アスリートの激闘について書いた後にこうしたことを書かなければいけないというのも本当に複雑な心境ですが、それもこれも、自分たちのことしか考えないバカな政治家やぼったくり男爵をはじめとする五輪貴族たちのせいです。
菅首相はG7で各国首脳に開催を明言し、オリンピック開幕まで既に1ケ月を切り、国民の意見を無視してどんどんオリンピック開催を既定路線にしています。それどころか、勝手に無観客ではなく有観客になり、関係ないといっていた1万人にした上、開会式は2万人に引き上げ、挙句の果てに、酒類提供の検討までぶちあげ、さすがにこれはあまりの批判に取り下げざるを得ませんでしたが、声がなければ、何だってやりかねない勢いです。
菅首相は、オリンピック開催にあたり、バカの一つ覚えみたいに「国民の安全・安心を守る」と繰り返しました。しかし、合宿で入国したウガンダ選手団に新型コロナウイルスの要請者が出て、その濃厚接触者が特定されないまま選手団は合宿地の泉佐野市に移動し、新たな要請者が出る事態になりました。この事態についてのヒアリングで、検疫官の回答は「検疫の役割は、陽性者の発見であって、濃厚接触者の特定は受け入れ先の保健所である」という事務的なものでした。受け入れ先に移動するまで放っておいて良いと思っていたのでしょうか。今の状況でこんな事務的なことをいっている担当者の想像力の欠如もどうかと思いますが、問題はこうした時の対応を構築できていない国、政治家にあります。菅首相が言っていた「安全・安心を守る」という言葉が、単なるお題目で、大嘘だったことが明らかになりました。
そして、感染状況については、東京都は完全にリバウンドに入りつつあります。しかも、より感染力が強いとされるインド型(デルタ株)に置き換わることが想定されている中です。
さすがにこうした状況を心配されたのか、天皇陛下が「宮内庁長官の拝察」という形をとり、オリンピックによる感染拡大の懸念の表明されました。そもそも陛下にこんな心配をさせることがどうかと思いますが、これに対して、加藤官房長官、菅首相が続けて「宮内庁長官が自分の意見を言ったものである」といかにも事務的なコメントを述べました。もちろん、天皇陛下の意見だと認めることは法的に出来ないのは分かります。しかし、それだけではなく、陛下の懸念を無視するかのような扱いです。本当にいかがなものかと思います。
憲法学者の中には、陛下が「宮内庁長官の拝察」という形をとったとしても、政治に関与するような発言をすることは問題だと指摘する人もいるようです。こうした形をとり、陛下を利用する勢力が出てくる可能性があるからということです。しかし、それを言うなら、民意を無視する今の政府も陛下を利用しているということが言えます。陛下はオリンピックの名誉総裁として、開会宣言をさせられるのです。平時ならともかく、緊急事態宣言は解除したものの、いまだにまん延防止等重点措置で、多くの市民が犠牲を強いられている中で天皇陛下を担ぎ出すことによって、天皇陛下を利用しよとしていると言えます。それに対して、陛下に拒否権がないというのもおかしな話です。まるで、勝てる見込みのない戦争になだれ込んでいった戦前を彷彿とさせます。あの時も懸念を表明する天皇陛下を説得し、巻き込んで、利用したのです。今も、天皇陛下には政治に口出しするなと制約をかけておきながら、自分たちに都合よく利用しようとしているのは、昔と同じです。それに対して、国民に思いを寄せる天皇陛下が「宮内庁長官の拝察」という形でしか意思を表明できないというのは、何ともおかしな世の中です。
オリンピック、パラリンピックを目指すアスリートは応援したい気持ちでいっぱいです。しかし、コロナ禍で図らずも顕在化したオリンピックを巡るどす黒い権力によってこれ以上事態が悪化しないように歯止めをかけたいものです。しかし、このアンビバレントな状況で、なかなか国民の声が明瞭にならない感じもあり、また、権力側はそれを狙っているようです。何とかしたいものです。
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