今日(11/15)は穏やかな暖かい日差しの中、友人たちと上野に集合しました。お目当て
は、国立西洋美術館の「北斎とジャポニスム」~北斎が西洋に与えた衝撃~、ならびに
国立科学博物館 企画展の「フローラ ヤポニカ」(Flora Japonica)でした。
お昼前に集まって、先ずは腹ごしらえをして、美術館に向かいました。 JR上野公園口は
既に、大変な人出で、平日の水曜日なのに・・と驚いたところでしたが、上野の森美術館の
前に来ると、ナント! 森の中に長蛇の列が出来ていて最後尾は見えない程の行列でした。
「怖い絵」展(Fear in Painting)を見るための行列だったのです。 これほどまでに、
怖い絵を見たい人が多いということなんだと驚きました。
JR上野駅公園口 上野の森美術館 長蛇の列
そんな列を横目に、西洋美術館に向かいました。こちらは、チケットはすぐに購入でき、
待つこともなく入館できましたが、入った途端、入り口付近の展示に長い列が出来て
“これは大変”ということで、それはパスして中へ入りましたが、人人で、間近く見ること
は不可能といった感じでした。
北斎とジャポニスム
(パンフレットより)
「HOKUSAIが西洋に与えた衝撃」との副題が示しますように、幕末~明治初(19世紀後半)
来日した外交官たちが持ち帰った資料や工芸品、パリ万博などがきっかけとなり「北斎漫画」
に代表される浮世絵などが、当時の西洋の画家、特にモネやドガなどの印象派に大きな影響
を与え、「ジャポニスム」という現象が生まれたとありました。
とりわけ注目されるのが、天才浮世絵師、葛飾北斎(1760-1849)で、人物から風景、動物、
植物、建築、戯画まであらゆる画題を描いた 絵の教科書とよばれる絵手本『北斎漫画』
(全15編)は、当時遠近法を中心とした、どちらかといえば静止した、納まりの良い構図など
の画風に大きなインパクトを与えたのです。
浮世絵に代表される遠近法ではない平面画法?の中に、動きのある画風、つまり人物の
動作、微妙な仕草などの表現、さらに、海、波、山などの風景を捉えた奇抜な構図、動物、
植物などの構図は、当時の印象派画家だけでなく、広く影響を与えていたことが良くわかり
ました。
ルーブルやオルセーなどで見る大作に圧倒され、感動しますが、今回、この展示を観て、
浮世絵に見る“何気ない”(と思える)線が動作・仕草を醸していて、植物等においても、
花や葉、木として見るのではなく、土に根を生やし、イキイキと生きる姿が描かれる・・
といった、そんな感動を改めて覚えるのでした。
『本展は、西洋近代芸術の展開を"北斎とジャポニスム"という観点から編み直す、世界初の
展覧会です。』との、企画は、余すところなく見事に表現されていたのでした。
絵画だけでなく、ガラス工芸品、絵皿などの食器、家具などへの広い範囲にその影響が
あることも示されていました。
この展覧会を見て、北斎という人の奥行きの凄さを改めて知るところとなりました。
上野公園 秋2題
国立科学博物館の「フローラ ジャポニカ」は、その名の通り、日本人画家が描いた日本
の植物画の展示で、昨年9月から今年3月まで英国キュー王立植物園に出展されていた作品の
中から数10作品が展示されていました。
お馴染みのイロハモミジやキリの花、つわぶき、フジなど本物そっくり・・というより
本物以上に精密に描かれている? ことに驚きに似た感動を覚えるのでした。 葉っぱの、
葉脈、その裏側、根の状態、果実がはじける様子などなど、図鑑として価値を生み その点
からは学術的側面もあると思いました。
我が家のベランダで、この時季色づいている“メグスリノキ”もありました。
日本人画家のこれらの作品の他、18世紀に創刊され 今も刊行されているという『カーティ
スのボタニカルマガジン』のイラストレーション原画も展示されていました。
それは、19世紀のナンテン、ジンチョウゲ、アサガオなどから21世紀のイチョウ、ヒロハ
カツラなど、こちらも興味深い展示がなされていました。
キュー王立植物園に出展されていた日本人画家による日本の植物画は、この展示の他、
練馬区にある牧野富太郎記念館にも展示されているそうです。
上野公園の賑わいは、これらの美術館、博物館への入場のほかに、動物園は勿論、この
時季 11/10~19開催の「TOKYO数奇フェス」(好きフェス)も人を呼んでいたのでしょう。
私たちは、すでに16時頃でしたから、何も見ずに素通り?して、不忍口にある「びわ湖
長浜KANNON HOUSE」に足を延ばして、時限展示の『聖観音立像』(平安時代後期)他を
拝観しました。
TOKYO SUKI FES 2017 (寛永寺のイメージ)
(噴水広場にて 16時過ぎ 西向き撮影)
あれこれ、俄かな詰め込み展覧は、人の多さも手伝って、かなり疲れてしまったようで
した。途中長めのお茶タイムも含めて、すでに日は暮れてラッシュ時になってしまいました。
各人、少なからず余韻を抱いて三々五々となりました。 良い一日でした。
写真は撮影できませんでしたので、北斎とジャポニスムなどのネット記事をご参照され、
その雰囲気を共有いただければ幸いです。
お伝えしたい雰囲気は出ていませんが、いくつかの絵が紹介されていましたので・・。