔦屋書店やスタバ、レストランが入っている。
内装もそれぞれおしゃれ。
蔦屋書店の床
レストランへの階段の壁に張られたタイル。
こちらはちらりと覗いたレストラン。
ちょっとお高め。
今度はいつかメインホールで音楽を聴いてみたいなあ。