異常な猛暑日が続く中、リオ五輪の熱戦、そして、甲子園での暑い・熱い戦いに、
熱中症に気を付けながら熱中している今日この頃です。
このほど、天皇陛下はビデオ放送による ご自身の“お気持ち”が放送されました。
事前に周辺情報として、流れていた「生前退位」について、その直接的な言葉は一切避けられて、
大変穏やかな美しい言葉で、自身の気持ち、考えを述べられました。
事前に、これについて初めて知った時、高齢の中、公務も大変なのかな・・、それならば、その
気持ちを尊重して、生前退位すればよいではないか・・などと軽く考えてしまっていました。
しかし、憲法第2条に、「皇位は、世襲のものであつて、国会の議決した皇室典範の定めるところ
により、これを継承する。」とあり、生前退位は出来ない となっている。 それでは、改正などの
手立てを取ればよいのでは? ここでも憲法第4条「 天皇は、この憲法の定める国事に関する
行為のみを行い、国政に関する権能を有しない。」とあり、天皇といえども、おいそれと憲法改正に
対する指示めいた発言(行為)は出来ない。(してはならない。) そもそも、憲法第1条の
「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本
国民の総意に基く。」により、天皇は、国民及びこの国の象徴なんですね。 かって、ずっと
若かった頃に、“象徴”というのは、どのようなことなのか?具体的にはどのような形、行為、
地位なのだろうかと議論したこともあったように記憶しています。
しかし、天皇のビデオメッセージによる“お気持ち”をじっくり聞いていますと、この象徴の
意味・行為がどのようなものであるか、天皇自身も十分に考えられて行動され、国を思い、国民に
寄り沿いながら、全身全霊で“尽くす”ことだと理解されます。そして、天皇は、このように
“尽くす”ためには、すでに高齢故の体力的限界を感じられ、さらに、これらの行為を代行したり、
摂政によって自らが行わないことは、もはや“象徴としての天皇”であるとの意味は無くなり、
単なる形式でしかないのではないかと考えておられるようにも取れます。 ここで、「摂政」とは、
天皇に変わって政務を代行すること・・とありますが、私の勝手な思いでは、権限を有した天皇
(主君)が、幼少又は何らかの理由で直接政務を行うことが出来ない(相応しくない)場合など
であって、日本国憲法が規定する、象徴であり、国政に関する機能を有しない天皇に対してあて
はまるのかどうか?とも思うのです。 そして、この“お気持ち”の中でも、「幸いに健康である
とは申せ、・・」と、「次第に進む身体の衰え」の前に、現在健康であることをあえて付言され、
身体的な理由で、摂政または代行などは当てはまらない・・とくぎを刺されています。
国政に対する機能を有しない・・ことから、(退位できるようにとの)指示または憲法改正提案
であってはならないことに配慮され、その言葉は避けておられますが、柔らかい美しい表現の中に、
実に強い気持ちと、象徴天皇の地位・行為、ありかたを具体的に定義されているのだと理解しま
した。 かくなる上は、政府が自発的あるいは国民総意で、生前退位が可能となるよう対策を
とればよいのではないでしょうか? 国民総意?とんでもない!という人々もいるかもしれません。
憲法・皇室典範を改正すればよいではないか? 暫定解として、今回限りの「特例」はどうか?
など、取り沙汰されているようですが、「特例」が可能なのであれば、何だってできる・・わけで、
これだとそもそもの憲法の意味が薄れてしまうことになる・・。したがって、憲法・皇室典範を
改正する方法論が最も適していると思いますが、この場合、何のために改正するのか、その明快な
理由が必要でしょうし、改正するとして何を基準に改正するのか、それはなぜか? など、象徴
天皇の根本的な定義、内容が検討される必要があるだろうと思います。しかし、もし、今回の
“お気持ち”に表されている“全身全霊”による行為が行われなかった場合、つまり、象徴天皇の
定義に反するような(不十分な)天皇があらわれた場合は、困ることになるため、あまり、象徴
天皇の定義を具体化しないほうが良いかもしれないなどと思う面もあり、もどかしい部分なのです。
また、生前退位が可能となった場合、指摘されているように天皇自らの意志によらない“強制退位”
が起こりうる可能性は排除されるべきであるのは言うまでもありません。 いずれにしても、
有識者会議を設定して、議論が重ねられることになるのでしょう。
生前退位が可能となった場合の、地位、行為(役割)、皇太子などの設定や居住、年号などの
具体的事項を並行して決定しなければならないわけで、突如大きな案件が生じたことになるので
しょう。
産経・FNN世論調査では、『「生前退位が可能となるように制度改正を急ぐべきだ」と答えた人が
70・7%に達し、「慎重に対応すべきだ」の27・0%を大きく上回った。 また、「生前退位」
が可能となるように「憲法を改正してもよい」と思う人は84・7%に達した。「思わない」と
答えた人は11・0%にとどまった。』と報じています。
明日、11日は施行初めての「山の日」です。 恒例、夏の行事“三究会”で穂高岳に行ってき
ます。 新平湯から西穂高のお手軽トレッキングになりそうです。