このところ日中は真夏日となったところが多かったようです。 なので
夜はことのほか涼しい感じがしますが、今夜は満月です。昨夜もほぼ真ん丸の
お月さまを仰ぎながら涼しい風に吹かれていました。
前回の続きです。これが最後です。
・エボラ出血熱
1976年に、スーダン(北東アフリカ)で、ある男性が突然高熱が出て頭や腹部に
痛みを感じ、その後、消化器や鼻から激しく出血して死亡したことを最初の確認例
とする新興感染症であるとあります。
この男性の出身地がザイールのエボラ川近郊であったところから、この病気を引
き起こしたウイルスを「エボラウイルス」と名付け、この病気を「エボラ出血熱」
と名付けられたそうです。
症状は全身の出血のほか、臓器の壊死もあり、致死率は50~89%と高く、有効な
治療法もないことから非常に怖れられていますが、血液感染のため、患者の血液に
触れなければ二次感染はおこらないとあります。
これまで、アフリカ大陸で10数回にわたって突発的に発生・流行しているそうで
すが、病院の注射器や看護者を通じて感染が広がったのでした。2014年以降、西ア
フリカ地方で流行し、1000名の死者を出したとありますが、ウイルスの自然宿主は
まだ分かっておらず、その治療法も未承認薬を投与するなどで効果が見られたとし
ている程度で、日本の富士フィルムが開発したインフルエンザ治療薬アビガン錠も
効果があったとされています。
・エイズ
1981年にアメリカ、ロサンゼルスに住む同性愛男性4人に初めて発見された新興
感染症で後天性免疫不全症候群(AIDS=Acquired immune deficiency syndrome)
と名づけられ、1984年にはエイズウイルスが発見されました。 これに似た症例は
50年代に中部アフリカ各地で「痩せ病」として報告されていたそうです。
ロスで発見されてから、わずか10年ほどで感染者は世界中で100万人にまで広がっ
たのです。エイズは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)が免疫細胞に感染し、免疫細
胞を破壊して後天的に免疫不全を起こす疾患で、現在の感染者は、世界で5000万人
に及ぶといわれ、なおも増加傾向にあるそうです。
拡大のほとんどがアジア、アフリカ地域の開発途上国において見られるそうで、
サハラ以南のアフリカには全世界の60パーセント近くのエイズ患者がいるといわれ
ています。
レッドリボン (ネット画像より)
(薬物乱用の防止、AIDS に対する戦い、両方のシンボル赤のアウエアネス・リボン)
日本では、おもに血友病の患者に対して非加熱製剤を治療に使用したことから、
多数のHIV感染者およびエイズ患者を生んだ いわゆる「薬害エイズ事件」が大きな
社会問題として記憶に新しいところです。
エイズの感染経路は、性的感染、血液感染、母子感染の3つに限られており、通
常の傷のない皮膚から感染することはないとされています。
・マラリア
単細胞の寄生虫であるマラリア原虫が赤血球に寄生して起こる感染症で、熱帯・
亜熱帯地域に多く、日本ではおこりとも呼ばれたそうです。ハマダラカの一部の
種だけが病原体を媒介するそうで、メスのハマダラカが感染者の血液を吸い、別の
人を刺すことによって感染する。2016年では全世界でマラリアに年間2.16億人が
感染し、うち44.5万人が死亡しているとの報告があります。
マラリアには効果的なワクチンはないようですが、抗マラリア薬で治療でき予防
可能、治療可能な病気です。『アフリカにおいては、現在、エイズ、結核と並ぶ
3大感染症のひとつであり、視覚や聴覚を失うなどの後遺症で悩む人も少なくない。
感染者は毎年3.5億人から5億人にかけてと推測され、アフリカでは子どもの主要
な死因のひとつになっている。』とあります。
日本の蚊帳が貢献
(ウイキペディアより)
また、地球温暖化の影響でハマダラカが越冬できる地域が広がったことにより、
感染地域が広がる危険性についても指摘されているという。
・日本脳炎
日本脳炎ウイルスによる脳炎であり、日本や東アジア、東南アジアを分布域とし、
日本ではコダカアカイエカが媒介するそうですが熱帯地域では他の蚊も媒介してい
るという。 日本では不活化ワクチンの勧奨接種が開始され、高度精製ワクチンの
使用がはじまり、1967年から10年近い積極的ワクチンの接種によって、劇的に減少
したそうです。
また、日本脳炎の他に、ウエストナイル熱、ウエストナイル脳炎があり、アフリ
カ、オセアニア、中央アジア、ヨーロッパなどで発症していたそうです。
・コロナウイルス
ようやく新型コロナウイルスにたどり着きました。すでに世界で、600万人に及
ぶ感染者を数え、その死者は、40万人に上り、今なお世界中に拡大傾向にあります。
コロナウイルスによる感染症は、現在のところSARS MERS、新型コロナウイルス
の3種があります。
いずれも21世紀に見つかった、新しいコロナウイルスで、SARSは、重症急性呼
吸器症候群と呼ばれ、2002年に中国、広東省で40歳代の農協職員が発症した例が最初
とされていますが、発症から4か月後の発表であり、しかもWHOに報告したのは、何
と半年後であったという。
中国は、自国の名誉と信用を守るため報道を規制し、秘密にした結果、国際的な
対応が遅れ、被害を拡大させたのです。 2002~4年の最終的な罹患数は世界30ヶ国
の 8,422人が感染、916人が死亡したとあります。
2012年からは、MERSが現在も流行中であるそうです。MERSコロナウイルスは、
ヒトコブラクダを感染源として人に感染すると重症肺炎を起こし、人から人への感
染もあり、2019年11月までに患者2500人、死者900人、世界27か国におよんでいる
という。
そして、2019年11月に始まった、新型コロナウイルス(COVID-19)が世界中に
大流行(パンデミック)となり、多くの感染者、死亡者を出すだけでなく、人の外
出、交流を制限するという経済活動の基本部分に大きな影響を与え、病気そのもの
に加え、経済的ダメージも計り知れないのです。
公共交通機関の利用減少
(NIKKEIニュースより)
目に見えない敵がいつどこにいるかが分からないという厄介な代物は、ただ、
3密を防ぐ、手洗いとマスクだけという 頼りない対策で、行動が制限され、イベン
ト、スポーツ大会など世の中の活動がストップ(に近い状態)になるなんてことは、
これまでに経験したことがなかったため、あらゆる層の あらゆる行動が止まった
状態になるなんて想像もできなかったことが現実に起こってしまっているのです。
光学顕微鏡では観察できない極小のウイルス(virus)の発見は、細菌よりも遅れ、
1892年のロシアの植物学者ドミトリー・イワノフスキーによるタバコモザイクウイ
ルスの発見が最初であったとあります。
で、細菌による感染症は1929年に初の抗生物質であるペニシリンがイギリスの
アレクサンダー・フレミングによって発見されるまで根本的な治療法はなかったの
でした。
そして、ウイルスによる感染症に至っては、今なお患者自身の免疫に頼らざるを
得ない部分が今なお大きいとされる厄介な感染症なのです。
フレミング(1881-1955)
(ウイキペディアより)
また、1935年ドイツのゲルハルト・ドーマクは、初の広域合成抗菌薬であるサル
ファ薬を開発しました。サルファ薬は生物由来ではないため、抗生物質とはされま
せんが、抗生物質とサルファ薬の開発は、感染症治療に新しい地平を切り開いたと
あります。
抗生物質の普及や予防接種の義務化、公衆衛生の改善などによって感染症を過去
の脅威とみなす風潮も一部ありましたが、その後、耐性菌の拡大や経済のグローバ
ル化による新興感染症の出現などによって、かっての楽観を覆すような現実が生じ
ているのです。
終りに、感染症(伝染病)は長い間、人びとの間で大きな災厄ととらえられてき
ていますが、今なおその脅威は人類社会に大きな影を投げかけており、今回の新型
コロナに見られるように疾病のみならず、医療関係は勿論、産業分野、文化事業な
ど社会全般にわたる大きな脅威となっているのです。
『災厄に対する人びとの対応は、歴史的・地域的にさまざまであったが、その一
方で、人びとの行為・行動の背景となった疫病観、死生観、信仰、哲学、科学の発
達などを考察することにより、人類の歴史や経済、社会のあり方への理解を深める
ことができる。』ともありました。
お疲れさまでした。