蓼科浪漫倶楽部

八ヶ岳の麓に広がる蓼科高原に、熱き思いあふれる浪漫知素人たちが集い、畑を耕し、自然と遊び、人生を謳歌する物語です。

日本書紀  (bon)

2020-06-18 | 日々雑感、散策、旅行

 “ ♬ 今さら~何を言ってるのさ~” といわれそうですが、日本書紀について
ほんの少し覗いてみました。  今年、日本書紀完成1300年にあたるそうで、その
イベントなども計画されているとか・・。

 いままで、古事記、日本書紀・・つまり『記紀』などとして、イッパひとから
げ? のように感じていましたが、古事記と日本書紀は,
似たような内容ですが、
その目的からしてまったく別ものなんですね。
 恥ずかしながらそんなことも知りませんでした。 神話の部分は大体同じで、
やはり天皇について書かれてはいるのですが、それぞれの目的、意味、取り上げ
る視点などが違うのですね。 「記」は、日記や記録など、“書き記す”“その
まま書き残す”という意味ですし、「紀」は、紀行、
世紀など、筋道をたてて示
したルール、流れや規則を表すとあるように、そもそも両社の性格は違っている
のですね。
  
       (ネット画像より)

 古事記も日本書紀も、ともに天武天皇の命(681年)によって作成が開始される
のですが、この二つはその目的が基本的に違っていますが、これについては後述
します。
 で、もともとこの時期になぜこのようなことが起っているかについて、勝手な
推測をしてみました。

 大化改新(645年)により、豪族から天皇による政権が復活しました。中心人物
であった中大兄皇子は皇極天皇退位後即位せず、自らは皇太子として(弟が孝徳
天皇)中臣鎌足らと共に、実質的な実権を持ち、元号を制定し、国家の仕組みを
改め、土地・人民の私有を廃止し、天皇中心の中央集権国家を目指す活動を展開
するのです。
 このころ朝鮮半島でも大きな変化が起き、友好であった百済の崩壊、それと共
に唐の脅威の増加など 対外的国土防衛意識の高まりなどがあり、孝徳天皇→斉明
天皇(皇極天皇重祚)の後を受けて、中大兄皇子(皇太子)ようやく668年に即位
(天智天皇)するのです。 即位後、庚午年籍(戸籍)や律令法典など制定し、
国家の形が整え始められてゆくのです。

 671年に天智天皇が崩御すると、天皇の同母弟である大海人皇子を差し置いて、
自らの子(庶長子)が天皇になるのですが数か月で、大海人皇子率いる反乱軍に
敗戦し(壬申の乱)、673年、天武天皇(大海人皇子)が誕生するのです。

 これまでの大きな流れの中で、天武天皇は、681年、律令の編纂、歴史書編纂の
宣命を下すのです。律令は、701年に完成する『大宝律令』で、歴史書は『古事
記』と『日本書紀』でした。

 手元の会報記事、『日本書紀まで』(村田右富美氏、関西大学文学部教授)に
よれば、(要約)『歴史書編纂の命が下ってから、日本書紀の完成迄の期間は
ちょうど、倭国から日本が国家として成立してゆく時期にあたる。』『遣唐使の
入唐により、大唐帝国から国号を日本とすることが認められ、大宝律令が完成す
ると、国号と元号を持ち、ここに国家として成立したといってよいだろう。』
『そして、日本書紀により、対外的に正式に日本の来歴を証することとなる。』
そして、つまりは、『王権(古事記)、過去(日本書紀)、現在(律令)、空間
(風土記)、人民(戸籍)が文字化されることによって完結する。』

                

 つまりは、日本書紀は、単なる歴史書ではなく、日本国家の成立を目した対外
的に意識した一つの“国の歴史”を意味しているのですね。 ここに、天皇を中
心とした内国的な位置づけの古事記とはその目的が大きく異なっているのです。


 ネットなどから、拾い読みした日本書紀と古事記の相違について下表にまとめ
てみました。

 日本書紀と古事記(ネット記事からまとめました。

 表から、おなじ天皇の詔を受けて編纂された歴史書は、古事記の稗田阿礼の
詠読を太安万侶が数か月で編纂したのに比して、約40年にわたり、大勢によって
編纂された日本書紀とはその成り立ちが全く異なっているのでした。
 神話の取り上げる量もさることながら、古事記では、本伝1本で流しているのに
対して、日本書紀では、いくつかの複数異伝が併記される形で扱われており、対
外的 特に中国(唐)を意識して漢文で書かれているのです。

 天武天皇の宣命は、皇后であった持統天皇へと、さらに文武天皇に引き継がれ、
元明天皇のとき古事記が、そして元正天皇のときに日本書紀が完成するのです。


 日本という国が、どのようにして形成されてきたか、神話から歴代天皇へと受
け継がれ、同じような時期に完成された 二つの歴史書が存在する意味が確かに
あったのですね。

 

 

日本書紀成立1300年 特別展「出雲と大和」

 

 

 

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