蓼科浪漫倶楽部

八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原に、熱き思いあふれる浪漫知素人たちが集い、畑を耕し、自然と遊び、人生を謳歌する物語です。

大学改革  (bon)

2015-07-30 | 日々雑感、散策、旅行

 大学、文系学部および教育系学部の廃止または他学部との統合等の指示が、この6月に文科省から
全国の国立大学に発せられました。
このニュースは、スクープのように一部報道機関により発表されました。

 このような指示が出された背景には、社会・企業等からのニーズに応えた 文系学部の育成目標が
明確でなく、人材育成の成果が顕著でない等の議論がある一方、企業等からの要請が強い理系学部の
増加や新しい産業分野を見据えた学部の新設などを目指した考えに基づくことがうなづけます。
アベノミクス、産業活性化推進支援等の一環であるとの見方すら出ています。
 これらの報道を見る限り、まさに産業至上主義への偏りとの危険性すら覚えたのでした。日本学術会議も、
この指示に対する反対声明(文末に再掲します。)が出され、文系学部軽視、眼前の社会要請に適応する
ための近視眼的政策だと批判しています。

 本当にそうなのか? 
そこで、全体像を客観的に展望し確認するために、一例ではありますが、文科省統計データの中から
大学学部学生の推移を一部加工してグラフ化してみました。

         

 この図から、考えられることは、これまでずっと、いわゆる文系学生が変化はあるにせよ継続的に
かなりの学生数であり、一方、理系は時代の要請の変化にもかかわらず、大幅な変化もなく文系の約半数
くらいの学生数で推移しています。

 一般論では、文系・理系にかかわらずその学問を究め、人間、社会、自然の真理探究によるその本質は、
人間生活・活動の基盤を確立し、未来への進化・発展を促すことへの期待であり、近視眼的な成果が
見られないとしてこれを廃止、無用とする考えは誠に危険と言わざるを得ません。
しかし、だからと言って、これほど多くの学生を排出する必要があるのかどうか、文系、理系の絶対数を
ある程度確保できていれば、社会、企業要請等に応じた新しい学部の新設や統合による価値創造等
今後に向けた学部のあり方を考慮することは大事であると思います。

 恐らく、先の指示は表面的に捉えられたような、文系学部の廃止または統合ではないだろうと思いますから、
もっと正確な表現により、堂々とした方針として処理すべきなのでしょう。


*******日本学術会議の声明関連記事*******

 日本学術会議(会長:大西隆 豊橋技術科学大学学長)幹事会は7月23日、文部科学省が6月に
各国立大学に通知した、文系学部の廃止やほかの分野への転換を求めた通知について、
「大きな疑問がある」と批判する声明を発表した。

 文科省は6月、各国立大学に通知した「国立大学法人等の組織及び業務全般の見直しについて」で、
18歳人口の減少を見すえ、教員養成系や人文社会科学系の学部について、「組織の廃止や社会的要請の
高い分野への転換に積極的に取り組むよう努める」などとした。

 これに対して日本学術会議は声明で、「人文社会科学には独自の役割に加え、自然科学との連携によって
世界の課題解決に向かうという役割が託されている」と指摘。 人文社会科学のみを取り出して
「組織の廃止や社会的要請への高い分野への転換」を求めることには「大きな疑問」があると批判する。

 「社会的要請の高い分野」の定義については、「具体的な目標を設けて成果を測定することに
なじみやすい要請もあれば、長期的な視野に立って知を継承し、創造性の基盤を養う役割を果たすという
社会的要請もある」と指摘。「前者のみに偏り後者を見落せば、社会の知的豊かさを支え、より広く
社会を担う人材を送り出すという大学の基本的な役割を失いかねない」とする。

 教員養成学部の見直しについては「18歳人口の減少という見通しと関連するものと思われる」としつつ、
「18歳選挙権の実現ひとつ考えても、高校までの教育の質に対する期待と要請が高まっており、それを
支える教員の質と量については多面的な検討が求められる」と指摘する。

 一方で、人文社会科学の大学教員は「現代社会でどのような人材を養成し、どのような役割を果たしうるか
について、これまで社会に十分説明してこなかった面があることも否定できない」とし、「これらの点の
考究を深め、教育と研究の質的向上に反映するために一層の努力が求められる」としている。

 同会議は現在、学術振興の観点から国立大学の在り方を検討する委員会を設置して審議を進めており、
審議を通じ、大学のあり方に関する考えを提示するとしている。



 

 

 

 

 

 

 

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